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小沢健二 So kakkoii 宇宙 Shows 2022 (パシフィコ横浜国立大ホール)レポート

一昨日、小沢健二さんのライブにいきました。

レポートは書くより読み返すもの。
ここを見てくれるあなたと
未来のために書きます。

はじめに

小沢健二さんの音楽は
美術学生時代の友人が好きだから
聴くようになりました。

基本的に、音楽もその他の趣味も
友人が好きだから始めたものが大半です。

書くことに憧れがあるので
こうして書き標すようになりました。

はじめての‘小沢健二 Show’へ

私はまるで幽霊みたいに日々を暮らしていて、
この日もまるで幽霊みたいにひっそり会場にいきました。

人生は愉しむためにあるのだし
そのときにしか行かれない場所
見られないもの
起こらないことがあるのだろうと思いながら。

まず、会場がとても良かったです。
記憶に残る強い場所。

みなとみらいぷかりさん橋

外の景色は美しい。
海や空は美しい。

こういう美の存在を
ふだん忘れています。

横浜港 パシフィコ横浜国立大ホール前
パシフィコ横浜国立大ホール

こんなにも小沢さんの音楽を聴きにくる人がいて、
それぞれの生活があることに驚きます。
そうか、こういう人たちが
小沢さんの向こう側にいるのか、と、わかった気持ちです。

小沢さんがMCで言っていたのだけど
たぶん平均年齢40代。+その子どもたち。

この時点で、いってよかったと思いました。
家でしか見えないものがあるように
外でしか見えないものもあるから。

シーサイドロビー
マリンロビーのお花

ライブ会場では、お花を見るのが好きです。
きれいに盛りつけられた豪華なお花は、特別な感じがします。
親しさの象徴みたいだし、
送り手の誠実さを感じます。

サントリーほろよいさんのお花(+お酒+風船+イラスト)
「見てみてー」とぴょんぴょん跳ねる子ども
豪華なお花
1階席入口。座席数5002席。

So kakkoii 宇宙 Show 前半

19:20開演。
小沢さんデザインのステージ衣装で音楽隊のみなさんが現れて
ステージの真ん中に小沢さんがいました。

小沢さんは銀色(?)の髪をサラサラなびかせ
ぴょんぴょん跳ねていました。
ものすごく大きな声で歌っていました。

機械を通さない現実の音は
びっくりするほど力強くて
生命力にみちていました。

50代となれば誰しも
エネルギー満タンでいられるはずもないけれど
本当に元気でびっくり。
大丈夫かしら…。
ツアー中ずっと、あんなに元気でいれるのかしら…。

小沢さん好きな友人からもらった
メッセージを思い出します。

「健二」というお名前は
「健康くらいは、願ってもいいだろう」と、
かなり、ぶっきらぼうに付けられたお名前だと
どこかで読みました。

後半、少しまったりする私を
叱咤激励するような底知れぬエネルギー。
神々しい気持ちになります。

始まり始まり

So kakkoii 宇宙 Show はまず
「運命、というかUFOに(ドゥイ、ドゥイ)」から始まって
「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」のミックス。

「ドゥイ、ドゥイ」は最新の楽曲だけど
いちばんよく聴く曲です。

ある一時期とっぷりはまって聴きました。
作業していると
ドゥイ、ドゥイ的なものが欲しくなります。

エネルギーを燃やして
落ち着かせてくれるようなもの。
心地よく、軽やかで、適度に甘いもの。

でも ひといちの努力家で
しつこい
それは言いたい
もちろん最高の意味でだ
そこ好きなのだ

「運命、というかUFOに(ドゥイ、ドゥイ)」歌詞より

…という歌詞も
夜、大宇宙に一人いて一人じゃない気分になるのも
みんないいです。

アルペジオの
全身全霊で歌いつづける、という歌詞のとおり
全身全霊で歌いつづける小沢さん。

ときどき小説のような
おしゃべりがあって…

2020年、コロナという裂け目が現れて
この2年でみんな二歳歳をとった、
歳をとるのは僕にとって暗いイメージではない、
といいます。

動物も人間も生まれて育って死んでいく。
死ぬ、というのは若者にとって興味深く
ロマンチックでさえある。

でも若者という時期を過ぎると
死ぬことを話題にするのはタブーみたいになる。
けれど、やっぱり生まれて育って死ぬということは
ものすごく大きな輝きだと思う。

「マスクの下で歌っていても歌っていなくても
あなたの声が僕に聴こえます」

という小沢さんのMCが印象的です。

ステージは主にブルーとピンクとグリーンに照らされて
会場はピンクとグリーンの電子回路が揺れていて
その光景も私には忘れられません。

みんな最初から席を立って
臆さず手を振っていました。
本気で。ひたすら。
小沢さん、ありがとうーって感じで。

「流動体について」とか
「飛行する君と僕のために」とか
「フクロウの声が聞こえる」とか
一曲ずつが自分の気持ちと相まって
特別な小さな
応援歌みたいに聴こえました。

不安は言葉にすると
収まるものだなあ、と思いました。

無限の海は広く深く
でもそれほどの怖さはない
宇宙の中で良いことを決意する時に

「流動体について」歌詞より

大丈夫かな? 間に合うかな? 半信半疑

「飛行する君と僕のために」歌詞より

「大人になれば」とか
「泣いちゃう」とか
「ある光」とか
好きな曲がたくさん聴けました。

横浜パシフィコ国立大ホールの
一席を確保しながら
最初から全員スタンディングで
休みなく楽曲はつづいて
全然優雅じゃないけれど
小沢さんと観る人と
一緒に揺れていよう、と思いました。

「大人になれば」の曲とちゅう
古川という川のお話を聞きました。

新宿で湧き出て渋谷を通り
六本木界隈を通り
東京のど真ん中を流れている
なのに全然有名ではない川。

「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」の
歌詞の始まりの川。
今の東京を作っている川。

マリンロビー床におかれた古川の地図

この古川について
30年近く経って小沢さんが
やっとわかったことを教えてくれました。

過去の中にはいつも
未来が含まれている。

ということは
今の僕らが住む毎日の小さなことも実は未来を含んでいる。
現在の一瞬は絶対に、未来の一部なのだ。

ほんとそうだなあ。
このレポートも未来の何かに
つながっている、かもしれない。

いつかの記憶とマリアージュ

6月の夜、
私たちにいろんなことを思い出させる小沢さんの音楽が
いつかの記憶にじんわり
しみ込んでいくように思えました。

歌詞を変えて歌った曲がいくつかあったけれど
哀しさを感じる歌詞は
なかった気がします。

だからこそ
元の歌詞がまたしみるのです。
小沢さんはすごいなあ。

小沢さん好きな友人がいっていた言葉。

売れっ子のようでいて、
大事にしなければならないことは
敢えてやらない人だから好きなんです。

言い方を変えると
「引き算」がある人だと思います。

特に「今夜はブギーバック」の
アレンジされた歌詞が強烈に感じました。
とても性的で。

自分に戻る曲というのがあるけれど
この日のいくつかの曲も
私にとってそれだと思います。

健全なセンティメント。
私はそういう感情になる瞬間が
たぶんとても好きです。

「いちょう並木のセレナーデ(1994)」とか
「あらし(2002)」とか
「東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー(1994)」とか
青春時代の小沢さんはどこまでもロマンチック。

「ローラースケート・パーク(1993)」とか
「天使たちのシーン(1997)」とか
浮かぶ映像がとってもきれい。

小沢さんは いつも愛する人を空想しながら
詩を創るのかしら。
こんなに膨大な量の甘い言葉をつむぐのだもの。

私たちはそれを味わいます。

すごいなあ。
恋は本気ですると
死と同じくらい強烈なものかもなあ。

でも死の強烈さを知ってしまったら
ちょっとやそっとの恋じゃおもしろくないのかもしれないから
ほどほどが良いのかもなあ。

「大人になれば」の歌詞みたいに
成長という言葉にある喪失、
ある種のかなしみと前向きさを
共有した気持ちになります。

2時間ずっと全力の音楽を聴いて
すっかりひたりきってしまって
もう甘やかさとか音楽とか
しばらくなくても全然良い、
という足りた気持ちになりました。

恋とか愛とかもう
言葉なんていらない
みたいな気がしてきました。
それくらい強烈な体験でした。

So kakkoii 宇宙 Show 後半

後半、

MCとかしないでやって大丈夫ですか?
こんなに思いっきり音楽やることないから
もうそれで良いかなとか。

っていう小沢さんのMCに拍手がわいて
全力とはこういうことか、
と思いしりました。

(ただ、やっぱり少し ‘間’ は必要なのかもしれません。
聴く方も全力だもの。わら)

小沢さんの後半の底力は
本当にすごかったです。

小沢さんの底力
小沢さんの信用というものがしみて
今思い出しても
泣きたくなります。

あ、
いつの間にかMVが消えてしまった
『泣いちゃう』も(一部)聴けて良かったです。

So kakkoii 宇宙 Show アンコール

アンコール1曲目は「失敗がいっぱい」。

このホールにも取り返しのつかない失敗をした人が
多々いるだろう、という振りから始まります。

毎日は治す力がある。
そして人には治す力がある。

愛は治す。
愛は復活させる。

人はお互い治し合い
どうにか生きていく。

ほんとそうだなあ。
一人一人、みんな何かと戦って
失敗して
誰かと治しあっているんだろうな。

小沢さんの楽曲をただただ聴いていると
自ら気づくことがあります。
まるで、コーチングを受けたみたいに。
これは面白いことだなあと思います。

小沢さんが自らを振り返って
自分を励ましたり慰めたりする。

その歌を通して
私たちも気づく。

もしかしたら、ちょっと高尚で
感性的に共感を持たない人も
いるかもしれないけれど…。

何も考えずエンターテイメントを愉しむ場所で
さりげない緊張を感じます。

「怠惰」や「ゆるみ」があまりなくて
でも、ちゃんと愉しい。

小沢さんは文化が
怠惰な方向に傾いていくのを
治している存在かもなあ
と思いました。

世の中は言葉でできていて
小沢さんは心を使っている。
誰かを助けている。
誰かに教えている。
誰かを愛している。

心を強くしている。
心を整理している。

小沢さんのエネルギーは限りがないので
アンコールのとき私は挫折して
座って見ていました。

「僕らが旅に出る理由(1994年)」、
そしてアルバム「So kakkoii 宇宙」から
「薫る」
「彗星」
を歌う小沢さん。

小沢さんの言葉で
美しいクリエイティブで
これからも
あるべき理想を
ぽっと灯してほしいな。

So kakkoii 宇宙 Show おわりに

ライブ終わりの決め言葉。

初日、本当にどうもありがとう。
見つけてきてくれて本当にどうもありがとう。
物販とか売り切れとか出ててほんとごめんなさいですが
まあ、そういうもんです。


何度もありがとうをいう小沢さん。
途方もない礼儀正しさと
まあ、そういうもんです。という
あっさりした抜け具合がいいです。

まあ、そういうもんです。
ってこれから思おう。

6月という季節も良かったです。
暑くも寒くもなくて。

帰り見た世界最大の時計大観覧車「コスモクロック」


ここからはマリンロビーにあったPOPと物販を少し。


So kakkoii 宇宙 Show 物販コーナー

ライブも充実していたけれど
物販もとっても構成が意欲的でした。

壁ではなく床に敷かれた大きなPOPが
斬新です。

ライブや楽曲と重なって
思考が交差していくような仕組みが
盛り込まれています。

キャップ、ポロシャツ、Tシャツ、トートバッグ、ハンガーについて

小沢さんの知性が
見るもの全てを通してリアルに浮かび上がります。
独創的で、感動的。

音楽家という領域を越えていく裾野の広がりが
音楽という概念を大きく拡張して
ファンの心の奥底に届いているのではないかと想像します。

小沢さんの創造に触れることで
見ている私たちに力を与えているのではないかしら。

魔法的電子回路について


上に古川の地図を貼ったけれど
地図は全部で3枚ありました(たぶん)。

『アルペジオ』『いちょう並木のセレナーデ』歌詞地図

地図があると
歌詞から伝わるストーリーが
本当であるかのように納得します。

「実体験だけでなく、想像力で創造してしまう人だと思う」
と、友人と話したことがあるけれど。

『流動体について』『強い気持ち・強い愛』歌詞地図


こちらは、物販の一部。

「回転するうさ」T キッズ用
「回転するうさ」T 大人用
「1993年のオザケン」キャップ
「1993年のオザケン」ポロ
ピンク刺繍ボーダーT(うさ入り)
「流動体/強気強愛」地図Tと「LIFEの屋上」赤リンガーT
「アルペジオ/いちょう並木」地図トートバック

アドベントカレンダーについて

私が今回ものすごく感動したのが
香り付き「ツアーを待つ、アドベントカレンダー」です。

公演日はその街で撮った写真。
写真を擦ると4種類 ─京浜、福岡、阪神、名古屋─ の匂いがします。
(すごすぎる!!!!!!)


「こんなグッズ見たことない!」と思って
即注文しました。
思考回路をすっ飛ばすようなグッズでした。

視覚だけでなく
聴覚や嗅覚など記憶をも刺激し
覚醒させるグッズ。

私たちの脳裏に
いくつもの刺激の積層による
複合的イメージが生まれます。

毎日めくって
そこに書かれた音楽を味わうという
タッチポイントでのコミュニケーション。

毎日とどく
秘密の手紙のようでもあります。
とても楽しい(^.^)。

私たちにさまざまな情報を組み合わせて
メッセージを届ける小沢健二さん。

刺激に満ちたこの世界で
理性をふっとばす
快適な刺激をもらいます。

目や耳や鼻という感覚器官を通じて
外から入ってくる刺激と
呼び覚まされた過去の記憶が
脳の中で合わさって、
つながる。

小沢さんは本当にすごい。
ロマンチックも。
クリエイティブも。
センスも。
脱帽です。

小沢さんのやっていることは
コミュニケーション・デザイン
というのかしら。
兎に角、いつも新しいです。

今回も小沢さんは
たくさんの人を勇気づけたり
覚醒させたりしたのじゃないかしら。

新しい光に向かって
未来を切り開いていく小沢さん。
格好良いです。

おわりに

私はこのライブであまりに濃い時間を過ごし
ぐっすり眠って
朝起きて散歩して
少しあっさり生きてみようかな、という気持ちになりました。
たぶん、あんまり夜に聴いた音楽が濃かったからです。

あっさりするのは簡単。
けれど、あっさりしてしまうと
立ち戻るのが難しいかもしれない…

何はともあれ
すこし頭の換気が良くなった気がします。

これからツアーにいかれる方、
どうか楽しんで
いっていらしてください(^-^)/♡


追記:
『小沢健二 So kakkoii 宇宙 Shows 2022』、めちゃくちゃ盛り上がりましたね…こちらのnoteも自分史上最高のビュー数になりそうです…見ていただき本当にありがとうございます(-人-)”

今年の小沢健二さんお誕生日、ozkenバルスには参加されたでしょうか?僭越ながら自分のtweet を貼っておきます。小沢さんのトップファンの一人、江茂井🤘 kochy bambi(@KochyBunny)さん企画ありがとうございます^^

***

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