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男子学生スティーブンがフェミニズムを学ぶ理由

 シドニー大学院で「ジェンダーと政策」という授業があった。この授業を取っていたのは、私を含めて確か6人(女性4人、男性2人)だった。
授業は課題の論文や本を読んできて、少人数だから毎回全員でそれに基づいたディスカッションだった。だから、教授(女性)を含めて、自然とみんなで仲良くなった。

ある時、教授がスティーブンという学生に次のように訪ねた。

「あなたは、いわゆる男性的な男性に見えるけど、どうしてフェミニズムのこの授業を取っているの?良かったら、教えてくれる?あ、もし気分を害したら答えなくていいわよ。ごめんね」。

するとスティーブンはこう答えた。

「僕の家は貧乏だった。母は働いていたが、収入は低かった。それは母が女性だから差別されて、低い収入しか得られなかったからだ。

僕も経済的に苦しんだ。そういう社会が憎いんだ。何故そうなっているのか差別の仕組みを知りたいんだ」。

これには、教授を含めた全員が納得した。

「そうね。女性差別による低賃金で苦しむのは、その女性本人だけでなく、その人に養われている家族も犠牲者よね」。

彼の家がシングルマザーなのか、母親が大黒柱として稼ぎ、父親が専業主婦なのかは分からない。本人がそこは言わなかったし、誰もマナー的に聞かなかった。

今だったら、アカデミックハラスメントやセクハラに当たると思われる質問だ。答えてくれてありがとう、スティーブン。
彼の答えから学んだ事は大きい。

一般的に、シングルマザーに育てられた男性は少なくないと思う。

そういう男性はスティーブンのように考えるのだろうか?

だとしたら、フェミニズムの隠れ男性支持者は、案外多いのかもしれない。

#フェミニズム #エッセイ #大学院 #留学
#オーストラリア #ジェンダー

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