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冴ゆる夜に、在りし日を思う。

昨日から二十四節気では『大寒』という季節に入りました。
一年で一番寒さが深まる、二十四番目、最後の節気です。

二月四日の立春から季節は春に向けて動き出すので、冬を味わえるのもあともう少し。

この時期はどうしても寒くて少し家にこもりがちになるので、春が恋しい気持ちにもなりますが、
冬がもたらす厳しい寒さがあるからこそ、春の訪れに大きな喜びを感じられるのだと思うと、冬と春、陰と陽、どちらも必要なのだと改めて実感させられます。




「冬」という言葉で、ひとつ思い出したことがありました。

中学生の頃、私は国語の授業の影響で ”日本語の美しさ”というものをはじめて意識したのですが、
その大きなきっかけが「短歌を自分で作ってみる」という授業でした。

ただ教科書で習うだけでなく、能動的に言葉と対峙してみて、自分の扱っている言葉はなんて美しいのだろうと、ひどく感銘を受けたことを今でも覚えています。


その授業がとても楽しかったので、当時仲の良かった友達と短歌を作る不思議なブームがしばらく続き、
ここだけの話、数学など他の授業中でも、思いついたら小さなノートに短歌を書いてはその子とこっそり、交換ノートならぬ、”交換短歌”をして大いに楽しんでいたのでした。

まるで平安時代に、貴族が和歌で交流を深めていたように。

今思うとずいぶん渋い遊びですが、現在の私が言語に対して前向きな姿勢でいられるのも、当時一緒に、真剣に楽しんでくれた友達の存在と、
そんな私たちの遊びを面白く思ってくれ、コンクールなどに応募してくれた国語の先生のおかげかもしれません。



私の部屋には、当時大切にしていた『季語辞典』が今も残っていました。

短歌を作るために色々な言葉を知っていく中で、

「月冴ゆる」

という言葉が好きだったことも、今日久しぶりに思い出しました。

”つきさゆる”
とても美しい響き。

冬の季語で、冷えた大気の中に見える澄んだ月の姿を表した言葉だそうです。

「冴ゆる」という言葉自体が、”凛とした寒さが際立つ感じ”を意味する冬の季語で、他にも「冴ゆる夜」「星冴ゆる」なんて言葉もあるそうです。


厳しい寒さの中でも自然の美しさに目を向け、慈しむ人々の心が、こうやって言葉として表れ、今も残っていることを思うと、やっぱり日本語って美しいなと思うのです。


今日はそんな少し昔に想いを馳せる一日でした。




最後に、ちょっと練習がてら雪を降らせてみたので、試しに載せてみます。春が待ち遠しくて梅も咲かせてみたので、よかったら覗いてみてください。


まだもう少し寒さは続くと思いますが、風邪など召されませぬよう、皆さま温かくお過ごしくださいね。

では、今日はこの辺で。
お読みいただきありがとうございました。


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