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FRBの利上げ幅縮小の意味

米連邦準備理事会(FRB)は、12月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の0.5パーセントの引き上げを決め、4.5パーセントとしました。利上げしたとはいえ、前回まで0.75パーセントずつ引き上げていたことと比べると、利上げのスピードが低下することになりました。

これは、市場が期待した通り、FRBが、アメリカのインフレ率がさらに上昇する可能性が低下したとみていることを意味します。政策金利はまだ少し上昇すると思われますが、引き上げのスピードはさらに低下し、来年3月ごろに5パーセント前後で政策金利のピークとなりそうです。

ここまでは市場がおおむね織り込んでいたので、米長期金利やドル円相場への影響はわずかでした。いま、市場の注目は、来年3月から来年末に向かってFRBが利下げするのかどうかに移っています。

モノの価格の上昇はすでに止まっていて、サービス価格を含むインフレ率も下がる可能性が高まっています。ですから、メインシナリオでは、来年3月以降には政策金利は緩やかに引き下げられるとみています。

しかし、FRBはインフレの再燃を恐れて、来年中は金利を下げないかもしれません。賃金上昇率のようなインフレより遅く動く指標を気にして高い金利を維持すると、景気後退の恐れも出てきます。

今回のFRBの利上げは市場の想定通りですが、今後については、今のインフレ率よりもFRBがインフレ再燃リスクをどう判断するかに注目が集まるでしょう。来年春ごろには方向性が明確になるとみますが、それまでは、株式や債券のブレが大きくなる可能性は残ります。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113 

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