【読書】これはバグですか? いいえ。仕様です。
本日の一冊
「名称未設定ファイル」
品田遊、キノブックス(2017)
リアルな世界からSF色濃いめのものまでどこか仄暗い17の短編が収録された一冊となっています。
物語にバグが入り込んでますよ⁈ と思わず言いたくなります。
文章の途中に割り込んでくるセリフ。支離滅裂な文章。
それとも世の中の不条理やエラーがただ浮き彫りにされているだけなのか……。
なんとも言えぬ読後感がつきまといます。
「猫を持ち上げるな」
猫を持ち上げるのは虐待か?
ひとつのツイートから日に日に過熱していくネット上の議論を一歩引いて見ていた猫飼いの猫が脱走して——。
「この商品を買っている人が買っている商品を買っている人は」
時代は進み、自分の好みに合う商品が勝手に送られてくるように。
買うか買わないかはあくまで自分次第だけれど、本当に欲しかったものばかりが送られてきます。
性格も趣味も似ていた元カノと久しぶりに会話していると、男はある恐ろしいことに気がつきます。
「過程の医学」
サーモグラフィーのように体の悪いところを一目瞭然に可視化できる新デバイスを発明した男性が発表を渋るのにはある理由がありました。
*
ネット上のやりとりの妙が小説の世界に落とし込まれていて、ネットの世界に詳しければ詳しいほど、この本の面白さを味わえると思います。
↓私の日々の読書記録がこちらにあり〼
この中で一冊、面白そうと思ってもらえたら嬉しいです。
最近読んでおもしろかった本などありましたら、教えてください。
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