神山 直樹

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト。幅広い資産クラスの市場分析・予測を行い、投資情報や運用戦略などを発信しています。「神山直樹が語るマーケットと投資」は http://www.nikkoam.com/products/column でご覧いただけます。

神山 直樹

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    • 投資ってなんだ!?

      投資の目的を「引退後の潤いのある生活」としましょう。マーケットの知識や相場観などは不要です。潤いのある生活のために、毎年3%、20年で60%の資産増を目指すのです。最初から「まとまった資金」はなくてよく、毎年の積み重ねであとから「まとまった資金にしていく」のです。これが、現役・退職世代の投資未経験者に本当に知ってほしいことです

    • 初めての投資Q&A

      これから投資を始めようと考えている資産形成世代のみなさまのお悩みや投資のギモンについて、日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト神山直樹がお答えしていきます。

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    ついに投資について考える(1)

    「投資」とは、引退後の最低限の生活や医療などへの備えを除く「潤い」部分を増やすために、リスクを取ってさらに潤いを増やそうとすることだと説明してきました。 「潤い」部分だからこそリスクを取ってもよいのです。そして、リスクを取ってその報酬を得るということは、賭け事などとは違い、経済の中で人々が努力して働いてくれる成果を分配してもらおうとすることだと説明しました。 いまお金が手元にないがアイデアや事業でお金を増やせる人に、将来お金を使う予定だけど今は自分でそれを増やすアイデアや

      • インフレが続きにくい理由

        構造的な理由で世界のインフレが続くのではないかとの質問が多いです。 例えば、サプライチェーンの脱グローバル化、脱炭素社会に向けた取り組みで生じるコスト増、地政学リスクと食糧危機の恐れなど、供給側には、長期的に価格上昇が継続しそうな理由がいくつかあります。しかし、これらがインフレに与える影響は短期的です。 確かに、輸入品や必需品がどんどん高くなると、一時的にインフレになります。人々は急に生活を変えられないので、貯金を取り崩すのです。しかし、長くは続きません。 例えば、半導

        • アメリカのインフレと利上げピークアウトか

          米連邦準備理事会(FRB)が1月31日~2月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の上げ幅を昨年12月の0.5%から0.25%にペースダウンするのではないかとの観測がでてきました。 アメリカの物価上昇はすでにかなり勢いを失っているので、ペースダウンの可能性は高いです。現時点で4.5%の政策金利は、2月1日に4.75%、3月22日のFOMCで5%になりそうです。 利上げは続くのですが、FRBが3月にも利上げを打ち止めにすると予想します。インフレが一段落するのに合

          • J-REITは割安とみる

            J-REIT(国内不動産投資信託)市場は、ここ数年間を通して見ると株式市場と比べて冴えない動きです。2022年は8%程度の下落となりました。昨年末から1月第2週までも3パーセント程度の下落です。 昨年のJ-REIT指数下落の主因は世界的な金利上昇懸念、つまりREITの金利負担増大懸念でした。それに加え、日本独自の理由として、コロナ禍からの回復の遅れがありました。オフィス全体の空室率が高止まりし、家賃の引き上げも困難なケースが見受けられました。さらに、12月に日銀の唐突な長期

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            賃金上昇率低下で市場に安心感

            1月6日に発表されたアメリカの昨年12月の雇用統計で注目されたのは賃金上昇率の低下でした。 昨年中、前年同月比5パーセント超で推移していた賃金上昇率は、12月に同4.6パーセントに低下しました。コロナ禍前は3パーセント程度でしたのでまだ十分に落ち着いてはいませんが、雇用者数が増える一方の中で賃金上昇率は低下したので、発表当日の株式市場は上昇、長期金利は低下、ドル安になりました。 アメリカのインフレ率そのものは今年3月ごろにピークとなるとの見方が多いのですが、賃金上昇率の高

            これからの投資環境を考える

            2022年に神山が印象に残った3大金融・経済ニュース アメリカFRB*が6月の利上げ加速時に「長期インフレ率予想」の上昇を理由にしたこと ミシガン大学消費者態度指数の長期インフレ率予想が上昇したことを理由にした利上げを行いました。市場関係者があまり見ていなかったような指標で説明した点が印象的でした。 *FRB:連邦準備制度理事会 日本銀行が12月に何の経済的理由もなく、長期金利の幅を拡大 市場機能低下が理由ですが、介入はそもそも市場機能低下を意味します。FRBのような経済

            日銀の政策変更でリスクを避ける動きになりそう

            12月20日に日銀が唐突な政策変更を行い、10年国債利回りの変動幅をプラスマイナス0.25パーセントから0.5パーセントに拡大しました。11月30日の投稿で年内にはないだろうと予想した変更ですが、くつがえされました。しかし可能性は高まっていたので、驚きは小さいです。 今年に入ってから0.25パーセントに張り付いていた10年国債利回りは、上昇した30年債の利回りと比べれば、インフレの進展に合わせて本来上昇すべきだったと言えそうです。しかし、黒田総裁は、日本の賃金が幅広く上がる

            投資のリスクとは報酬の裏付け ~ 私たちはなぜ投資をしたほうが良いのか(5)

            (第1章(4)から続きます) 「リスク」という言葉は普通悪い意味に使われます。病気になるリスク、子連れで働けない娘を支援するリスク、株を買ったら値下がりして損するリスク・・・。 しかし、投資では「リスク」は報酬(リターン)の裏付けでもあることを確認しておきましょう。いわば、良い方のリスクです。「良い」というと悪いことを隠ぺいしているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。 上のような図では、右に行くほどリスクが大きくなり、それにつれて収益(リターン)も上に向か

            「潤い」のための投資 ~ 私たちはなぜ投資をしたほうが良いのか(4)

            (第1章(3)から続きます) さて、次に「潤い」のための投資について考えていきましょう。 この家庭においては、「収入=月40万円」から「消費=30万円」を差し引いた、残りの月10万円のうち、生命保険(2万円)と社会保険(4万円)に計6万円使っているので、「消費しない額」は差し引き4万円(年間48万円)となります。 このいわば「余裕資金」が「預貯金=500万円」に上乗せされていきます。この家庭の世帯主は40歳と仮定していますので、仮に定年の60歳までだと、20年間×48万円

            FRBの利上げ幅縮小の意味

            米連邦準備理事会(FRB)は、12月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の0.5パーセントの引き上げを決め、4.5パーセントとしました。利上げしたとはいえ、前回まで0.75パーセントずつ引き上げていたことと比べると、利上げのスピードが低下することになりました。 これは、市場が期待した通り、FRBが、アメリカのインフレ率がさらに上昇する可能性が低下したとみていることを意味します。政策金利はまだ少し上昇すると思われますが、引き上げのスピードはさらに低下し、来年3月

            FRBの利上げは長期化するのか

            12月2日に発表されたアメリカの雇用統計で、11月の雇用者数は市場予想よりも多い26万人の増加でした。注目される賃金上昇率は5.1パーセントの上昇となり、まだ収まってきていません。 一方で、長期金利の指標である10年物国債利回りは11月の4パーセント程度から12月には3.5パーセント程度まで低下しました。 11月30日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今後の政策金利引き上げペースを緩めると期待させる発言をしましたので、金利は上がりにくくなってきています。金利低下

            日銀は来年、長期金利上昇を容認するか?

            日銀は来年中に政策金利を引き上げないと予想します。 また、イールドカーブ・コントロールを変更し、長期金利の指標である10年国債利回りの0.25パーセント以上への上昇を許す可能性は五分五分以下と見ています。しかし、長期金利が上がることを容認する可能性は、まだ半分以下とはいえ、高まってきたと見ています。 まず、10年国債利回りは、今年の初め頃から0.25パーセント程度に張り付くように推移しています。一方で、30年国債の利回りは、この期間中上がり続け、0.7パーセントから1.5

            習近平政権の長期化と中国投資スタンス

            中国の習近平政権は「社会主義の現代化を基本的に実現する」とした2035年まで続く可能性もでてきました。中国はこの時期までに一人当たりGDPを、イタリアやスペイン程度まで上げることを目標にしています。中国がこの目的を達成するならば、投資家がその果実を分けてもらうための投資することはおかしくありません。 「長期政権である」ことの良し悪しは分かりませんが、その「分からないこと」そのものが投資のリスクです。しかし、政権人事は習氏の思い通りでも自らの指導思想に「習近平思想」と名付ける

            アメリカ中間選挙は市場に影響を与えるか

            アメリカの中間選挙の結果は、上院では民主党が過半数を維持できました。下院は、いくつかの州の決選投票を待つのでまだしばらく明確ではありませんが、優勢と見られた共和党が過半数を抑えるとしても、地滑り勝利とならなかったことは明らかです。いずれにせよ、今回の選挙結果が今後の株式・債券市場を大きく動かすとは考えていません。 株式市場にとって共和党が強いほど良いという考えがあります。民主党には企業増税や自社株買い制限、金融所得課税強化などの考えを持つグループがあるためです。しかし、そう

            「資産」を書き出す、投資の目的をクリアにする ~ 私たちはなぜ投資をしたほうが良いのか(3)

            (よかったら第1章(1)、および(2)からどうぞ) 資産状況を書き出してみよう さて、例えば「40歳の会社員、専業主婦と二人の子ども」という、いわゆる標準世帯(このような家族は現実には減っているとは言われていますが、珍しいということはないので)で、一つの例を考えてみましょう。 平均といっても簡単ではないですが、単に例示のために1つのケースを仮定しましょう。 収入は月換算で40万円、消費は同じく30万円、貯蓄は500万円(住宅ローンも700万円残っているとしますが、消費30

            米利上げと大手ハイテクの今後

            米連邦準備理事会(FRB)は11月2日に政策金利を0.75パーセント引き上げ4パーセントとしました。同4日には米雇用統計が発表され、雇用者数は市場予想より多かったのですが、賃金上昇率が少し低下し、失業率も上昇したので、行き過ぎた景気が穏やかになるとの期待が高まりました。 景気の減速を待つ理由は、市場がFRBの利上げの行き過ぎで景気後退になることを恐れているからです。一方で、FRBは、雇用増加や賃金上昇が収まらず、景気過熱でインフレがより強く長くなってしまうことを恐れています