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『シャープさんとタニタくん』のレビュー

シャープとタニタのTwitter担当者を題材にしたマンガです。

いわゆるTwitter「中の人」が書いた書籍というのは、キングジムの『寄り添うツイッター』、パインアメの『攻めるロングセラー』、浅生鴨さん(NHK_PR)の『中の人などいない』の3冊くらいしか世の中にありません(ほかに知ってる方がいたら教えてください)。

このマンガは中の人が書いているわけではなく、ただ主人公になっているだけなのですが、貴重な情報源であることには変わりなく、参考になります。

同タイトルで2冊出ていて、続編である「RT」のほうでは、キングジムやセガの中の人も登場してきます。

内容については、純粋にマンガとしての面白さはありますが、実務に役立つようなことはほとんどありませんでした。

そういう前提で書かれてないから仕方ないですけど…w

ノウハウとして役立つ、という意味では、2冊ともに巻末に収録されている編集後記的な中の人へのインタビューが興味深かったです。

以下、そこから何点か箇条書きで紹介します。

▼ 企業Twitterアカウント担当として、どう向き合うかについて、下記のシャープさんの発言は参考になります。

「もし「シャープさん」イコール自分だと思っていたら、ここまで長続きしなかったでしょうね・・・。
反対に、まるっきり会社としての人格になるのも難しいです。企業活動のすべてを私が把握するのはどだい無理なことですし、私がやりたいことは「従来の広告とはまったく違うやり方でユーザーと仲良くなる」ことなので。
だから、きちんと「あくまで一社員です」というスタンスでいたいです。その方がフォロワーさんとも等身大の関係が築けて、共感もしていただけると思っています」

▼ あれだけゆるい投稿をしているし、起きている時間はほぼツイッターをいじっているとも聞くので、シャープさん=自分自身なのかと思ったら、そうでもない、というのは面白いなと。

▼ タニタさんいわく、ネタと告知の割合は「8:2」くらいの感覚。タニタという企業イメージがすでに真面目なので、そのくらいでちょうどいいと思っているらしいです。

▼ タニタさんいわく、「商品をしっかり作っているという自信があるからこそ、
真面目な情報は広報の人にまかせて、自分は思いきり変なことをしようかなと」

▼ マンガに登場してくるシャープ、タニタ、キングジム、セガなどの中の人は、実際に会って交流しているようす。

▼ 猫の日に社名を変えたりするのは行き当たりばったりで、準備しているわけではないとのこと。ただし、エイプリルフールは多少準備することもあるよう。

▼ ふだん交流のあるアカウント同士でやりとりをすることで、広告臭も消え、自然なかたちで商品アピールできるのは強み、というのは面白い視点。

▼ 中の人の嬉しいこととして、「ありがとう」を直接言えること、という発言が印象的でした。お客さんに直接「ありがとう」といえる機会は、特に広報担当者にはありませんし、シャープやタニタのように小売店経由で販売しているメーカーもありません。それは、Twitterの醍醐味なんだろうと思います。


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