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『食べる量を減らしたのに痩せない!』と嘆くのが無駄な理由~カロリーイン・アウトの法則~

人体とは複雑性の極みである。

ダイエット実践者にとっては重要な“カロリーイン・アウトの法則”もその例外ではない。

現在様々な研究によって、摂取カロリーと消費カロリーの単純な足し算引き算だけでは体重は計算できないことが分かっている。

それなのに未だにカロリー!カロリー!と呪文を唱える指導者がいるのはなぜなのか。。

いや、実はそれも一理ある。(だからこそ世の人は混乱する)

ここでは、その呪文にとりつかれたカロリー制限実践者が理解しておくべき内容を解説していく。

カロリーイン・アウトの法則とニュートンの法則


あなたは「庭にあるリンゴの木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いついた」で有名な“ニュートン”という人物をご存じだろうか?(この話には諸説あるが)

中学時代の理科の授業で一度は勉強したはずだ。

詳しい説明はウィキペディアに譲るとして、私たちが目にしている運動や力の現象はニュートンが思いついた法則に則って引き起こされている。

例えばバスケットボールを20メートル先の友人にパスする場合を考えてみよう。

その時、どのくらいの強さで投げるべきか?高さはどのくらいを狙うとちょうどいいのか?などと、事前に頭の中で計算するはずだ。

仮にニュートンの法則の詳細を覚えていなくても、私たちは全てその法則を参考に予測・計算している。

これまでの経験から大体の運動法則を体が覚えているからだ。

さてここで、バスケットボールをこれ以上細かくできないところまで粉々に砕いてみよう。

すると“素粒子”というものすごーーーーーーーーーーーく小さい点になる。(宇宙レベルで見た人間一人分くらいの大きさ)

ではそのボールを構成していた素粒子を先ほどと同じ様に20メートル先の友人にパスしたいと思ったとする。

しかし今度は全く予想通りにはいかない。

それどころか、投げた瞬間に太陽の向こう側に飛んでった可能性もあるのだ。(全くもって信じ難い!)

つまり私が何を言いたいかというと、マクロの(巨大的に見た)世界の計算方法は、ミクロの(小さくて細かい)世界では全く通用しないのである。(これこそニュートン力学と量子力学のパラドックス)

ここまでの言い回しが物理的に正確かどうかは置いておいて(多分正確ではない、、w)、これとカロリーの話のどこが関係あるのだろうか?

重要なのはそこだ。

すなわち、カロリーのマクロの世界とは極端で大幅なカロリー制限。(予想通り体重が減る)

一方ミクロの世界はそこそこのカロリー制限。(体重に変化がない)

そこそこのカロリー制限では、最も単純にマイナスとして計算することができないということだ。

いつもより食べる量を減らしているのに全然体重が減っていないという直観に反した結果に落ち込むことは、ボールを投げたら太陽まで届いたのと同じくらい不思議な感覚なのだろう。

しかしどちらも研究によってそうなるのが当然だとわかっているのである。

ではその研究結果を詳しく見ていくとしよう。

食べる量を減らした分=体重減少ではないわけとは

例えば1日に1500キロカロリーの食事を食べている人がいたとする。

その人は3ヶ月間、体重に変化がなかった。(プラスマイナスはゼロ)

4ヶ月目から1200キロカロリーに食事量を減らし、さらに3ヶ月後に体重を測定したらどうなるだろうか?

直観に従って単純計算すれば、300キロカロリー×90日で27000キロカロリー分は体重が減っているはずだ。

しかし実際のところ体重は(あまり)変化しない。

低下したとしても27000キロカロリー分がそっくり減ることは間違ってもないだろう。

これと同じ様な実験がマウスでは行われていて、正確な数字がすでに分かっている。

通常の摂取量の80%に制限して食事を与えられたマウスは、そのマイナス分を2つの作戦で補っている。

1つ目の作戦は、安静時の代謝を低くすることでカロリーのマイナス分を節約する。(全体の22.3%)

2つ目の作戦は、活動量を低下させることで同じようにマイナス分を節約する。(全体の75.5%)

この実験では残りの2.2%分が体重減少として現れた。

つまり、食べる量を減らすと代謝が下がって、体の重ダルさを感じ動く量が減ってしまうのだ。

その結果、食事の量を制限したマイナス分のほとんどは相殺される。

短期間コミット型ダイエット|10%への賭け

しかし裏を返せば、そのマイナス分を強引に相殺させなければ体重は簡単に減ることになるはずだ。

どんなにダルくてもきつい筋トレと運動を継続して、筋肉量と活動量をキープしてやればいい。

何十万円という高額な金額を担保に、筋トレと栄養のマンツーマン指導に依存すればこれが可能なことはここ数年である有名企業が証明した通りではないか?

もちろんこれにはリバウンドという大きなリスクが影響するが、短期間でみれば最も効率的な手段だろう。

アメリカの研究によると、短期間コミット型の糖質制限ダイエットをした人の約10%は、その後も痩せた体重を維持できているそうだ。

10%を大ととるか少ととるかは意見が分かれるところだが、自分がその10%の勝者に入る自信があるのなら、悪い賭けではないのかもしれない。

まとめ|現代人の呪縛を知る


現在、ダイエットに関する情報は共通の見解に至っていないと言わざるを得ないだろう。

これは人体の複雑性の表れであり極めて個人差が大きいことが影響しているのは一目瞭然だ。

ある人に当てはまったダイエット方法が、自分にも同じように当てはまる可能性は低い。

また、世の女性が納得していないと感じる体重は動物学的に見ればまったくもって健康の範囲内であることが多い。

身長160センチの人で体重が56キロ。(体組成も重要だが今回は考慮しない)

これで太っていると感じたら、あなたもその内の一人だ。

したがって、いたって健康な体重よりも低い数値で維持しようとすれば体の抵抗にあうのも当然と言えるだろう。

石器時代という過酷な環境では、痩せることへの抵抗が強い人の方が、生き残る確率が高かった証拠だ。

何はともあれ、カロリーを少しばかり制限したからと言ってすぐに体重に反映されないと心得よう。

そしてカロリーの呪縛に余計なストレスを感じるのは無駄だと知っておくことには価値がある。

私たちの体重は、小学生でもできるような単純な計算方法で設定されていないのだ。

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