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日銀短観に見る日本経済の好調

7月1日に日銀が発表した、企業へのアンケート結果である6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によれば、日本企業の設備投資計画は順調で、市場の予想通りとはいえ今後の成長への期待を高めるものとなりました。

まず一番注目される大企業製造業の業況判断は前回3月調査よりも改善しました。自動車業の一部で国の認証試験に関する不正問題があり生産が大幅に低下したのですが、半導体関連など他業種の改善もあり、業況判断は全体として好調を維持しました。

日本経済の立ち直りに重要な給与上昇と設備投資の拡大について、まず企業から見た人手不足は長期的に続きそうで、結果として給与は引き続き上昇が期待されます。

また、設備投資計画も大変強い水準になりました。例えば会計や事務処理ソフトへの投資など人手不足への対応が期待されます。これは日本経済が今後筋肉質になるための生産性の改善につながることになります。

今後の注目するリスクは二つあります。

一つは、人手不足と賃金上昇が継続するかです。今のところ、コロナ禍対応の財政政策による世界的な需要拡大と、コロナ禍からの正常化による国内産業の人手不足は、続きそうです。ただし、日本企業の賃金引き上げが非常にゆっくりとしか進まず、世界的な景気鈍化が先にきてしまうリスクがあります。

もう一つは、設備投資計画が強気でも人手不足で建設が進まず、結果として投資が実行できない恐れがあります。生産性改善が出遅れ、日本企業が生産拡大を見送るリスクです。

現時点では日本企業をめぐる業況は順調そうです。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113 

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