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【大学へ行く意味はあるのかⅠ】現役大学職員からみる大学キャリア教育のリアル



一児の母になった大学職員の私の解は「大学にこだわる必要はない」です。

大学の仕組みのリアル

現状の大学の仕組みは、人の可能性を伸ばす仕組みにはなっていません。
「大学生活は、社会人になる前の準備期間である」としたとき、その準備についての情報提供・機会提供が十分できているとは思えないからです。
現状、機会を取りに行く人、取りに行ける人がチャンスを掴む仕組みになっています

だから、「大学にこだわる理由はないなぁ」と思うのです。


【大学内】のキャリア支援はオワコンだ

大学職員である当事者の私が言うのも悲しくなりますが、大学で用意しているキャリア支援は本質的でなく、あまり役に立ちません。

力を入れているような大学ですら、大学3年次から就活支援への取り組みがほとんどです。(企業説明会・キャリア面談・履歴書添削など)

「自分のキャリアを考える」とか「社会を知る」という意味で本質的な自律的キャリア支援をしてる大学はほとんどありません。(もちろんゼロではありません)

▼前年踏襲が基本スタンス

・大学運営は、就職率にしか興味がない→2:6:2の下の2の支援中心の施策
・大学職員(準公務員)はジョブ・ローテーション→専門家は生まれにくい

理由は様々ですが、大学内のキャリア教育は「オワコンだ」というのが実情です。
学生が納得した就職先をみつけようが、自分らしく働くことができるか、その未来にさほど興味はないのでこの変化の時代に「前年踏襲」が基本スタンスです。

余談ですが、この変化を嫌う「前年踏襲」スタンスに一石を投じたかった新卒の私は、「これは学生にとってどんな価値があるのですか?!こうあるべきでは!!もっと議論しましょう!!」と、何の装備もせずに役職者に素手で立ち向かっていき(意見を主張し)、何度も「頑張っているね」と流されました。(当たり前)
そして、量に質が追いつかず、2年目に疲弊し、疲弊したのです…。



▼大学は「専門研究機関」

大学は、学術の中心として深く真理を探求し専門の学芸を教授研究することを本質とするものであり、その活動を十全に保障するため、伝統的に一定の自主性・自律性が承認されていることが基本的な特質である。

文部科学省「我が国の高等教育の将来像(答申)」より

大学は研究機関。
大学教授からしても、変化の時代に合わせて授業をアップデートしたり、ゼミ生の就職についてアドバイスをしたり、情報提供したりするメリットは多くないというのが実状です。(もちろん、支援をしてくださる教授もいると思いますが)


【大学外】の”キャリア教育市場”は、弱小市場

では、大学内側ではなく、アウトソーシングする大学外のキャリア教育市場はどうでしょうか?

社会人教育研修市場:約5000億
大学キャリア教育市場:約13億

大学キャリア教育は、切磋琢磨が起きない小さな市場です。
理由は単純で、企業と大学(大学生)の持っている予算の差。
前段で書いた通り、大学は予算をかける必要がありません。それでは利益にならないため、大手企業もこの市場から撤退を続けています。いくら投資しても、赤字になるので市場は拡大しづらいのです。


▼無料が溢れる学生サービス

キャリア教育に限ったことではありませんが、学生サービスは、無料なものが溢れています
新卒人材紹介はサービスも人材紹介のビジネスモデルと一緒で、成果をあげれば企業から報酬がもらえる仕組み。相手が無料では、市場も大きくなりづらいのも無理はありません。


結果的に、多くの人が自分のキャリアに向き合う仕組みやいいサービスに触れあう機会は平等にはありません。


「平等であるべき」ではないのかもしれない

私は、機会を取りに行く人、取りに行ける人がチャンスを掴む仕組みになっていること自体に批判的な立場をとっているわけではありません。
むしろ、社会に出たら機会が平等に用意されていることはないわけですから、「社会人になる前の準備期間」としてそのような状況があることは自然なことなのかもしれません。


ただ、今ある大学生活は、社会と学生を繋ぐ架け橋としては、社会とあまりにも、かけ離れすぎているのだと思います。

社会ってどんな場所か?
社会には、どんな仕事があるのか?
自分にとっての幸せとは何か?
自分には何ができそうか?何に興味があるのか?

「社会を知る機会」や「自分と向き合う機会」の必要性を誰も教えてくれない。


スマホ1台で学べる時代の教育

スマホ1台で様々な情報を収集できるこの時代になりました。
まほろん(0歳)が中学、高校を卒業する頃には、大学の在り方も周りの環境も教育の形もガラッと変わっていることでしょう。


現在も、以下のような面白いサービスがあります。

▼ライフデザインスクール
最先端の教育メソッドと組織論、これからの働き方の知見に基づいてプログラムされた6か月間自分と向き合うスクール。


▼POOLO
「21世紀型グローバル人材」が学ぶ場としてのコミュニティ型プログラムです。 世界中を旅した経験を活かし、日本の未来を創るグローバル人材を育成する。



▼神山まるごと高専
Crazy Wedding創業者の 山川 咲さんが創業メンバーを担う高専。ITやソフトウエアなどの最先端テクノロジーの教育、 アイディアを形にするUI・UXを中心としたデザイン教育で社会に変化の一歩を生み出せる人材「起業するデザインエンジニア」を輩出することを目指す学校。


こんな風に、大学以外で学べる選択肢がたくさん出てくるんだと思います。


社会と学生を繋ぐ架け橋としてできること


この現状を受け止めながら、いち大学職員として、学生に、組織に、世の中に、何を残すことができるのか?

大学職員だって価値創造できるんだ!!!!
というエゴは捨てて、大学内にいる私に何ができるのか?

そろそろ、素手で戦うのは無茶なお年頃‥泣
引き出しと、いざとなったときの装備を蓄えていこうと思います。

社会と学生を繋ぐ架け橋になる機関の一員として何ができるのか?どのように自分のエネルギーを全うできるか、どんな可能性に挑戦できるか?考えてまた発信してみようと思います。

▼ 社会と学生を繋ぐ架け橋としてはかけ離れすぎているのでは?というリアルを大学生のキャリア選択の視点からを書きました。


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