まつのことのはのたのしみ その二
この記事に目を留めていただき、ありがたうございます。
暑い日が続く中、読んでいただいた方の心を少しでも和らげることができれば幸甚です。
前に、「万葉の歌人(うたびと)では、誰が一番好きですか?」といふことを書かせていただきました。実は、和歌的遺伝子を目覚めさせる第一歩はここにあります。
(現代短歌ではなく)「和歌(やまとうた)を学びたい」、「和歌を作れるやうになりたい」と思つた方。もし、さう思はれた方がをりましたら、まづはご自身が「良いな」と感じた和歌集を買つてきてください。
それは『百人一首』(恋の歌を集中的にきはめたい!と思はれた方はこれが良いでせう)でも良いです。
『古今和歌集』でも良いです。
さらにいへば『新葉和歌集』でも、『新版 佐久良東雄歌集』でも、水戸の『明倫歌集』でも良いです。国語の便覧でも良いです(これは便利です。一家に一冊欲しい)。
もしかしたら、新元号が令和になつた際、平積みされた『万葉集』を流行に乗つて買つてみた方もゐるかも知れません。もちろん、『万葉集』でも良いです。
和歌は国民の共有財産ですから、和歌集は数多くあります。その中から、ご自身の感性で、「これだ」と思ふ歌集を買つてきてください。もちろん、自宅の本棚に眠つてゐるものでも、図書館から借りてきても問題ありません。ただし、「これだ」と思ふことが大切です。
また、もし身近に和歌に堪能な方がをられたら、その方に薦めていただいても良いでせう。
私は直感を大切にしてゐます。そして、私は毎日、一日に一首の歌を作ることを習慣にして、それを十年以上続けてゐます。その中には、直感で生まれる歌がかなりの数あります。現に江戸時代の歌人である橘曙覧先生は、
たのしみは 百日ひねれど 成らぬ歌の ふとおもしろく 出できぬる時
と歌はれてゐますが、これなどはまさに直感でせう。考へても考へても、中々良い表現が思ひ付かない。さうして、しばらく経つた時、偶然に「これだ」といふ表現が思ひ付き、さらさらと流れる多摩川の水のやうに素敵な歌ができる。かうしたことは歌を作つてゐるとたびたび起こります。
なほ、私の好きな歌集は『万葉集』と、岩波文庫の『橘曙覧全歌集』、そして上にも挙げましたが、水戸史学会の梶山孝夫先生の編纂された『新版 佐久良東雄歌集』(錦正社)です。
そして、歌集は明治時代以前の人物のものや勅撰和歌集にしていただければ幸ひです。理由は後に述べませう。
宣伝となつて恐縮ですが、「維新と興亜」第十三号に拙稿「いにしへのうたびと」を載せていただきました。お読みいただけたら幸甚です。(続)
追記
不安で日々、押し潰されさうな人たちが救はれ、そして、苦しい日々を送る人が一人でも報はれることを願つてゐます。
敷島の 大和の国は 言霊の たすくる国そ 真幸くありこそ (柿本人麻呂歌集)
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