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アニメ動画の作り方 ─しまじろうのわお!「ハッピー・ジャムジャム」動画チャレンジしてみた─

 「親しみやすいカワイイ派」か「エッジの利いたカッコイイ派」か「萌え萌えキュン派」か──。あなたが好きな映像表現はどれでしょう?

 自分の場合、どれも好きです。なので、マーケット(例えばスポンサー)の期待に応えたいと思っています。期待に応えられる表現を身につけたいものです。

 ことの始まりは3ヶ月前の4月16日。Twitterで『しまじろうのわお!』演出を務める平林監督から、『「ハッピー・ジャムジャム」動画チャレンジ!投稿募集』がシェアされました。

テレビ番組「しまじろうのわお!」 動画の投稿を大募集します!【しめきり 6/30(木)】

大人気のダンス曲「ハッピー・ジャムジャム」を「踊ってみた!」「弾いてみた!」「歌ってみた!」「作ってみた!」を大募集! お子さん、学生さん、大人のみなさんもふるってご参加ください

しまじろうチャンネル(YouTube)

 がんばればできるかも…。新しいことや、おもしろいことができるかも…。そんな予感がしました。

 もともと自分は、キャラクタービジネス畑の人間です。これまでキャラクターを扱うメーカーのデザイナーをしてきましたし、日本の幼児教育で圧倒的なしまじろうを「社会的価値のあるキャラクター」だとリスペクトしていました。

 加えて『しまじろうのわお!』演出を務める平林監督をフォローしていることから、今回、動画チャレンジに参加させていただきました。

 応募作品はこちら↓。1分50秒です。

 アニメーション制作はまだ駆け出しの自分は、恐れ多くも「Twitterでフォローしている人好みのアニメーションを作りたい!」と思い、「親しみやすいカワイイ」×「エッジの利いたカッコイイ」キャラクター設計を目指しました。

 結果、現在の再生回数は205。フォロワーさんは70人程ですし、数字も伸びようがなかったことは言うまでもありません。ただ、後日しまじろう演出の平林監督からコメントをいただいて、気分は最高です^^。

平林監督にいただいたコメント

 ここから、経験知を貯めるためチャレンジの経過(アニメ動画の作り方)を書きます。

1. 『ハッピー・ジャムジャム』歌詞の意味を考える

 ハッピー・ジャムジャムとは何でしょう?日本語訳は、「幸福」「愉快」という意味です。歌詞はこちら(1番のみ引用)↓

ハッピー? ジャムジャム!
イエー! レッツダンス!

腰に手をあて お尻ふりふり
みんなおいでよ ワンダーランド
リズムにのって One, two, three
ときめき大好き

ハッピー・ジャムジャム 最高 踊ろうよ
いつもの笑顔で
ハッピー・ジャムジャム ジャンプアップ
飛び出そう

ステップ踏めば
パラパッパッパパ パラダイス

ハッピー・ジャムジャム / 作詞 横山武・作曲 樫原伸彦(抜粋)

 歌詞には、つづきがあります。要約すれば、歌詞4行目にある「ワンダーランド」に誘っている曲です。歌詞を見て、今注目のウェルビーイングな世界を思い浮かべました(ウェルビーイング:直訳は「幸福、健康」)。ウェルビーイングの研究者さんの著書には、こう書かれています。

 1日というミニマムな単位で見たときに、ある人はウェルビーイング
を「朝ワクワクして目覚め、夢中で過ごして、夜満ち足りて眠る」と言っていました。
 さらに長いスパン、人生としてのウェルビーイングを見るならば、「過去を振り返ったときに良かったなと思えて、この先の未来を見据えたときに楽しそうだなと思える」、というのが、社会科学の研究者が考えるウェルビーイングです。
 ともに共通するのは「未来を想像したときのワクワクする心」です。

むかしむかし あるところに ウェルビーイングがありました石川善樹著』

  ここで質問です。
 Q. あなたが心の中で感じる、ハッピーやときめきの感覚って何でしょう?



 好きなものを眺め、手に入れることでしょうか?



 興味あることを見つけ、好奇心を満たすことでしょうか?



 誰かと、思いを分かち合うことでしょうか?



 自分の考える究極は、その時々に、たとえ小さくとも自分の持てる全てをかけて創作し、人と分かち合い、その人の何か(笑いとか幸せとか勇気)とつながることです。

 ハッピー・ジャムジャムは、とても明るく元気になる楽曲です。けれど、「いつもの笑顔で」という歌詞は、いま笑顔じゃないかもしれない自分を、励ましたり、慰めたり、悲しみを吹き飛ばしたいのだと思います。「ジャンプアップ」は、ただジャンプするだけでも前向きな気持ちになるけれど、もっと上へ、もっと高みへ、夢をかなえて、ハッピーになって、ハッピーにしていこうよ、というメッセージだと思うのです。

2. キャラクターを考える

 歌詞の解釈をしたら、ビジュアルを考えます。平林監督は短編映画の作り方の中で「ビジュアルから考える」と書いています。私もそうです。まずはビジュアルのメイン、キャラクターを考えます。

 キャラクター設計を考える前に、リサーチをしました。

  1. 商品リサーチ(しまじろう)

  2. 競合リサーチ(アニメ・ゲーム、Vチューバー、ボーカロイド)

  3. 顧客リサーチ(Twitterにいる人)

 リサーチは、やらない方もいるかもしれません。クリエイターは、あまりやらない方もいるかもしれないですね。リサーチをやる意味はこちらです↓

 情報が増えすぎても、イマジネーションには良くないようです↓

 情報が増えると、イマジネーションが減っていきます
 なにかれと与えすぎると考えない。刺激が強すぎて、脳がバカになる

問い続ける力石川善樹著』

 新人のころ、何も知らなくてもアイデアがバンバン出てきました。天才も、イマジネーションが減ることはないでしょう。

 うまくいっているうちは突き進めば良いですが、うまくいかなくなったとき…(かつての自分です)。知識は多ければ多いほど、知識を関連づけて新たな組み合わせを生み出すことができます。アイデアは豊かになり、創作の力も向上します。

 発想のとき重要なことの一つは、まったく異なるものを関連づけて新しいアイデアを生み出す力です。状況により、情報はあればあるほどアイデアを生み出しやすくなります。

しまじろうを知る

 今回、初めてしまじろうの絵本を読みました。うまいなあ、さすがだなあ、と思いました。いつも、好奇心旺盛なしまじろうと仲間たちと、困ったことを解決する手助けをするガオガオさんが登場します。

しまじろう絵本『たんけん! うみのワンダーランド』
しまじろう絵本『たいようのしまのカーニバル』『ぼうけん! はっけん! たからじま』
しまじろう絵本『しまじろうともりのきかんしゃ』『しまじろうとロボットのくに』

 目指すのは、「しまじろうの世界観を大切にしながら、しまじろう公式ではやらないものを作ること」です。今回は仕事ではなく、自主制作の動画です。予測通りのことをやるなら、自主制作でやる必要はないでしょう。私が公式の版元なら二次創作はむしろ、どんどん個性を加えて欲しいと思います。

マーケットに聞く

 市場リサーチをしたら、動画チャレンジ用のキャラクター設計図を作ります。現時点の自分の限界も、ここで把握します。

 作ったものが良いか悪いかは、かけた時間や労力や思い入れでなく、市場に出して決めます。今回は初めてのチャレンジなので、Twitterでアンケートをお願いしました。動画をアップする場所はTwitter、つながりたい人がいるのもTwitterだからです。結果をふまえて、次の創作をします。

 アンケートの結果はこちら。7割の方に「2〜3頭身が良い」を選んでいただきました。

 Twitterは良いですね、いろんな情報を得ることができて…(*ᐡᴗᐡ*)。自分で考えたことなんて、本当につまらないです。情報をくださった方、アンケートに答えてくださった方、本当にありがとうございます。

 2〜3頭身も4.5頭身も票が入ったので、どちらもチャレンジすることにしました。自分の周りはやっていないですし、つながりたい人に受け入れてもらえるかもしれないですし…。でもどうやって…?とひたすら考えることになりました。

ラフ制作。うまくいかなければ次、のサイクル

 うまくいかないものは次にいくか、微修正をして活かすかのどちらかです。今回はとりっぴいが可愛くできたので、ラフをたくさん描きました。なぜその服?! なぜその髪型?! という、存在だけで愛らしいキャラクターです。とりっぴいを感情をそなえたキャラクターにしよう、人間になったとりっぴいのお話にしよう、と思いました。

 4.5頭身の擬人化も気に入っています。これまで男子を描いたことがないので、骨格や筋肉が怪しいです。

しまじろう擬人化4.5頭身ラフ

 アイデアは使わないものも多いです。ボツを眺めると効率悪く思うのですが、新米はボツの量がキレです。仕事でも、商品化に結びつくのは出したコンテの2~3割です。

 例えば今回ボツにしたもの↓

しまじろう擬人化2.5頭身(ボツ)

 例えば、今回デザインを変えたもの↓
動画の後半で眠るとりっぴいは最初、とりっぴい族で手をつないで寝ていました。バランスを見て、デザインも、ストーリーさえもどんどん変えていきます。

手をつないで眠るとりっぴい(ボツ)

 一つ創作物を完成するためには、早く「これじゃない」ものを見つけて、早く一粒の種を見つけることが大事ですね。

3. 動画の構成を考える

 動画制作は「自分の考えを整理して、それを動画に落とし込む」という作業です。自分に合った方法で構成を考えます。

3-1. メッセージを考える

 ビジュアルがだいたい決まったところで、メッセージを考えます。

  1. 誰に伝えるか

  2. 何を伝えるか

 あるのは、たった2分弱でも見てくれる人に無意味なものでないと良いなあ、という思いです。2分弱も命を使って見てもらうのですから。

1.誰に伝えるか

 誰に伝えるかは、メッセージを考える上で最も大切です。ちなみにWikipedia「しましまとらのしまじろう」によると、しまじろうの対象年齢は主に幼児層です。

 動画チャレンジ用のキャラクターは、小学生以上に設定しました。『チャレンジじゃんぷ号』という進研ゼミ教材にはしまじろうが存在して、『小学チャレンジ』になるとコラショというキャラクターになります。つまり、しまじろうは小学生になると卒業するのかな、それは寂しいな、と思ったからです。

 誰に伝えるか、具体的には、まず自分の信頼している人が受け入れてくれるものを作ろうと思いました。信頼している一人に伝わらなければ、誰に伝わるでしょう。その一人とは、自分のことを見てくれていると感じる人です。

 誰に伝えるかを決めると、「メッセージを伝えるためには ‘対象の求める質’ が必要」と感じます。その時点での限界はあるけれど、スキルは少しずつ磨いていきたいです。

2.何を伝えるか

 何を伝えるかは、メッセージです。
 伝える手法は、ストーリーです。誰に伝えるかを決めることで、手法は決まります。しまじろうのストーリー概要には、こう書かれています。

 主人公の『しまじろう』を中心に、『ちゃれんじ島』での生活をオムニバス形式で描く。多くは家族や友人とのトラブルをきっかけとして社会のルールなどを学んで絆を深める教訓話や、季節を楽しんだり夢の世界を冒険するといったファンタスティックなストーリーが多く取り上げられている。

Wikipedia

 これから季節は夏。夏のワンダーランド、夢の世界で絆を深める物語が、しまじろうらしい世界観になりそうです。本当に大切なものは何か、価値あるものは何か、考えるきっかけにつながるものができれば良いなあ、と思いました。

3-2. 表現方法を考える

 自分は漫画家やイラストレーターではないので、現時点でプロの漫画家やイラストレーターより良いものが描けるなんてありえません。なので、デザイナーの特性を活かすことを考えました。表現をシンプルにする、ということです。

 しまじろう演出の平林監督もグラフィックデザイナーを経験し、映像ディレクターとして独立した方です。以下はクリエイティブの専門誌『ブレーン』の平林監督インタビュー抜粋です↓

 ライトパブリシティでグラフィックデザイナーを経験し、その後モーショングラフィックを手がけるようになり、映像ディレクターとして独立した。平林勇さんはそんな変わった経歴もあり、テレビCMであっても画面のデザインや、ワンカットの完成度を重視することが多いという。

ブレーン『ディレクターに聞く キャスティングの裏側』

 こちらは以前も『簡単!ダイジェストムービーの作り方』で紹介した、平林監督のnote記事抜粋です↓

 間違いなく間が持つのは、イラストの時点で最高のクオリティにしておくことです。極端に言うと、紙芝居にしても見ていられる密度と情報量のイラストにしておくことです。そうすると、ちょっと動いただけでも、すごく豊かな印象が伝わります。

 これはイラストだけではなく、デザインでも同じことが言えます。ものすごくシンプルなんだけど、しっかりデザインされた画面は、そんなに一生懸命アニメーションさせなくても、間が持ってカッコよくなります。イラストやデザインが中途半端だと、いくらAfter Effectsで頑張ってもダメです。

平林勇監督『穏やかで退屈な日々』

 「ものすごくシンプルなんだけど、しっかりデザインされた画面」、わかりやすくいえば、ミッフィーのような世界でしょうか。マーケット、例えばスポンサーが「宮崎駿のような世界観が良い」というのであれば、それに応えたいと思います。ただ、自分はその力量もないので、今ある全力を出すしかありません。今回の結果を踏まえて、また次です。

 余談ですが、自分が漫画家やイラストレーターでないということは、アニメ制作において絶望することの一つです。けれど、漫画家やイラストレーターでないということは既成の概念にとらわれず好きにできる、ということです。シンガーソングライターの甲本ヒロトさんは、こう言っています。

 未来は真っ暗。 お先真っ暗というのはすげー前向きな言葉だよ。真っ暗なんだよ。どこがいけないんだよ。そん中に すっげー誰も見たことがない、どんなに勉強したってわかりっこない、 素晴らしいものが隠れてるかもしんない。 真っ暗ってことはいいねえ。みんな平等で。

心揺さぶる甲本ヒロトの名言

 自分は以前、キャラクターの版権を扱うデザイナーでした。なので、好みとは別に、どのような世界観がどの程度受け入れられるかのフィルタリングは持っています。もちろん、時代は変わり、キャラクターの力やキャラクターに求めるものの傾向も変わるでしょう。

 だから、これが最高!これが熱い!と教えてくれる方は大好きです。それが正しいかはどうでも良くて、まずは信頼している人の関心を聞いて、その人に受け入れてもらえるものを目指します。

4. 動画を作る

4-1. 動画制作の流れ

 動画制作に入ると、リサーチしたことは全て忘れ、制作に向かいます。普通はシナリオをきっちり作って動画を作ると思うのですが、企画から編集まで自分なので、ストーリーもイラストもぼやっとしたまま動画にしながら精度を上げていきます。下記の流れです。

  1. 大雑把なストーリーボードを作る

  2. ラフで動画を組み立てる(音楽があれば合わせる)

  3. ストーリーが破綻していないか流れを確認しながらイラストを詰める

  4. 全体のバランスを見ながらイラストとデザインを詰める

 今のところストーリーものは、このやり方です。1. 2.は、プロ(平林監督)は頭の中で出来るようです。ストーリーは直感と論理で大まかに作り、動画も直感と論理で大まかに作り、最終的に直感と論理で詰めます。全ては、独創的な世界観を持ったビジュアルを作るためです(平林監督の受け売りです)。

4-2. 掴みを作る

 「冒頭10秒に必ず掴みが必要」と、平林監督はいくつかのインタビューで答えています。大手のような素晴らしい表現が難しいビジネスアニメーションの世界では、冒頭5秒で離脱するか決まるといわれます。なので、まず冒頭5〜10秒の掴みを意識しました。

冒頭4秒は無音

 もともと、ハッピー・ジャムジャムの音源には鳥の鳴き声が入っています。森林をしまじろう号(船)が駆け抜けるシーンに野鳥を入れたら、ぴったりでした。「楽しそう」「行ってみたい」と思う入り口になったのではないでしょうか。これは野鳥撮影が趣味の、つながりの研究者さん( @naoki_maejima )をフォローしていたおかげで出来ました。出来過ぎて、最後までこの世界観が保てるか心配でした。冒頭がうまくできると、創作モチベーションがアップします。

4-3. シーンを決める

 平林監督の『短編映画の作り方』に、「ロケ地を先に決めよ」と書かれています。舞台は「海のワンダーランド」に決めました。これは、おでかけ子ザメちゃん( @Penguinbox1 )のリスペクトからきています。海は怖さもあるけれど、海のキャラクターは可愛いですね🦈🐧

4-4. ドキドキ感を演出する

 冒頭のシーンがラブリーにできたので全体を明るくハッピーに作りたかったのですが、ドキドキの雷シーンを作りました。あなたに最後まで見てもらいたいからです。作ってみたら怖くて、「暗いシーンはいらないのでは?」としばらく考えたのですが、今となってはこれで良かったです。楽しいことも、苦しいこともあるのが人生ですし。

4-5. 感情を表現する

 ワンダーランドの背景には、キラキラを所々に使っています。キラキラや雷など非日常感を演出できる素材を使うと、ドキドキや壮大感を表現できるからです。感情の喜怒哀楽を表現するのにも、適しています。ポップなアニメ動画ならではの演出です。ちなみに、キャラクターの感情表現が今回「一羽」に集中しているのは、シンプルにするためです。話は1つしか伝わらないのです。

4-6. 心に残るゴールを目指す

 単にコーラを飲むかのようにさわやかに終わるんじゃなくて、作品の面白さに引き込まれてさらに心に残るムービー、それが作れると一番理想

平林勇監督インタビュー

 「終わりよければすべてよし」ということわざがありますが、途中で面白くなくても、最後が気持ちよく締めくくれると印象が良いです。「え? そこで終わり?」というあっさりした結末でなく、2分弱でも、2分弱だからこそ、余韻を大切に、あと味が残るエンディングを目指します。

番外編. 気持ちを上げる

 動画制作中の息抜きは、読書です。動画制作には「知識」も必要ですし、平林監督のインタビューやnote記事は何度も読み返します。動画制作中に読むと、とてもためになるしワクワクします。動画制作に携わる方に絶対オススメな記事は、以下2つです。これを読まないなんて、なんて損しているのでしょう…。

▼『【インタビュー】映画なの? CMなの?新たな映像表現“ブランデッドムービー”の可能性』記事はこちら。


▼『ブランデッドムービーの旗手たち』
インタビュー記事はこちら。


短編映画の作り方』記事はこちら(有料記事1000円)。

 平林監督はもともとCMディレクターをやっていて、毎日広告デザイン賞や朝日広告賞を本気で狙う学生でした。実際、賞をとったとき心から驚きました。普段のほほんとして、全くそんな空気を醸し出さない方だからです。日常のtweetも一見のほほんとしていますが、実は国内外の賞をたくさんとっています。

 今も監督自身が現役バリバリ、SDGsアニメも、美しい映像も、マペットなお仕事もされています。仕事だけでなく、自身の作品である短編映画を20年あまり作りつづけ、試行錯誤し、成功と失敗を身を持って体験しています。今回の動画チャレンジのように、学ぶチャンスや情報も提供してくれます。動画制作や映像制作に関わる方は、ぜひ記事を読んだりフォローしてみてください。どうせ学ぶなら、その道の一流がいいですよね。

5. 作ってみた結果

 今回、極力情報量を減らしてメッセージ性を高めることを意識しました。後から知ったのですが、アニメーションは動画に定義されるけれど、情報量を減らしメッセージ性を高めるのは映像の方法論のようです。しばらく、この手法で創作してみたいです。

 足りないと感じるのは、「日本」の味です。でも、日本の味って何でしょう…こんな感じでしょうか?↓

 次は、日本文化も取り入れてみたいです。

6. 新しい表現について

 今回スキルが足りず、〆切の6月30日までに出来なかった表現がありました。なので、7月に入ってAfter Effectsで修正をしました。といっても、すごい技を足したわけではなく、気になる箇所を直す作業です。

 修正の理由は、今後も「やり方がわからない…」とぜったい悩むからです。いつかやらないといけないことを、今やれるだけやっておく方が懸命だと思いました。こだわりすぎは悪なので、気になる箇所の修正が目標です。

 やってみた結果、動画のクオリティが上がったわけではないけれど、2週間ですごい技がどうやって作られているのか少しわかってきました。知識が増えれば、組み合わでアイデアやコンセプトも浮かびやすくなりそうです。これからも少しずつ、After Effectsを勉強していきます。

 映像制作は8割作って、8割から10割にクオリティアップの部分が結構ミソだったりします。

映像クリエイター

 これは、映像制作を仕事にしている人の言葉です。とても印象的です。なぜなら、ほとんどの “普通の”小さなビジネスは、「そこまでクオリティは必要ない」「クオリティは曖昧なもので、ほとんど差がわからない」と言われるからです。

 なぜ “普通の”小さなビジネスに「そこまでクオリティは必要ない」かというと、資金をドカンとかけられる大企業のやり方を真似しても、うまくいかないからです。うまくいく前に、資金が底をついてしまいます。戦略戦術なくクオリティにこだわっても、投資対効果は祈るばかりです。

 ただ、クオリティに関しては注意が必要です。仕事であれば、作り手の思う品質より、買い手の思う品質の方がはるかに重要です。誰のためのものか、によるものです。

 実際、自分は “企画構成” を得意とする師匠が “知覚価値” で苦労し、事業を縮小する様子を見てきました。また、信頼のおける先輩から「あなたが提案しようとする企業規模なら、“普通の”ビジネスアニメーションのクオリティではダメだ」とも言われました。

 だから、今回クオリティを上げる試みは他人から見れば必要ないかもしれないけれど、クオリティ8割でOKなところを超えたいという思いが、いつか大きな差になると思ったのです。

 過去やり始めたこと、例えばカメラも、いつももう少し、あの時がんばっていたら、と後悔することがあります。

 必要以上にクオリティを追求して気持ちよくなりたいわけではなく、いつか必要となる時のためにスキルを身につけたいです。やってみたら少し出来た、という小さな成功体験は価値で、これから1年くらいスキルの点を打って、それが線になるまでやりたいです。わかっていることは、何もしなければ、ただ消えて無くなるだけということ。自分と応援してくれるひとを信じて、少しずつ進んでいきたいです。

7. ハッピー・ジャムジャムの歌詞の意味を考える(再び)

 動画チャレンジを終えて、ハッピー・ジャムジャムは「チャレンジ」するたびにうまくなっていく、結果、最高
!という言葉も出てくるいうことかな、と思いました。

 まずは、やってみること。

 自分の動画制作のスタートは、子どもの安全教育の絵本を動画にすることでした。それが経験となり、自信となりました。

 動画制作を始めたばかりの頃の動画を今見ると、お粗末に感じます。でも、作るたび学習しました。最初のころは月並みです。ただ走っているだけとか──。内容も練られていません。場数を踏むだけで、スキルは上がります。

 少し自信がついても、不安になることがあります。ネガティブな感情は
体を萎縮させ、力が出なくなってしまいます。けれど、ほんの少し、たった1mm 進んでみるだけでも
不安は吹き飛びます。

 ハッピー・ジャムジャムのように、
最高の気分を感じる時のこと、絶対できると思うことや
得意と思えることでジャンプアップする場面を思い描くことは、ハッピーになったり、周りをハッピーにしていくことにつながるのではないでしょうか。

 私の姉は10年前に写真を始め、少しずつ腕を上げ、今度、写真集を出すそうです。その事実に、とても勇気をもらいます。

 最高の気分で、初めて取り組むことでも、
苦手だと思っていることでも、やってみる。自分の感情がポジティブだと、「できないかも」と思ったことが「できるかも」と思えてきます。

 日々
ポジティブに、ときめく気持ちでやることで、自分の能力がより引き出され、より良い結果を手に入れる。自分の周りに良い人や、良い縁、良い運も集まる
。

 「ほんの少し、胸の高さが変わるだけで
人生は大きく変わる」そういうことをハッピー・ジャムジャムは伝えているのかもしれません。

 今回は微力だったかもしれないけれど、これをきっかけにハッピーで最高な風が吹けば良いなあ、と思っています。

8. まとめ

動画チャレンジのまとめ

 今回の動画チャレンジの進行具合です。

ハピジャム動画募集から完成までの流れ(3ヶ月)

 前半:リサーチ、企画構成、キャラクター設計、ラフ画
 後半:動画編集、イラスト・デザイン修正

 今回は人気アニメしまじろうの力を使わせていただくことができたので、ゼロから作るより、とてもやりやすかったです。

 個人がオリジナルでアニメーション動画を作るのは少しハードルがあるけれど、二次創作はとっても楽しいです。ここから、また新しいチャレンジです。

視覚表現の価値

 あるときは動画、あるときはnote記事、あるときはDM…
自分にとって手段は、何でも良いと考えます。メッセージが伝えたい人に届いて、反応をもらえれば大成功です。ただ、視覚の力は大きいです。視覚の力が有効である理由を説明したデータは、こちら↓

・脳へ送られる情報の90%が視覚である
・視覚は文字より6万倍速く処理される
・40%の人がテキストより視覚情報に対してよい反応を起こす
・93%のコミュニケーションは非言語である
・口頭のみのプレゼンテーションより視覚を利用したプレゼンテーションの方が通る確率が17%高い(口頭のみが50%、視覚を加えた場合が67%)
・人は視覚で得た情報の80%を覚える(「読む」は20%、「聞く」は10%)
・インフォグラフィックはテキスト記事より30倍程多く読むことができる

The Power of Visual Content [Infographic]

 自分にとって、視覚表現もテキストも重要なツールです。どちらも、時代が変わったとしても役に立つものだからです。2つを組み合わせ、今という時代に合ったものが動画というメディアだと考えています。

キャラクターの価値

 これまで自分は、30年ほどキャラクターに関わってきました。『成功するキャラクターデザインの法則』という本の中に、こう書かれています。

・キャラクターは文化になりえる。
・キャラクターは家族や友人の代替になりえる。いっしょにいて心安らぐような存在。常にそばにいて心温まるような存在。
・物語に乗せれば生活や社会との関わり方まで深く掘り下げられる可能性がある。
・未来の事業に活かせる可能性がある。

成功するキャラクターデザインの法則

 以前は絵本や漫画がキャラクターのコアにあるものだったけれど、今は動画というすごいメディアを誰でも使えるようになりましたね…。

 平林監督は短編映画の作り方の中で、「最初の3本は絶対に失敗するんでサッサと作り終えて、4本目から勝負すればいいんです。」と書いています。まだまだ道は始まったばかりです。次の動画も全力で考えます。また見てくださったら、とてもうれしいです(o̴̶̷̤ ᴗ o̴̶̷̤)

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