見出し画像

いつか自分も不妊治療をするかもしれないから

いつか自分も不妊治療をするかもしれない。
パートナーはその時どう動くんだろう、お互いどうなるんだろう。
そんなことを考えながら見ていた。

ねほりんぱほりんは、山里亮太さんとYOUさんが司会のNHKの番組。
不妊治療をやめた人、という回では、
39歳で結婚、5年間不妊治療した49歳の女性とその旦那さんが語っていた。

元詐欺師、元薬物中毒者、ホストにはまった女性などなど、
毎回きわどいゲストを呼び、根ほり葉ほり掘り下げる。
かなり重いテーマでも、可愛い豚のお人形さんが語るので、生々しくない。
でも当事者が語っているので現実味があって面白い。

この番組は大好きなのだけど、今回もとにかく
「30分の番組でこんなにも詰め込んでいるのすごい」と思った。

女性は5年間、高度生殖医療もうけ、
妊娠週数が浅いうちの科学的流産など繰り返し、子どもを授かることはなく、
夫と特別養子縁組を選択し、不妊治療をやめる。

女性が不妊治療中に感じてた思いは、共感する、なんて簡単に言えない。
◎女としてダメ
◎仕事も中途半端
◎お金もどんどんなくなっていく
◎相手のことを考えて離婚したらいいのかなって考える
◎今回はいけるかも、ダメかも、を繰り返す

妊娠する、だけが明確なゴールの不妊治療。
治療の影響で身体的にも時間的にも満足に仕事ができず、でもお金はかかり、お金をかけるのに妊娠できず、さらに治療して…
ゴールの見えない治療に精神的にも身体的にも振り回される。
追い詰められながらも諦めきれない

【これまでの人生は努力したらなんとかなったけど、こればかりは努力してもどうにもならない、でも努力しちゃう
こんなにあがいても、こんなにつぎ込んでも、できないんだって!】
女性の叫びが、刺さる。

2人目の不妊治療で子供連れできた女性の子に
憎悪を抱いてしまった、早くあっちに行って、って憎悪も思いを抱いてしまった、
情けない、醜い、と自分を責めた女性の話も、すごく刺さった。
【不妊治療に耐えるってことは、汚い自分にも耐えていかないといけないこと】
って振り返るくらいに、精神的に身体的に追い込まれてしまう不妊治療。

日本では5.5組に1組が不妊治療をしているといわれる。
私も産婦人科で助産師をしていて、不妊治療による妊娠の女性はとても多いと感じる。
身近で、自分たちもいつか当事者になるかもしれない話だけど、
直接聞くのは難しい重い話。

番組のなかで、
山里さんとYOUさんの質問も、思いやりがある上で、素直でいいなって思う。


旦那さんと子どもができたらって夢の話はするの?
友達が41歳、42歳で産んでいたら、自分もできるって思うよね
費用合計300万円!マジか
お金かけると、期待値ってあがっていきますもんね
不妊治療の病院では患者さん同士で悩みを話したりするんですか?
お金、なんとかならないのかな、制度とかで


そうだよね、不妊治療のことを聞いてたら、そう思うよね、ってうなずいちゃう。

やめたきっかけもそれぞれ。
登場した夫婦は特別養子縁組を選択したとき、でほかにも
高額のお金を支払う価値があるんだろうかと疑問を感じたとき
夫婦二人も家族、と思えて夫に不妊治療卒業宣言をしたとき
という女性もいた。

「子どもって奇跡ってすごく思います」と、
この人が笑って話せるのは、精神的にも身体的にも追い込まれるほど
不妊治療をして、もうやりきったんだ私って気持ちになれているんだと思う。
これで不妊治療をやめられる!やめていいんだ!って嬉しかったという。

どれくらいやったら不妊治療をやりきったって言えるのか。
それはもう当事者それぞれでいいはずで、何回どんな治療をやったから、とか
いくらお金を使ったから、何年やったから、じゃないところが難しいけれど、
そうやって選択して次に進んでいる女性と旦那さんがすごく素敵だなって思った。

1回のタイミングで妊娠するカップルもいれば、
妊娠しても流産を繰り返す女性もいて、
あまり知られていないけれど男性不妊もあって、
望んでいない妊娠で中絶をする人たちもいて。

妊娠って、出産って、
きれいごとじゃないし、キラキラしたものでもないし、
ゴールもないし、科学的に全部わからないし、努力でもお金でもどうにもならなくて。

本当に、なんだかな、もう…。私だって、いつか不妊に悩むかもしれない。
不妊治療をするかもしれない。
そんな視点で見ると、ずーんと心が重くなる。

それでも、こうやって次の選択をできるカップルは素敵だし、
やり切ったって思えることは大切だし、
いろんな人生を選んで受け止めていく覚悟がある人は強いし、かっこいい。

これからもねほりんぱほりんを楽しく見たい。
正直、この世の中、きれいごとだけでできてないからね。
きわどい人たちを掘り下げるこの番組は大好き。

NHKのねほりんぱほりんのサイトはこちら↓

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2019102282SA000/

https://www.nhk.or.jp/hensei/sp/program/article/?area=001&date=2020-11-25&ch=31&eid=13382&f=3587

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?