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読了本『さいはての家』
彩瀬まるさんの『さいはての家』を読みました。
町田そのこさんの『うつくしが丘の不幸の家』がとても面白かったと知人に話したところ、「じゃあこれも好きかも」と薦められた本です。
彩瀬まるさんの本はこちらが初めて。
女性らしい、丁寧でしっとりとした文章表現をされる方だなと思いました。
以下はAmazonの商品紹介より
駆け落ち、逃亡、雲隠れ。
行き詰まった人々が、ひととき住み着く「家」を巡る連作短編集。
家族を捨てて逃げてきた不倫カップル――「はねつき」
逃亡中のヒットマンと、事情を知らない元同級生――「ゆすらうめ」
新興宗教の元教祖だった老齢の婦人――「ひかり」
親の決めた結婚から逃げてきた女とその妹――「ままごと」
子育てに戸惑い、仕事を言い訳に家から逃げた男――「かざあな」
連作短編ではあるのですが、連作感はあまり強くはありません。
短編として楽しめる作品です。
「さいはて」という言葉を裏切らない、なかなかに絶望感や終末感を感じるお話たち。
どの物語も仄かな光明が差すように終わっていくのですが、私にはそれが淡すぎて、読後感は少し重めに感じました。
いわゆる「イヤミス」的なものがお好きな方には何ということはないと思います。
(むしろそういうものを期待して読むと物足りないかもしれません)
全編通して登場する人物は、この「さいはての家」の大家さん。
調子の良いあまり信用できない感じのおじさんなのですが、最後の短編「かざあな」で、少し心にひっかかることを言っていました。
逃げなきゃ死んじまうって思ったから逃げたんだろう。あんただけじゃない、誰だってそうだよ。
〜
逃げる、引き返すって判断は、ときに現状維持の何倍も勇気が要るんだ。そこで逃げられないで、死んじゃう人もいる。ちゃんと逃げて生き延びた自分を、褒めなよ、少しは。
「逃げる」、私はとても下手なので気になったのかもしれません。
個人的には、心が健康なとき、ちょっと客観的に自分の些細な幸せを確認したくなったとき、手に取るのがおすすめです。
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