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いきなり団子を畑から作ったら「まだかよ」団子になった (後編)

前編では「そうだ、いきなり団子を作ろう!」となぜかおもむろにサツマイモと小豆を育て始め、約3ヶ月間かけて順調に成長の様子を収め、収穫目前までいくところまでお伝えしました。

後編ではいよいよ、いきなり団子の主材料であるサツマイモと小豆を収穫した後、選別や下ごしらえをして、いきなり団子を作り始める、そして完成するところまでの様子をお伝えしようと思います!


7. 小豆の出現は突然に。 (10/3)

こちらが9/3に撮った写真。最初に花が咲いてから10日後、まだまだ花が咲き誇っていた。花の下に何やら鞘の原型のようなものは目視できる状態。

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そしてこれが10月3日に撮った写真。
油断していたら、なんともうすでに小豆ができていた!

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縦にぶら下がるフォルムが可愛い、見た目はさやえんどう。
豆が熟して色が変わり、茶色くなってパリッとしてくる。水分が飛んで、振るとカラカラと音がなるようになったら、収穫のサイン。

一気に熟すわけではないので、何回かに分けて収穫を行う。鞘ごとぶちぶち手でちぎっていった。

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8. サツマイモの収穫! (10/4)

秋の実りを収穫する日々。

サツマイモ畑を掘ってみたら・・・
どでかサツマイモがひと株に何個もついている!!

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しかもなんだか形がいびつで大きな花形のようにも見える。「花型芋」と命名。

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大小合わせて大体200個以上の芋を収穫。しかし、綺麗に掘るのが結構難しく、ショベルで芋を途中で切ってしまったり、サツマイモの表面を傷つけてしまったり・・・もっと上手くできただろうけど、その反省は来年に生かすとしよう。

9. サツマイモと小豆の天日干し

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収穫できた小豆とサツマイモ。
これを自宅の庭に広げて、干す!

この作業の目的は

1. 小豆を殻から脱穀しやすいようにカラカラに乾かす
2. サツマイモは天日干しすると糖度が増すので出来るだけ日に当てる

とそれぞれ違うものですが、一緒のタイミングで外に干せたので、楽チンでした。

サツマイモは収穫後、干せば干すほど甘くなるようなので、約2週間、家の外の日当たりがいい場所においておきました

が、急にくるにわか雨には要注意。。サツマイモは濡らすと腐ってしまうリスクが高まります。家のひさしが大きかったので、なんとか乗り切れたので、よかった〜!

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10. 小豆の脱穀・選別

はい、この工程が一番(精神的に)大変でした。

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ビニールシートの上に収穫した小豆を積み、その上からホウキの肢を使って小豆の殻を叩き割る。鞘と豆に分かれるので、そのうちの豆だけを集める。

そして、綺麗な豆と虫食いのある豆を一つ一つ目視で選別していく。小豆は結構虫の食害の多い作物。よく見ると穴が開いている小豆も多かった。

深夜にコタツの中で進めていくこの作業。「チリも積もれば山となる!」と自分を鼓舞しながら、なんとかいきなり団子に必要な分の小豆を選別できた。

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この量で約300g、1時間以上は軽くかかった。

11. いきなり団子づくり (あんこ作り)

この工程もなかなかに大変だった。

「あんこ作りは難しい」とどこかで聞いたことはあったが、今まで人生であんこを炊いたことがなかった私。やってみて初めてその難しさがわかった。

ネットで調べてもあんこの炊き方は千差万別で正解がないらしい・・・小豆独特のえぐみを除くための渋切を一回してみるも、「う〜ん、渋い。。」

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そして芯まで火が通るのに時間がかかる。1、2時間火の前でコトコト煮えるのを待つのはせっかちな私にはしんどかったので、炊飯器に入れてスイッチオン。

2度の失敗を経て、3度目の正直。
粒を若干潰した自家製「粒こしあん」の出来上がり〜!

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12. いきなり団子づくり(団子生地づくり)

いきなり団子の生地は表現し難い独特の食感がある。

生地は薄くて存在感も薄め、でもちょっとモチモチ食感はある。メインの材料は小麦粉であり、水と塩だけを加えるだけで作れる素朴なものだ。いきなり団子の団子生地の塩っけがサツマイモの甘味の引き立て役になるのだ。サツマイモが主演女優であるならば、団子生地はベスト助演男優、といった感じだろうか。

今回、冷めても硬くなりすぎず美味しさをキープできるように、米粉と白玉粉も配合してブレンドしてみた。もっちりとあっさりのバランスが取れたなかなか美味しい生地ができた!


13. いきなり団子づくり (サツマイモを丸ごと蒸す)

いよいよメインとなる、サツマイモの下ごしらえ。

サツマイモは蒸してじっくりと加熱すると、しっとり、かつ食感がしっかり残ってほっくりとなる。いきなり団子には蒸し調理が適している。

2センチほどの厚みに切ってから蒸す方法も試したが、甘味が引き立つのはサツマイモを丸ごと蒸しあげてからカットする方法。(元サツマイモ農家さんにも助言いただいた)

今回栽培した、紅あずまと安納芋、どちらも味わいと食感に違った個性があって面白い。紅あずまはホクホクしてバランスの取れた甘さ、安納芋はねっとりとして甘さが前面に出ている感じ。

14. いきなり団子づくり (団子形成!)

長らくかかったいきなり団子づくりも終盤に差し掛かった。

下ごしらえしたサツマイモにあんこを載せ、少し寝かせた団子生地で包んでいく。白玉粉が入っているおかげか、生地がしっかり伸びるので、包みやすい。楽しい。

100個以上の団子を包み込み、いよいよ最後の工程、蒸しあげに取り掛かる。

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15. いきなり団子づくり(蒸し上げ)

今までの苦労の結晶を蒸し器に丁寧に置き、最後の仕上げの蒸しあげを行う。沸いたお湯の上に蒸し器を重ね、15分程度蒸気を通したら・・・

かんせ〜い!!

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ホカホカ蒸し立てのいきなり団子は格別の美味しさでした。


終わりに

急な思いつきとノリで始めた「畑から始めるいきなり団子」プロジェクト。掛かった時間を時給換算したら、全くの大赤字であるが、やってみないと分からないたくさんの学びがあった。

まず「美味しい!」を追求することは楽しい、ということ。何か一つの料理を極めるには、その料理と真っ正面に向き合い、本質・価値、誕生した背景についてきちんと理解を深める必要がある。なんとなく美味しいから好き好んで食べていた、いきなり団子の真の魅力である「シンプルさ」「芋の甘さを引き立てる工夫」「食感」に気付くことができ、もっといきなり団子が好きになった。

そして、食べ物を作る人には多大なる敬意を払うべきであるということ。見えていないだけで、生産から加工まで、それぞれの段階で誰かが試行錯誤しながら汗水流しているのだ。一度それを一通り自分で経験してみると、食べ物を口にするときの有り難みの深さが変わる。これから本当に思いを込めて「いただきます」を言えそうだ。

何か食べ物を買おうと思ったら、大体のものはスマホをポチッと片手で1分もせずに購入でき、手に入ってしまうこの時代。だからこそやってみたい、好きな食べ物を材料からつくってみるチャレンジ。

畑からオムライス、畑からミネストローネ、畑から蕎麦... 
機会と環境があれば挑戦してみてはいかがでしょうか!

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