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Tipは払わなければいけないのか

美容室の記事を書いたとき、Tipについて色々思い出したことがあったので、今回はTipについて考えてみます。

Tipを強制されたと感じた過去

この経験は前回渡米した時の経験です。
日本人はTipを払わないという印象がアメリカでは強いためか仕方ないのかもしれませんが、アメリカ人のパートナーと行動しているときはTipを強制されたと感じたことがありません。

当時のTipの相場
満足した接客  20%
普通の接客   15%
いまいちな接客 10%

美容師に説教された日

前回ハワイに移り住む直前、アフロに憧れてソバージュのようなパーマをかけてから渡米しました。
その後、務めた学校でヘアドネーションのイベントがあり、パーマをかけた髪でも良いとのことだったので、長くなった髪をばっさり。ただ技術などは不安があったので、取り合えず横にだけハサミを入れてもらい、仕上げは自分で日系美容室に行くことにしました。

そして、いざ日系の美容室に行ってみると、
担当してくれた美容師さんは日本人でしたが当時19歳
日本ではまだ専門学生の年齢ですね。年齢から想像するとハワイで資格を取得した人なのかなと。
ハワイでは1800時間の教育を受けると美容師になれます。全日制の学校であれば1年くらいで取得できます。

パーマが厄介な自覚はあったので私がお願いしたのは
・取り合えず何となく纏まりを持たせたい
・切りっぱなし感だけはどうにかしたい
・この状態の髪でできることを提案してほしい
そんな無理難題をぶつけたつもりはなく、むしろできる範囲で、できることをお願いしますと下から出たつもりです。

美容師からの回答
・無理です。
・何でこんなパーマかけたんですか。
・二度とこんなパーマかけないでください。

えっえっえっ
私はパーマかけたのは後悔しておらず、周りからも評判もよく、満足していたので、まさかの説教に正直かなり不快に感じました。19歳、明らかに経験も浅そうなので余計に。
「そんなの私の自由でしょ?」

取り合えず、やれることだけやります、といった感じで切ってくれたのですが、支払いには最初から15%のチップが上乗せされて請求されました。
私としては一瞬サービスを受けずこのまま帰ろうかと思うくらい不快な気持ちになったので、その気持ちを伝える意味でも15%払いたくなかったのですが、
15%払うのは当然です
という美容室の態度とアメリカのサービスに不慣れで何が正解かもよく分からなかったので、払ってしまいました。今だったら文句言って10%しか払わないと思います。

最近はあまり見ませんがレストランでもTip込みで最初から請求してくるところもあるので、二重で支払わないように気を付ける必要があります。

ワイキキのレストラン

両親がハワイに遊びにきてくれたとき、お世話になっている同僚家族(日米夫婦と娘さん)と一緒にワイキキのレストランに行きました。1人を除いて全員日本人です。
支払いになったとき、テーブルを担当してくれたウェイトレスの方が
「Tip15%上乗せして請求書を持ってきていいですか?」
と聞いてきたのです。

特に問題なく、楽しく過ごしたので相場の15%支払うつもりでいたのですが、先に言われると若干不快に感じました。

日本人はTipを払わない

という印象はハワイでもかなり強いようなので、ワイキキならではの対策で仕方ないと思う反面、Tipは義務ではなくお礼という感覚が抜けない私には
なぜ相手がTip額を決めるのか
私に決める権利があるはず

と最後の最後で少しだけ不快になりました。

シアトルのホテルで

研修でシアトルのホテルに1週間ほど滞在したときのことです。
宿泊初日に、研修担当の人から清掃員にTipを置くように指導されました。当時の相場は$1~2/日でした。
この清掃員向けのTip、アメリカ人の中でも意見は色々です。
一緒に参加したアメリカ人教師たちの中でも毎日Tipを払う人、最後にまとめて払う人、払わない人それぞれでした。
まとめて払う、と言っていた教師がいたので私たち日本人たちも最後に払うつもりでした。(毎日1ドル紙幣を用意するのも大変なので)
が、ある日ホテル側から
毎日Tip置いてください
と言われたのです。
清掃員は毎日違う人が担当する可能性があるので、その都度担当した人に払ってほしいとのことでした。
Make senseと納得できる説明でしたが、やっぱりTipって強制されるんだと疑問でした。
文化ですし、高額でもなければサービスがイマイチだったわけでもないので、この時は不快にまでは感じませんでした。
しかし、よく振り返るとパートナーとホテルに泊まったときに清掃に対してTipを払ったことありません。(ホテル内で受けた他のサービスには基本Tipを出しています。) それでホテル側から何か言われたこともなく。
日本人グループだったからあの時ホテル側も言ってきたのかなという気がします。

彼が清掃員にTipを出さない理論としては、
レストランでのTip
グラスが空になっていないか様子を見に来てくれたり、お勧めを教えてくれたり、水を持ってきてくれたり、と「注文したものを持ってくる」という本来の仕事に上乗せされたサービスに対するもの
清掃員へのTip
「清掃」という本来の仕事以外何もしていないから払う必要なし
のようです。

レストランワーカーにとってのTip

払うつもりでも相手に言われると払いたくなくなるという、天邪鬼な私ですが、この話を最初に聞いた日から、私の中でTipに対する意識が変わりました。

州によって変わるのですが、多くの州でレストランの雇用主はウェイトレス・ウェイターに殆ど給料を払っていません。
Tipが期待される仕事では、Tip込みで最低賃金を満たせばよいという法律を持つ州が多く、アメリカ政府はそのTipped employeeの最低賃金を$2.13と定めています。

https://www.dol.gov/agencies/whd/state/minimum-wage/tipped#foot1

例えば、パートナーの故郷ペンシルベニア州では
最低賃金$7.25
Tipped employeeの最低賃金$2.83
と定められています。

300円/時間で働いていると知ってしまうと、払わないのは本当に申し訳なくなります。同時にレストランのオーナーの一人勝ち?!と思ってしまうのですが。

しかもこのTip、バーテンダーやレストランの受付でお客さんの席割りを決めている人たちとシェアしたりします。
レストランの入り口にいる受付の人は、バランスよく同僚の担当するテーブルにお客さんを割り振らないと後で不満を持たれるし、逆にウェイター・ウェイトレスはTipを受付けの子にシェアしないと自分の担当テーブルにお客を回してくれない、など影のドラマもあるようです。

アメリカのレストランで担当の人以外注文を聞いてくれないのは、完全役割分担制に加えて、そういうTipとTipに関する人間関係などが理由としてあるようです。

丁度シフトが変わるタイミングでレストランに行くと、その子が仕事を上がる前に先にその時点での支払いを済ませてあげたりもします。


ハワイ州では比較的雇われ側に優しく、殆ど最低賃金との差がありませんでした。しかし、ハワイのローカルの人が払うTipは相場より少ない印象です。
最低賃金;$10.10
Tipped employee;$9.35

時給高騰で日本でもニュースになっているNYは、Tipped employeeの最低賃金も他の仕事の最低賃金と同じでした。

そう考えると、州によってTipの相場が変わっても良さそうですが。

いくつかの州の求人も見てみましたが、時給が書かれていない求人の方が多かったです。代わりにTip込みの見込み収入額が書かれていました。
その中でも最低賃金が同じNYは時給が書いてあるものと半々かなという印象でした。

最近の傾向

現在、アメリカでは政府の政策により通常の失業保険に上乗せで$600/週もらえます。(国からの上乗せ分だけで月30万近くもらえるなんて、そりゃ働かないわなと思ってしまいます。)
結果、下手に働くより失業保険の方か高いアメリカ。その為、レストランが再開しても、もともとストレスの多い接客業にわざわざ戻りたい人もおらず、低賃金の仕事では求人が求職者の数を超える現状です。これを機にレストランワーカーの待遇の見直しが期待されてもいます。

また、以前はセルフサービスのお店、テイクアウトではTipは不要でした。
レジの隣に一応Tipを入れる瓶は置いてありましたが、払う必要はなく。
Tipを払うところ、払わないところとハッキリしていたのですが、最近はレストラン以外でもどんなサービスに対しても支払い時Tipを聞かれます。
強制ではないものの、あわよくば、という感じで。

Tipの相場も今では20%ですし、物価と共にTipのインフレも進んでいきそうです。

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