『時間の終わりまで/ブライアン・グリーン著』の感想とレビュー
『時間の終わりまで~物質、生命、心と進化する宇宙~/ブライアン・グリーン著』読了!
ーーー・・・以下書籍レビュー・・・ーーー
➤面白さ
★★★★★+★★
➤知識量
★★★★★+MAX
➤難解度
★★★★☆
➤オススメ度
★★★★★
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テーマ、ボリューム、共にえげつない本です
宇宙の誕生と終焉、物質の誕生と終焉、生命の誕生と終焉、心の誕生と終焉のプロセスを、現代の最先端理論(物理学と数学)の全てを注ぎ込みながらパワフルに解説していきます
まずは宇宙空間の誕生
著者の筋の通った説明によると、ある領域でエネルギーが均一に満たされる(インフラトン場)と、通常は引力として働く重力が斥力になるのだそう
はい!ビッグバンの発生
その後1秒以内という極短い時間内に、観測可能な宇宙よりも大きく広がった空間を満たす粒子の量子的なゆらぎによって、粒子密度の濃い所と薄い所ができます
濃い密度の領域では薄い領域よりも強い重力が作用するので、何億年とかけて空間の粒子を引き寄せていきます
その中心部では、高密度になった原子の激しい動きによって、温度がどんどん上昇していきます
そして、中心温度がある閾値を超えると核融合が始まり、熱と光を外側に放出しながら、重力と均衡を保てるようになります
はい!恒星の誕生
ってな感じで、惑星(地球)や生命、心の誕生(宗教や芸術などについても)について、物理的還元主義の立場から説明が続いていく感じです
中心となる考え方は次の2つ
エントロピック・ツーステップとダーウィニズム的進化論
不変の原則である熱力学第二法則、すなわちエントロピーは必ず増大する宇宙空間において、いかにして秩序(エントロピーの減少)が発生し維持できるのかを、エントロピック・ツーステップという概念を用いてエレガントに説明します
続いて、恒星や惑星などの単純な秩序(無生物)と同じ粒子から構成される生命が、いかにして意識や感覚を持つ複雑なシステムを手に入れるまでに至ったのかを、ダーウィニズム的進化論から説明します
で、最後に、私たち、あるいは私たちではない未来の知的生命体、思考する心、地球、太陽、銀河、ブラックホール、宇宙空間はどういった末路が待っているのかを、様々な前提・仮説の元、考察していきます
この長い長い旅(文字通り500ページ越え)の中で、著者の徹底した還元主義から導かれる主張・意見は、多くの人の直感とは相成れないところが盛りだくさんでしょう
例えば著者はこう断言しています
「あなたは物理法則に従う粒子の詰まった袋に過ぎないのだから、自由意志はない」
ちなみに僕は、このことを事実として受け入れています(そのくらい説得力がある内容です)
正直未だに解明されていない科学的ギャップがあるので、細部のメカニズムを反論なく証明することはできなことは著者も認めています
しかし、この現実の背景にある理論の解明に、人生の全てを捧げてきたブライアン・グリーン氏が辿り着い答えには、どこか感動すら感じました
落とし込むまでには相当な時間と労力を要するかと思いますが、一読(僕は二読しましたw)する価値は大いにあると思いますよ
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