定義しない自己肯定感
研究室でスライド作りがあまりに進まず仮眠をとったらアラームを忘れて思ったより寝てしまった.
いや,正直言うとアラームはかけなかった,と思う.
備忘録的な感じですがメンヘラ丸出しなのですみませんとか書いておけば許されるだろうか.
昨日,年明け一発目の通院日だった.
いつも電車の時間は調べてる筈なのに(去年は特に)予約時間に遅刻して,酷い時は1時間以上遅刻して,自分が当初立てていた「計画」というものが崩れさったことで他の対処法が思いつかずにただただ呆然としてしまうのだ.
結果的にこれもASDっぽいことに繋がってくるのだけれど,私はとにかく何か一つでも自分が予定が狂ったり想定外のことが起こると途端に思考回路が破綻して「どうしよう」以外考えられなくなる生き物だ.
ASD宣告を受けてからは本で見た通り,スケジューリングについて見直したり,あとは年下なのに私よりも若干精神年齢の高い彼氏にいくつかの「余裕」を設けておくことなどを提案されたりして実行というか頭の片隅に入れるようにした.
彼の言う「余裕」とは,私の場合だと,計画や予定が予期しない形になった時に今まで自分が立てていた予定や仕事を実行できる別日にとっておくことだった.予期せぬことは世の中たくさんあるもので,彼もバイトと言えどデザイナーなので先方からの依頼で突然修正が入って取り組んでいる最中の仕事を後回しにしなければなくなったとか,そういうことはよくあるらしい.
(一応私もレンタルショップでバイトはかれこれ7年在籍しているけれど)
まあそういうことは助言として細かく書こうと思えばもっと書けるんだけれど,何が言いたいかってのはちょっと別な話で.
私は彼と付き合ってから,何度か自傷行為は続けていたしODもして迷惑をかけたこともある.研究室の後輩同伴で寝起きの自分の所に,ゼミだった筈の彼女が昼休みにフラフラで押しかけてきて死んだように24時間以上寝続けたのだ.声をかけても起きないし揺すっても起きなかったので死んでしまうんじゃないかと思ったとさえ言われた.
私自身ここまでのODをしたのは初めてだったし,今まではプチODみたいに20錠くらいの可愛いものだった.それが安定剤だけでなく眠剤まで含めて80錠近くだったので流石に私も理由は忘れたけどキていたんだと思う.まだ彼に好かれ続けたくて必死で,すぐに捨てられるのではと怖かった過去の私の話である.
途中で一旦目が覚めたのは,何故かわからなかったけど彼が泣いていた.薄暗い部屋で,なんとなく鼻をすする音が聞こえたからだと思う.その時まだ寝ぼけていた私は,「どうしたの?なんで泣いてるの?」とだけ言ってまた寝た.
幸いにも一日経って早朝あたりに目が覚めた私はODの代表的な後遺症というかツケである嘔吐もせず,眩暈もそれほど残っておらず,病院搬送で胃洗浄なんてこともなかった.
嘔吐恐怖症でもある私は,案外吐かないもんだな…とか呑気に思ったりしたけれど,目が覚めて一番にまた泣いた彼に抱き締められて,怒られて,一緒にゴディバのチョコレートアイスを食べて朝を迎えた.
散々怒られて,以前はリストカットはしないという約束をしていたのだが,もう自傷行為自体をしない約束をした.
え〜,なんて思わなかったし,思えなかった.
今までは良かった.一人暮らしになって怒る人もいなければ,別段私を気に掛ける人もいないし所詮自傷行為なんて鬱経験者や精神科に通っている私と同じ世代の病み属性の友達間ではあるあるだったし,なんとも思っていなかった.
それがどうしたことだろう.
それを嫌がる人がいる.
「自分の好きな人が自分を傷つけると悲しい」と思う人がいる.
こんな奴を好きだと言ってくれる人がいる.
そんな人を悲しませたくはなかった.
初めて,自傷行為は自分を傷つけるものではなくて他人を傷つけるものだと知った.
その日から自傷行為はやめ,薬も彼と一緒に適量を飲むことを約束して,余った薬は通院日にもらってきたら勿体なくても全部捨てることにした.
見事にODはしなくなったし,たまに辛くなってもリストカットにまでは及ばなかった.
そんなことをしなくても,後で今日は疲れたとか,理不尽なことがあったとか,文句や愚痴を言っても許される人がいるのだ.
(この後で一回帰省した時,恐らく日記を読んでいたであろう薬剤師の姉には,この人本当に薬の管理ができてないと母に文句を言っていた)
大学の学部生の頃からピアスは開けていた.
一旦大学に入ったら,高校からのリストカットはしなくなった代わりにピアスを開けるという行為が楽しくて仕方なかった.
もちろんファッションとして,そして「普通」を嫌悪していた当時の私はボディーピアス派だったけど耳にしか開けたくはなかった.一時は『蛇にピアス』の影響とかでスプタンもしたくなったし身体改造している人が好きだった.奇数がいいから,と親を説得して3つ開けるのだけは許してもらった.
以降は黙って開けたし,スタジオに行って軟骨も開けたし拡張もした.
過去最高で11個開いていて,あとはキャッチがなくなったり1箇所だけ寝相の関係か何かで炎症を起こして外したけれど穴はまだ残っている.
今はなんだかんだで9個だし,ファッションピアスをつけるのは右の耳たぶ(ロブ)14Gだけ.左のロブを拡張しているので,14Gだったピアスは瞬く間に0Gになり,欲しいピアスが00Gからしかなかったから00Gにして.
まだ30歳くらいのバイト先の先輩は若気の至りだったとか言って,1/2まで開けていたらしい.(00G以上はインチで示すようになる)
00Gになったら軽音サークルでは喫煙者が多いので煙草貫通すんじゃん!とネタにしてもらえた.
結局私は00でやめるとか言っておいて5/32(12mm)までやった.青いアナトメタルのシングルフレアを入れた時,初めてシルバー以外のピアスをつけたので嬉しかったのを覚えている.
一方で,高校の友達で拡張や身体改造を一時期していた友達にはもう元に戻んないよと釘を刺された.
結局学部4年までには00Gに戻っていて,留学したらフランスなんて皆ピアスしてるからなんとも思われなかったし寧ろそこまで拡張してるともなればクールじゃん!なんて評価すら受けたほどだ.日本と全然違う…とか思って.
もちろんこんなじゃ就職にはあまり向かないのは共通項だけれど,ファッション性や個性としては評価してもらえる.何故かそれがうれしかったのかもしれないとか,今になってそう思うことがある.
帰国してからはまた体調を崩したりしたこともあってそのまま動かさず,大学院の1年後期になって0Gに落とし,そのままでいた.
ただ,前まで一つ大きなゲージのピアスを入れているともちろん穴は拡張されているので少し緩い.いくら細胞が元に戻ろうと縮まろうとしてもだ.
シャワー上がりに髪をわしゃわしゃっとタオルで拭いてたらポロッと抜けた,なんてことは何回もあった.
それならいっそ,00Gの落ちないデザインだったピアスに戻そうかとも思っていたのだけれど,昨日唐突に何かが心の中で発狂した気分だった.
病院に行く前,いつも遅刻だ遅刻!なんて家を出て行くのに,なぜそんな日に限ってそうなったのかわからないけれど,00Gのピアスを取り出したらすんなり入ってしまったし思ったよりゴツく見えたし,もうこうなったらと,ついに5/32の青いシングルフレアを取り出したのである.
拡張器を一回通しただけであっさり入ってしまって,でも昨日はなんとなくじんわりとした痛みを抱えながらいつも髪で隠れている左耳をなんだか嬉しく思ったりして,本当に変な奴だと自分ですら思った.
大学で開けたピアスが自傷行為と同等と自分の中で結論づけていたのも否めない.
拡張することでリストカットしているような気になったのも否定はしない.
折角0Gまで戻して「そこそこ拡張してる人」まで成り下がったのに,どうしてまた5/32まで戻してしまったんだろう,と左の耳たぶの穴に小指を抜き差ししながらぼんやり考えたりもする.
とにかく今の所もう拡張する予定もないしする気もない.
彼と自傷行為はしないと約束したのに,と思いながらもこれは自傷行為じゃないよな,とか思ってる自分がいる.
酷く惨めな奴だ.情けない奴だ.
拡張という一種の身体改造をすることで,こんなことをしてるのに好きだと言ってくれる人がいるほど世の中甘くないしいるわけないと斜に構える一方で,そんな人がいたら私は全てを晒け出せるほどにその人を信頼しようと試していたのかもしれない.
自らそういったことをして自滅してるくせに他人を試して,疑心暗鬼の塊だったんだと思う.
それほどまでにこの世界を嫌っていた.
付き合ってから,その前からだけど彼は私のピアスに対して何も言わない.
本当に驚いた.
そして人間そんな簡単に別れたり見捨てたりはしないと,嫌いになっても別れるつもりはないと言われた.
その時の私はかなり救われた.
嫌われることを恐れたから.
小中高といい子を演じてきた反動とも言えるこんなことをして,嫌われることを厭わずにのびのびしている人たちを疎ましく思い,世界を憎み,自分を締め付けた.
最初から好きなようにすれば良かったんだ.
彼は私に慰めのようなそんな言葉はもう言わないけれど,毎日好きだと言ってくれる.
私は菩薩のような彼にいつも感謝をして伝えている.
彼と会議をすることはたまに辛くなるし発作を起こしかけることもあるけれど,その後必ず前よりも強く手を握っているから私たちは不器用で,それでいい.
きっとピアスのことも,言わないだけで昨日彼は気付いているかもしれない.
それでも私を受け入れてくれて,何も聞いてこないし,私からも何も言わない.
そんな所だけで人間を判断していないだけだろうし,言ったところで私がすぐに「ハイ,戻します」と言わないこともわかっているんだろう.
いつかまた私は自分でそろそろやめよう,と思う時が来るんだろう.
その時にまたこうやって振り返ったりするんだろうなとか思って,ちょっと意味わからなくなった.
それが可笑しくて,ピアスの拡張だなんてどうでもいい話に思えてきた.
要は今年の目標「自己肯定」ということで.
去年の暮れに彼を私の親友に紹介して3人でお茶した後に結局夜ご飯も,と忘年会になっていた.
3人で自己肯定だー!とか言って,私がいるからか気を遣ってアルコールを飲まずにそこそこに騒いでくれる彼氏と親友がいて菩薩と女神だと思っている.
非常にめでたい頭をしている私は,それだけで世界を嫌いになることはやめた.
だから彼に朝ラインを送るとき,いつも末尾につけている.
「今日もいい日だ!」
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