2023年6月29日 サブゼミCA
テーマ
「パチンコを法律で禁止すべきか?」
記事
先日、国会でIR(統合型カジノリゾート)に関する法案が通過し、2029年の開設に向けて、大阪府、大阪市、政府のそれぞれで準備が進められている。このIRは年間年間5千億円以上という収入を想定しているが、実現できるのかは不透明な部分が多い。2023年5月30日の記事によると大阪市では、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画が国から認定されたことを受け、大阪府・市は29日、ギャンブル依存症対策を担う新たな組織の役割について検討する会議を開いた。この会議で来年夏ごろ、検討課題への対応を取りまとめる予定である。この会議で特に議題に挙がったのは、依存症に関する問題でありギャンブル依存症への懸念は根強く、府・市はIRの運営事業者からの納付金などを生かし、既存の依存症患者も含めて対策に取り組む方針であるとしている。
日本はギャンブルといわれるのものが多く存在し、公営ギャンブル(国から認可を受けたもの)は、競馬、競艇、競輪、オートレースなどがある。しかし、最も身近に存在するであろうギャンブルであるパチンコは正式に国に認められたものではない。一種の法の抜け穴を突く形で存在している(※1)。にも関わらず、現在のパチンコ業界は市場規模が約14兆円と大きな規模でし続けられており、ギャンブル依存症を生み出す要因になっている。このようにカジノという新たな公営ギャンブルが設立されるのに際し、パチンコも立ち位置を明確にすべきである。
※1 三点方式
パチンコでは獲得した玉やメダルを景品に交換することが可能だが、現金などとは交換することが出来ない。そのため、パチンコ店の近くには特殊景品を呼ばれる景品専門に買いとる店があり、遊戯したあと、その特殊景品と出玉を交換し、その特殊景品を現金に変えることで金銭を獲得する。
議論:立論者の立場と意見、及び反論
立論者は、パチンコを法律で禁止すべきに反対の立場(禁止するべきではない)をとる。(反論は「賛成」の立場から行う。)
前提確認
・なぜパチンコは公営ギャンブルにならないのか?
→発祥の経緯によると思う。
議論①
依存症は自己責任である
→ギャンブル依存症の要因としてやり玉に挙げられるパチンコ業界であるが、依存症において最も責任を問われるべきなのはギャンブルを行える場所を提供する側ではなく、当事者であると考える。現在ある程度の娯楽として認められているパチンコを規制すべきではない。
議論②
産業の規模が大きい
→パチンコ業界の市場規模は約14兆円となっており(レジャー白書)、産業の規模でみると鉄道業界や損害保険業界の業界規模よりも多くなっている。それだけ大きな産業であるということは税金を納める量も多く、また多くの人が従事しているパチンコ業界をつぶすべきではない。
・市場規模が大きいので残すべきなのは分かるが、税率を上げるなどの対策をするべきではないのか?
→ギャンブルだからといって、税率を上げるのは健全な措置なのか。業界としても利益が減っている。
・健全性を考慮する必要はあるのか。たばこ税のように、税率を上げても吸う人は吸うので、ギャンブルする人はする。
→たばことは違ってギャンブルはお金が絡むことなので、慎重になるべき。
議論③
実質的な国の監督下にあるため安全である
→パチンコ店は現在風営法の管理下にあり、実質的に警察庁の監督下であるといえる。その中で、射幸心をあおらないような広告の規制や出玉制限などが行われており、立場があいまいではあるが、公営ギャンブルと立ち位置は何ら変わらない。さらに県独自のルールもあり、法律に縛られている以上安全性、健全性も担保されている。
・警察庁の天下り先としてパチンコなども含まれているので、一部を規制するのはどうなのか。
→天下りは関係なく、業界努力だと考えている。
・パチンコをやっている老人はしんどそう。代わりに労働など何か生み出すものがあるのでは。
→それは個人の自由。
予想される反論・再反論①
ギャンブル依存症の温床になっている以上規制すべき
→実際にギャンブル依存症になり、破産した例もあるが、それに関しては立論1でも記載したようにあくまで自己責任であると考える。また、国には国民の生活を守る義務があり、当然ギャンブル依存症に対して策を講じる必要があるが、これに関してパチンコ店の責任はない
・風営法などでギャンブルが規制される理由は何か?
→社会的に良くないとされてるから。
・なら規制するべきでは?
→法律と市場規模を考慮した際に、禁止できない。
予想される反論・再反論②
利益が海外に流れている
→パチンコ店の創業者が海外出身であることもあり、利益が海外に流れているとの批判もあるが、グローバル化した時代において外資系企業が日本でビジネスを行い収益を回収している現状と何ら変わらない。IRでも海外でカジノを運営している企業と日本企業が協力して事業を行うため、ビジネスモデルとしても一般的である。
・パチンコは外資企業なのか?
→オーナーが外国人であることが多い。
予想される反論・再反論③
パチンコはなにも生み出さない
→娯楽とは何かを生み出すものではなく、時間を使い楽しむものであるため、批判は見当違いである。
・パチンコのメリットは何か?
→娯楽にメリットを求めるべきではない。強いて言うならお金が増える可能性がある。
・ずっとやっていれば負けるのでは?
→それは個人の問題。
講評:教授から
個人的な考えは法律で禁止したらアンダーグラウンドに潜り、余計にややこしくなる。
パチンコには政治性がある。自民党がやっている。
選挙権がない人たちの産業であるという側面などもあり、IRも含めて合法の中でしっかりルールを作ることが重要。
参考文献
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