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新人1年目を終えて

社会人1年目、助産師1年目が終わろうとしている。毎日必死だったなかで、失敗しなければわからないことがある現実、相手からの反応があることの嬉しさ、お互いを頼り支え合ってするのが仕事だ、感じている。

年が明けて、あと3ヶ月だなんて思ってたら、あっという間に3月が終わろうとしている。
看護職のシフトは土日関係なく、上司に組まれるので、日勤を3連勤して、夜勤して、明けの休みで、また2連勤で...みたいな不規則な勤務のなかで
あと2日で休み!この夜勤明けたら2連休!とか短いゴールに向けて働いていたら
あっという間に時間が過ぎていた🙄

あと少しで後輩ができるなんて信じられない。
しかも後輩には既卒ですでに働かれていた経験のある方もいるときいて、
私なんかが2年目になれるだろうか、と不安でたまらない。
不安なくせに、もう動かぬ事実として数日後には後輩がいる。

先日、上司やチューターの先輩(専属のなんでも相談できるお姉さん)たちと1年の振り返りをしたとき
いろいろできるようになったよね、と言ってもらえた。
もちろんすごい重症な患者ケアとか緊急対応とか、これからなこともたくさんあるけれど、就職する前にはなーんにもできなかったわけで今なら輸液ポンプも使えるし、注射もするし、点滴もするし、一人で複数人受け持ちできるし、夜勤もやるし
最初は先輩に聞きながらやっていたアセスメントと看護ケアも、一人でできることも増えたよね、と。
よく頑張りましたね、と。

めちゃくちゃ褒められて、え?いつもはあんなに怖いのに...ピリピリしてるのに...本音かしら?2年生になったらもうこんなふうに褒めてもらえないのかな、なんて思っちゃったり🙄
でも、忙しいめまぐるしい臨床の現場の毎日のなかでは、先輩達だって追い込まれてて必死で、ピリピリイライラするわけで
だからこそ、新人会とか名前があって、よく頑張りましたねなんて言ってもらえると時間はありがたいのと思う。
アメとムチだなぁなんて苦笑いだけど🤭

1年間、お産あり、産後のお母さんと赤ちゃんがいて、治療妊婦さんがいて、婦人科の手術がある産婦人科病棟で助産師として働いて
気づいたことが大きく3つある。

❶失敗しなければわからないことがある現実

最初から全部の物品の名前と位置を覚えることは不可能で
緊急時にアレ持ってきて!!と頼まれて、わかりません!と半泣き、教えてもらって覚えたりする。
小さいことだけど、いきなり赤ちゃんの心音が落ちて、酸素マスク持ってきて、とか
内診するから内診セット持ってきて、とか
緊急手術になるから心電図モニター持ってきて、とか。
ああ、こんなこともわからないのか、と落ち込みながら、ここにこれがあったのか!と発見して、覚えていく。

看護についても、緊急対応でも
教科書でいくら読んでいても覚えていても、現場で出会って、初めて
こうやって助産師が、医師が動くのか、この物品が必要なのか、ここをこうすればスムーズなのか、と感じていく。

数リットルの出血を目の前にする恐ろしい体験をして、自分が医療者として何をしなくてはならないか実感していく。
すぐにお産にならなくてはならない緊急入院ととる先輩達の後ろ姿をみて、アレ取ってきてコレ取ってきてと怒号を受けながら、次は私がこれをしよう、と覚えていく。
実際に生まれたばかりの赤ちゃんの蘇生をしてみて、先輩に貴方は吸引がヘタ、練習しなさい、と言われる。

日々新しいことで怖い。
穏やかに終わって欲しいのにそうはいかない毎日。
しかも、どんな新しいことが、どんなタイミングでくるかわからないから怖い。

でも、実際に経験してみないと、自分が何ができないのかわからない。
自分が何をしたらいいかもわからない。
いくらマニュアルの文章を読んでいても覚えられない。体は動かない。
とくに医療、そして産婦人科という切迫して、一刻を争う現場では
同時並行に物事を想定し考えながら、体を動かし、相手に伝え、どんどん進めていかなきゃいけない。

失敗は怖い。
全然わからない、と落ち込むのは嫌だ。
でも、当たらないとわからない。
当たれば、少し、わかるようになる。
それを少し、次につなげて生かしていくことが大事なんだと思った。

❷相手からの反応があることの嬉しさ

患者さんからすれば、この人若いからまだ後輩かなーとかは思われても
新人かどうかは医療者として関係ない。
患者さんとの関わりが一番多い看護職は面倒だったり大変なことも多いけれど
やっぱり人のすぐ近くで関わり続けられることは幸せだ、と感じることも何度かあった。

今日も私の受け持ちですか?嬉しい、と笑ってくれた患者さん。
明日退院だから、最後の夜の夜勤さんが貴方で良かった、と言ってくれた患者さん。
マタニティーブルーになった褥婦さんに、なんと声をかけたらよいか迷いながらも、出てくる言葉を聞き続けた時間。
一緒にやってもらってから、授乳が楽になったんです!と言ってくれた患者さん。

嬉しい、と心の中でちょっとだけガッツポーズする。
皆が今退院されて、元気に育児をしてくれていたらいいなと、心から思う。

❸お互いを頼り支え合ってするのが仕事

一人で何もかも回せることが大事なのではなく、チームとしてその勤務のすべきこと全体を終わらせていく。
そのために一人でできること、任せてもらえることを増やしていく。
あれもこれもとタイミングが重なり手が回らないときは、どこを助けてもらったら回るのか、他のスタッフにお願いする。
逆に自分の手が空いたなら、何か手伝えることはないかきいてみる。

新人だから、ではなく
入職して半年くらい、少し周りも見渡せるようになってから
先輩たちもそうしてると、わかるようになった。

この人の観察今しかない、というときにナースコール対応とか
この人の授乳ケアいこう、というときに点滴が漏れたとか
あれを記録しなきゃ、というときに緊急入院とか
これしなきゃ、って焦ってるときに患者さんに呼び止められたりとか

今日の勤務はこうやってやっていこう、と立てたスケジュールが
さまざまなタイミングで崩れることは多い。
多重業務、割り込み業務、というけれど

私の中では、ゲームの中でゴールを目指しているのに、
次々と予想だにしない死角から敵が襲ってくる感覚に近い。

そんなとき焦るし絶望するし落胆するけれど
抱え込んで後回しにして、結局大事なことが漏れてしまう遅れることの方が
患者さんの安全のために動く医療者とはいえない。

一人で解決しようと思う方が危険で
優先順位と、自分が絶対しなくてはならないことを、すぐに判断できて
他者に自分が大変であることや、どうしたらうまくいきそうか伝えられることが大事だと学んだ。

え、そんなんで悩んでるの?
え、こうすればいいじゃん
なんて、実際先輩に言ったら解決しちゃうこともざらにあるけれど
それだって学びになる。

個人プレーも増やすことは大事だけど
それをチームプレーにも生かすことができるのが
仕事なのかな、と思うようになった。

後輩がきたら、少しは私は先輩に見えるだろうか。
楽しみなような、やっぱり不安。

でもこれまでと同じく、淡々と
やっていけたらいいなと思う。

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