神山 直樹

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト。幅広い資産クラスの市場分析・予測を行…

神山 直樹

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト。幅広い資産クラスの市場分析・予測を行い、投資情報や運用戦略などを発信しています。「神山直樹が語るマーケットと投資」は http://www.nikkoam.com/products/column でご覧いただけます。

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  • 投資ってなんだ!?

    投資の目的を「引退後の潤いのある生活」としましょう。マーケットの知識や相場観などは不要です。潤いのある生活のために、毎年3%、20年で60%の資産増を目指すのです。最初から「まとまった資金」はなくてよく、毎年の積み重ねであとから「まとまった資金にしていく」のです。これが、現役・退職世代の投資未経験者に本当に知ってほしいことです

  • 初めての投資Q&A

    これから投資を始めようと考えている資産形成世代のみなさまのお悩みや投資のギモンについて、日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト神山直樹がお答えしていきます。

最近の記事

臆病なFRBと日銀だが円高方向

2月中旬からドル円相場が150円程度で推移しています。 理由のひとつが米連邦準備理事会(FRB)の利下げが遠のいたことです。1月の賃金上昇率が高まったことや高官発言などから、利下げは6月開始、3カ月に1度0.25%ずつというゆっくりしたペースを予想します。 アメリカのインフレ率は3%台前半まで低下しており、5.5%の金利はかなり高いと感じます。FRBはインフレ再燃となることを大変恐れており、現状に合わせて金利を早々に引き下げることに臆病になっているようです。高金利でも経済

    • 日経平均は4万円に迫るが…

      日経平均株価が急上昇し、バブル期の1989年につけた最高値を抜く勢いです。日本経済が「余剰から不足へ」大きな転換点となる可能性がある、との私の考えに変わりはありませんが、このところの市場で上昇の理由とされるものはこの転換とは関係が薄いので、今後ブレが大きくなりやすいと予想します。 上昇の理由を4つ挙げて考えます。 アメリカの物価上昇率が高止まりし金利高が続くと、バリュー株優位で日本株が好まれるとされます。しかし、インフレ率はすでに3%台前半で、5%以上ある政策金利が引き下

      • 日本の賃金上昇は円高・株高要因

        2023年12月の日本の賃金は前年同月比1.6%と、最近では高い上昇率となりました。今のところ物価上昇率を追い抜くほどの勢いとは言えませんが、良い方向に向かっています。 賃金は、まず人手不足により上昇しました。輸出企業はリーマンショック後、生産量を下げて人を余らせていましたが、現状はリーマンショック前の水準を超える生産が必要で、人手不足です。国内ではコロナ禍からの回復が続き、飲食や観光関連などサービス業でも人手不足です。これまでのところアルバイトなどの時給の上昇がみられます

        • 賃金上昇で米利下げは先送りか

          2月2日に発表された1月の米雇用統計では、雇用者数だけでなく賃金上昇率も市場予想を上回りました。1月の雇用統計はいろいろな調整が行われ、天候にも左右されるので信頼性がやや低いのですが、それでも高めに出たことは確かです。 特に賃金上昇率が4%台で高めを維持したことで、インフレ継続・再燃のリスクが続くため、市場が予想していた3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げは難しそうです。これまで市場予想より遅く4〜6月に利下げが始まると予想してきたのですが、4月(5月1日)とい

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          日本が良くなる本当の理由

          日銀が発表した2023年12月の実質輸出は、2002年以来最高の水準でした。大事なことは、リーマンショック直前のピークであった2008年3月の水準を5パーセント以上上回っていることです。 為替の影響を除く輸出の数量がピークを越えたということは、日本の輸出は、過去ピークにおいて生産した量を上回る生産をしていることになります。つまりこれまで以上にヒト・モノ・カネが必要になってきているのです。ドル高円安になって輸出額が増えても、輸出する数量、例えば箱の数が少ないままではヒト・モノ

          日本が良くなる本当の理由

          インフレヘッジにJリート投資は有効?

          Jリートは金利の上昇に弱いのか?Jリート(日本の不動産投資信託)は、多くの場合オフィスビルなどの資産の半分程度は、負債を使って保有しています。ですので、金利上昇は借り入れコストの上昇になります。しかし、だから金利上昇に弱いというのは単純すぎる気がします。金利が上がる理由は通常インフレが予想されるからです。インフレであれば賃料が上がるのでコストを負担しても、分配金を減らさないで済みます。 金利は市場参加者がインフレと見ればすぐに上昇しますが、賃料は契約更新まで変わらないこと

          インフレヘッジにJリート投資は有効?

          世界の株価上昇は継続するのか

          アメリカは昨年12月から、また日本は年初から、株価が好調です。 まず、アメリカは金利低下が材料視されているようですが、実際には金利敏感銘柄よりも、半導体などテクノロジー関連の上昇がけん引しています。もちろん金利低下はグロース銘柄への投資家心理の支えになっているとは言えますが、それ以上に、半導体関連銘柄の世界的な利益回復や回復の予想が大きな理由となっているとみています。 さらに、日本でも半導体関連銘柄への注目が強まっており、指数上昇に貢献しています。 日銀が金利引き上げを

          世界の株価上昇は継続するのか

          年初からの日本株上昇は長続きするのか

          日経平均株価は1月15日終値で3万5901円となり、昨年末から2438円上昇しました。日本株には強気の見方をしていますが、この上昇は理由が主に円安と金利安などと説明されているので、長続きしないと心配しています。 昨年から日本株に強気の見方をしている理由は、輸出好調とコロナ禍からの正常化で、日本経済のヒト・モノ・カネが「余剰から不足へ」と構造を変え、賃金上昇、設備投資増加、金利上昇の体質に変わるとみるからでした。これは円高を伴うとみています。 ところが、年初からの日本の株高

          年初からの日本株上昇は長続きするのか

          2024年の投資環境を考える

          2023年に神山の印象に残った3大金融・経済ニュース 今年は日本で印象的なことがいくつかありました。   1. 中国からの観光客が増えないのにインバウンド消費が回復したこと 日本のインバウンド消費(外国人観光客の使うお金)は、中国からの観光客がさほど増えないにもかかわらず回復しています。コロナ禍前より為替レートが円安であることが一番の理由でしょう。裏返せば、140円を超える円安水準は、本来の購買力の比較から見ると円安すぎるのだと思いました。     2. 日銀植田総裁が「チ

          2024年の投資環境を考える

          2023年のマーケットをふり返る

          12月27日現在、日経平均株価は昨年末比約7620円上昇し、3万3714円台になりました。ニューヨークダウは約4399ドル上昇し3万7545ドル程度でした。NASDAQ指数も約4608ポイント上昇し、1万5074ポイント程度。ドル円相場は11円米ドル高・円安で142円程度です。今年の証券投資は総じて好調で、米ドル高・円安に支援されてアメリカはじめ海外への投資が成果を獲得しやすかったでしょう。 今年は、アメリカのインフレは3%台に落ち着きつつあるのに、米連邦準備理事会(FRB

          2023年のマーケットをふり返る

          FRBの政策変更がないのに円高となる理由

          12月13日に米連邦準備理事会(FRB)は政策金利の上限5.5%を変更しないことに決めました。 そのあとドル円は145円程145円程度の円高となりました。政策を変えないのに円高になるのはちょっと奇妙ですが、FRBパウエル議長が、これまでの言い方を変えて、金利引き上げの一巡と今後の利下げを感じさせる発言をしたことで、金利低下の安心材料となり長期金利は3%台に低下しました。それをうけて、円高ドル安となりました。 すでにアメリカのインフレ率は3%台に低下しており、金利が5%以上

          FRBの政策変更がないのに円高となる理由

          アメリカの景気が順調、ドル円や株式は?

          12月8日に発表された米雇用統計を受け、金利は多少上昇し、株も上昇、ドル円相場は1ドル=145円程度で横ばいでした。 非農業部門の雇用者数は11月に20万人近く増え、24年に経済成長が緩やかになるとしても景気後退の兆しは見えません。これが米連邦準備理事会(FRB)の政策金利引き下げは先送りされるとの見方につながりました。 確かに、インフレの持続を占う賃金上昇率は、先月に続きほぼ4%で、なかなか3%台前半に下がりません。政策金利引き下げは24年7月以降とみていますが、いまの

          アメリカの景気が順調、ドル円や株式は?

          インフレの落ち着きとアメリカ株

          アメリカのインフレが落ち着き、来年の中頃までに政策金利の引き下げが始まるとの見方も増えてきました。アメリカ株式は金利低下で上昇するかという質問が多いですが、これからますます金利と株価の関係が薄くなると考えています。 そもそも株価と金利の関係は、心理的で一時的です。 IT関連などのテクノロジーを中心としたグロース株は、まずコロナ禍の巣篭もり需要の急増とリモートワークの定着などを材料とした期待の高まりで大幅に上昇しました。しかし、コロナ禍から正常化に向かうと人々の嗜好も旅行や

          インフレの落ち着きとアメリカ株

          人口減でも日本株を買える理由

          人口減と株価指数水準に論理的な関係は乏しいです。 まず、株価には、単なる規模の成長よりも、生産性や効率のほうが重要です。つまり、売上や経常利益の規模の拡大よりも、一株当たり利益成長が大きいほうが、株価が上昇しやすいです。 人口や労働力が減って経済規模が小さくなるとしても、1人当たりGDP(国内総生産)の成長、つまり1人当たりの稼ぎが増える時には、1株当たり利益も増えると期待できます。 最近、GDP規模で日本がドイツに抜かれる、と報じられました。これは日本の参考になります

          人口減でも日本株を買える理由

          日本株は高すぎるか?

          10月末から11月にかけての日本株相場の上昇で、日本株が高くて買いにくいと感じるという声があります。しかし、高いかどうかは、株価水準だけで見るのではなく、利益水準と比べた株価、つまりPER(株価収益率)で見ることも重要です。 日経平均株価の11月20日の終値は3万3388円で、予想利益ベースのPERは24倍程度です。コロナ禍など特別な時期を除くと日経平均のPERは20倍程度だったので、24倍は少し割高に見えますが、バブル後の高値を抜くといった株価水準のイメージとは違います。

          日本株は高すぎるか?

          日米REITをどうみるか

          日米のREIT(不動産投資信託)について、日本のREIT市場はオフィス需要と家賃の回復待ち、アメリカは政策金利低下待ち、とみています。 まず、アメリカのREIT市場は年初来10月末まで価格が9%下落(配当なし指数)しています。アメリカでは政策金利が引き上げられる中で、分配金利回りはあまり伸びなかったので価格が低下したのですが、まだ分配金利回りが金利に比べて十分高くないようです。アメリカではニューヨークなどを除きリモート勤務でオフィスに戻らない都市が残るなど、インフレと金利上

          日米REITをどうみるか