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これからは「家族農業」でいこう(2/3)『家族農業が世界を変える』全3巻完結!

 食と農の未来を考えるシリーズ・『家族農業が世界を変える』関根佳恵(監修・著)全3巻1巻「貧困・飢餓をなくす」2巻「環境・エネルギー問題を解決する」3巻「多様性ある社会をつくる」)の全3巻が完結しました。著者の関根佳恵さんによる、出版にいたるまでのエピソードの第2回目です(全3回)。

第2回 学者╱大人相手ではなく、子ども向けの本をつくろうと思ったきっかけ。子どもたちに伝えたいこと。

関根佳恵(愛知学院大学准教授)

新自由主義的な考えが強い日本

 市民団体「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン」(FFPJ)の常務理事として、有志とともに日本の農林漁業、食、農山漁村に関する制度や政策の改善を求める活動に携わる中で、中央政府や農林漁業の業界団体、国会議員、メディア関係者、研究・教育者の方々とお会いする機会が増えました。私たちの活動の趣旨をすぐに理解して応援してくださる方もいたのですが、共通の認識を持つことが難しいことも少なくありませんでした。日本では、新自由主義的な考え方が強く根付いていて、大人の思考パターンを変えるのは一筋縄ではいかないことを強く感じました。また、日本の現状に失望し「もう手遅れなんだよ」と諦めている大人にも数多く出会いました。

家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンの院内集会(2020年)

難しい専門用語を使わないで書く

 そこで、そうした大人たちへの働きかけは続けつつ、固定的な価値観や偏見を持ってしまう前の柔軟な発想ができる年齢の子どもたちに、小規模な家族農業の価値を伝えたいと強く思うようになりました。そのような矢先に、シリーズ全3巻の原型になった中学生以上向けの著書『13歳からの食と農―家族農業が世界を変える』(かもがわ出版、2020年)を出版する機会を頂きました。2014年の国際家族農業年から農業関係者や消費者などの一般市民向けの講演や執筆をする機会が増えていましたので、書き溜めていた原稿を組みなおして、分かりやすい表現にして発表することにしました。

『13歳からの食と農 家族農業が世界を変える』(2020年、かもがわ出版)

 そのとき、編集担当者の方のお子さんがちょうど中学生だったので、下読みをお願いして、専門的な表現や難しい用語を洗い出して頂きました。そのおかげで、ふだんは大学生を対象に農業経済学の授業をしている私は、知らず知らずのうちに難しい専門用語を使ってしまっていることに気が付きました。特に、限られた字数で何かを説明しいようとするとき、どうしても専門用語に頼ってしまっていたようです。

大人からも「分かりやすい」と

 本シリーズは、『13歳からの食と農』をベースにしながら加筆修正し、3分冊のオールカラーにしたものです。読者の対象年齢もさらに引き下げて小学5年生以上としましたので、表現をさらに易しくしたり、字数を減らしたり、読み仮名を増やしたりしました。その結果、大人からも「とても分かりやすい」と喜んで頂いています。こうしたことは、学術論文や専門書だけを執筆していたら経験できないことですので、とても貴重な機会を頂いたと感謝しています。

 挿絵は、『13歳からの食と農』に引き続いて佐々木こづえさんにお願いしました。佐々木さんは、いつも私が伝えたい内容をイメージ以上の絵にしてくださっています。実は、私は子どもの頃から絵を描くのが好きで、中学生のときは美術部に入って油絵などを描いていました。その頃、将来いつか絵本を出版できたらと夢見ていたのですが、絵筆をとらなくなって数十年がたっていました。今回、思いがけないかたちで子どもの頃の夢を実現することができて、とても嬉しく思っています。

『13歳からの食と農』より(イラスト:佐々木こづえ)

今とは異なる景色が見えているように

 国連「家族農業の10年」が終わる2028年には、今の小学5年生は高校生になっています。子どもの成長を見ていると、時間がたつのはとても早いですよね。10年後、20年後に今とはまったく異なる景色が見えているように、今変革を始めなければならないと感じています。このシリーズを通じて、子どもたちが自分たちの秘めている力に気付き、持続可能で公正な社会を自分たち自身がつくることができると信じられるように、そして、子どもたちを見守る大人たちが、そうした子どもたちの力を信じることができるように願って、本シリーズをすべての人に贈ります。

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