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ダイエットに及ぼすジャンクフードの負の影響を受けない人の秘密~腸内細菌の素晴らしき働き~

ここ数年でダイエットの専門家と名乗る人の数は、飛躍的に増えているだろう。

そして、今後もますます増えていくことが予想される。

だが現状はあまりいい傾向とは言えない。

ある専門家が提唱するダイエット法を、別の専門家は否定し、真逆のダイエット法を提唱している。

(脂肪は体に悪い!いや、ある種の脂肪は摂りなさい!じゃあ乳製品は?牛乳は太る(??)のにヨーグルトはいいのかい?お肉は元気の源なのか心臓病の源なのかどっち?そもそも動物を殺して食べること自体の問題もあるよ。でも菜食主義は脳卒中のリスクを高めるし、ビタミンB12不足とか鉄分不足とかの問題への対処法は?炭水化物は食べない方がいいんでしょ?小麦粉製品はこの世からなくした方がいい!!もう難しいことは考えないでこのプロテインとサプリメントを飲めば大丈夫だから。筋トレが人生を変えるのか断食が人生を変えるのか!?買うべきなのはミキサーかヤクルトだったらどっち?????)

これでは誰もが路頭に迷うのも無理はない。

しかしここ最近の研究や文献を見ていくとある一つの光が見え始めている。

それは腸内環境だ。

ここでは、ダイエッターにとっては天敵とも言えるジャンクフードに対する負の影響と、腸内の細菌たちの関係性をお話ししていく。

腸内にいる細菌の種類や量によって、こんなにも一人ひとりの体内で行われる反応は違ったのか…

腸内細菌たちとの出会い|共に生きる


現在ダイエットを指導する専門家で、腸内環境の影響を考慮に入れない専門家はもはや“モグリ”と言っていいだろう。

いや、それどころではない。アレルギーや自己免疫疾患、精神性の疾患などにも腸内環境の影響が続々と報告されている。

ダイエットに関して言えば、これまで多くの人を悩ませてきた『あの人は太らないのに私は太る問題』が腸内環境の解明によって説明できるようになるかもしれない。(そんな一例をこの後紹介する)

私たち人類が、これまでずっと一緒に進化してきた最も身近な存在とその重要性に、本格的に気付き始めたのはここ最近の話しである。

世界中で腸内の環境についての研究が始まったのは、2010年代になってからなのだ。

ではそんな中から、肥満と腸内細菌の密接な関係を示したある研究を紹介しよう。

実験結果|腸内細菌と肥満の関係性

ある一卵性の双子は、一方が痩せていて、もう一方が太っていた。

(一卵性の双子は、遺伝子情報が100%完全に一致するので、肥満に対する遺伝の影響が致命的ではないことを意味している)

そして研究チームはこの双子の便を採取し、腸内に生息する細菌たちを比較した。

すると予想通り、痩せた双子の腸内には健康な細菌であるビフィズス菌やラクトバチルス菌が多くいた。

一方、太った双子の腸内には、細菌コミュニティの多様性が少なく、炎症性の細菌が多い状態だった。

次に研究チームが行ったのは、この双子の便を無菌マウスに移植した。

(無菌マウスとは、生まれた瞬間から身体に細菌が住み着かないように育てられた特殊なマウスで、もちろん腸内にも全く細菌がいない。また、そんなマウスに便を移植すると、その便の持ち主である腸内の細菌がマウスに住み着くことがわかってる)

結果は明快なものだった。

太った双子の便を移植したマウスは、短期間のうちに16%体重が増え、とくに内臓脂肪の割合を増やした。

Ridaura,V.K.,Science(6 Sep 2013) Gut microbiota from twins discordant for obesity modulate metabolism in mice.

この研究からわかるのは、その人の腸内にどのような細菌が住んでいるかが脂肪の蓄積の仕方に影響を与え、太ることの原因になるということである。

そして、肥満は感染症のように伝染するのだ!

(一緒に暮らしていたり、接触頻度の高い友人や恋人とは腸内の環境が似てくる傾向があることが示されている)

ジャンクフードの負の影響を打ち消す腸内環境とは

では腸内の細菌を先ほどの双子の痩せた方と同じようにすれば、ダイエットできなくて悩んでいる人を救うことができるのだろうか?

もちろんそんなに単純にはいかないだろう。

だがこれまでのデータを集めると、元からやせ型の人や、食物繊維を多く摂っている人は、高脂肪食やジャンクフードから受ける負の影響を比較的に受けにくいことが示されている。

(もちろんこういった人でもジャンクフードばかり食べ続けると腸内環境が乱れるのは容易に想像がつく)

実を言うとこの理由はまだよくわかっていないらしいのだが、腸内細菌がプラスの働きをし、健康にいいとされる物質(酪酸などの単鎖脂肪酸)を多く生成しているためとしている。

『THE Diet Myth/Tim Specter』参照

つまり、あの人はジャンクフードを食べても太らないのに私は食べると太る!の原因は、あなたの腸内の環境次第かもしれないのだ。

海外ではすでにそういった治療も行われているらしい。

やせ型の人の糞便と生理食塩水をミキサーで混ぜ、風呂上がりの一杯のようにぐびっとやるのだ。

これはビジネスとしてはなかなか普及しないだろう。(私には絶対に無理だ)

サプリメントのようにカプセルタイプでも同じ効果が見込めるような技術が開発されることを願っておこう。

腸内細菌に餌をやる|3つの解決策

いやいや、、そんな発明を待っている余裕はないはず。

日頃の食生活を見直すことで、腸内の細菌たちをうまく飼いならす方法を知ることの方が何よりも重要だ。

ここでは腸内細菌が好む餌を3つだけご紹介する。

【1.食物繊維】

まずはこれに尽きる。

腸内で有効な働きをしてくれる細菌は、食物繊維が大好きだ。

野菜、果物、豆類、ナッツ類を積極的にメニューに取り入れよう。

【2.ポリフェノールを含むもの】

これまでポリフェノールの健康への効果はさまざまな研究によって支持されている。

(地中海式の料理には特に多く含まれていて、地中海沿岸に住む人は昔から世界的に見て健康的な人が多い)

ニンニク、オリーブ(オイルならエクストラバージン)、ベリー類、カカオ(ココア)、クルミ、お茶、赤ワインなど。

間食や嗜好品はこの中から選ぶと良い。

【3.発酵食品】

チーズやヨーグルトはこれまで悪者扱いされることもあったが、現在の認識では最高の健康食品だ。

しかし、どちらも伝統的なナチュラル製法を選ばなければその恩恵は受けられない。

その他にも、ケフィアやザワークラフト、大豆食品なども効果的である。

最後に大前提として、忘れてはいけないことを伝える。

多種多様な本物の食材をバランスよく食べること。

全てはここからだ。

まとめ|自立と健康の親密性

全ての人を健康にするたった一つのレシピなどこの世に存在しない。

これはいくら腸内環境の重要性が、この先証明されていっても変わらない原理原則だ。

したがって、企業が打ち出す『これさえ飲めばあなたの腸内環境は最高に!』は、現段階ではまだ懐疑的に見るべきだろう。

結局どこまで行っても、自分の身体は自分で管理していくしかないのだ。

自立と健康の親密な関係性は一生切っても切り離せない。

このコラムを書いた神尾健太という人物➤https://wp.me/P9oEaZ-41

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