マガジンのカバー画像

クリティカル・アナリティクス【競争力養成プログラム】

93
日々のゼミで行なっているクリティカル・アナリティクス(略称:CA)をまとめて、発信しています。
運営しているクリエイター

#上久保ゼミ

上久保ゼミ・オリジナルのディベートトレーニング法:クリティカルアナリティクス(CA)

上久保ゼミ・競争力養成プログラムでは、「1人対全員」という独特の形式で行うディベート・トレーニング法を導入し、「批判的分析力を磨く場」を自ら創っています。  このトレーニング法では、まず1人が「立論者」となります。立論者は、事前に社会問題の1つを取り上げて、それに対する自らの主張をA4・1枚程度の文章にまとめ、他のメンバーに提示します。その他の「討論者」は、立論者と反対の立場で、自らの意見をまとめてトレーニングに臨みます。  立論者は、できるならば自らの本来の主張と逆の立

10月5日競争力CA「今後のジャニーズタレント起用の是非について」

記事と前提質問<ジャニーズ性加害問題の経緯> 1960年代、週刊誌でジャニー氏の性加害問題が報じられた。 2000年代、ジャニーズ事務所とジャニー氏が、週刊文春の発行元である文藝春秋を東京地裁に名誉毀損で提訴。文藝春秋の名誉毀損が認められたが、東京高裁での第二審判決では、第一審を覆してジャニー氏のセクハラに関する記事が真実性の要件を充足しているため、違法性が阻却されると認定。ジャニー氏による性加害が司法の場で認定された。しかし、大半のメディアが報道せず。事務所による性加害調

「京都市における高さ制限緩和の是非について」2023年度 11/2日CA

みなさんこんにちは。今回のCAでは京都市における高さ制限緩和の是非について議論しました。以下では議論の概要と流れについて紹介します。 議論の概説京都市では企業誘致や子育て世帯の流入を目的に、新たな都市計画を2023年8月に施行しました。市は2007年より「新景観政策」を導入しており、建物の高さを厳しく制限していました。 新たな都市計画ではJR京都駅の南側で主に大通り沿いの高さ制限を現在の20~25メートルから31メートルに引き上げました。また「らくなん進都」と呼ぶ南部の工

11/2 競争力CA -救急車有料化の是非-

こんにちは!今回の記事は11/2に行われた競争力CAについてです。 議題は「日本における救急車有料化の是非について」です。立論者は有料化について賛成の立場から、参加者は反対の立場から議論を行いました。 前提内容・記事 2015年に国の財政制度等審議会が救急車の一部有料化を検討するよう財務省に提言したことが話題になった。こ れは2015年に救急車を要請した事案の多くが軽症患者だったためである。日経ビジネスが医師3879人に「救急車 の有料化」についてアンケート

「ステマ規制の導入について」2023年度 10/12CA

みなさんこんにちは。今回のCAでは日本は多重国籍を認めるべきかについて議論しました。以下では議論の概要と流れについて紹介します。 議論の概説2023年10月1日、景品表示法の「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示」についての告示および運用基準が施行となり、日本で初めてステルスマーケティング(ステマ)が規制対象となりました。 ステルスマーケティングは消費者に広告であることを隠して行う宣伝行為のことを指します。多くはインフルエンサーや芸能人等に利益を提

CA 議事録-整備新幹線の並行在来線を経営分離することの是非について-

2023/7/13 サブゼミCA「性同一性障害特例法における性別変更要件に「手術」は必要か」

【記事】性別を変更するためには生殖能力を失わせる手術が必要である、と定めた「性同一性障害特例法」が違憲であるか、最高裁が審理している。 現在、トランスジェンダーの人が性別を変えるためには、性同一障害と診断された上で、「(1)十八歳以上であること(2)現に婚姻していないこと(3)現に未成年の子がいないこと(4)生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態であること(5)その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。」という5つの要件

「日本は多重国籍を認めるべきか」2023年度 9/28日CA

みなさんこんにちは。今回のCAでは日本は多重国籍を認めるべきかについて議論しました。以下では議論の概要と流れについて紹介します。 議論の概説国際社会では、多重国籍を容認する動きが見られており、今や多重国籍を認める国の方が多数派です。出生後に外国籍を取得した場合に国籍の喪失を定める国は2020では22%であり、データの裏付けもあると言えます 多重国籍を容認することには、人材確保の観点から、国際競争力を高めるといったメリットも存在します。これらは、国際競争力の低さが問題視され

5月18日3回生ゼミCA「日本でもジョブ型人事制度を導入すべきか」

記事と前提質問記事 現在の日本の雇用制度は現在メンバーシップ制度である。メンバーシップ制度は職務等を明確にしない雇用の在り方を指し、職務や勤務地などを限定せずに雇用契約を結ぶ雇用システムである。それに対して、ジョブ型雇用は企業が人材を採用する際に従業員に対して職務内容を明確に定義して雇用契約を結び、労働時間ではなく職務や役割で評価する雇用システムである。 欧州においてジョブ型雇用は主流であり、業務の効率化や生産性の向上などが見込まれるという。グローバル化の影響やIT技術の

5月25日CA

テーマ 日本におけるガソリン車廃止の是非について 記事 2020年12月3日、経済産業省を中心とした第5回成長戦略会議によると、ガソリン車の新車を2030年半ばまでに終了する方向で調整しているとし、2021年1月18日の第240回国会の施政方針演説では前首相菅義偉は2035年までに新車販売で電動車100%を実現することを表明した。日本政府が“事実上のガソリン車の禁止”に舵を切ったのである。この背景にはパリ協定と2050年カーボンニュートラルが深く関係しており、パリ協定では長

2023年6月29日 サブゼミCA

テーマ 「パチンコを法律で禁止すべきか?」 記事 先日、国会でIR(統合型カジノリゾート)に関する法案が通過し、2029年の開設に向けて、大阪府、大阪市、政府のそれぞれで準備が進められている。このIRは年間年間5千億円以上という収入を想定しているが、実現できるのかは不透明な部分が多い。2023年5月30日の記事によると大阪市では、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画が国から認定されたことを受け、大阪府・市は29日、ギャンブル依存症対策を担う新たな組織の役割につい

6月22日4回生ゼミCA【学校での「あだ名禁止」に対する是非】

ここでは、6月22日3限の4回生ゼミで実施されたCA(テーマ:学校での「あだ名禁止」に対する是非)の議論の内容についてまとめる。 記事【あだ名禁止の経緯】 学校での「あだ名禁止」の動きは、いじめ全盛の1990年代後半から見られ始めた。いじめ事案では「嫌なあだ名で呼ばれた」という被害者の言葉が必ず出てくるのでいじめ防止の観点から「あだ名禁止」の気運が高まったことになる。のち、2013年施行のいじめ防止対策推進法、2017年発表の国のガイドラインを受け、いじめの早期発見のために

6月29日サブゼミCA【日本におけるムスリム・フレンドリー(Muslim Friendly)について】

記事  近年、日本におけるイスラーム教徒(Muslim,ムスリム)の人口が増えつつあり、朝日新聞デジタル(2023年5月6日)によると、2020年末まで、日本人ムスリムを含めて、約23万人が滞在しており、10年前から倍増しているようである。そこで、「ムスリムに優しい環境」という課題が注目を集めている訳である。では、どのような「環境」はムスリムが求めているのか?  日本のムスリムたちが直面している課題としては、イスラーム教の規則と日常生活との葛藤である。例えば、ハラール認証の

2023年6月8日 4回生ゼミCA

テーマ 「ミス/ミスターコンクールの開催に関する是非について」 記事 日本では多くの大学でミスコン、ミスターコンといったイベントが開催されている。このイベントをひとことで説明するならば出場者の中で外見や容姿が最も優れている人を選ぶものであった。しかし、昨今ルッキズムによる差別の助長が叫ばれる中で、このような外見や容姿で参加者を競わせることがルッキズムであるとの批判にされらせてきた。実際に上智大学では2020年にミスコンを廃止し、「ソフィアンズコンテスト」を新たに設立した