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掌編小説『はじめの一歩』

今日は君と初めて会う日だ。

ホームは静かで、風が心地よく吹き抜ける。

少し緊張している私の心に吹く風が心地よく感じられる。

君との出会いは、オンラインの世界から始まった。共通の趣味を通じて交流し、やがて親しさを感じるようになった。

だけど、実際に会うことになると、少しドキドキしてしまう。

私はホームの端に立って、時折時計を見上げる。まだ時間は早い。君の到着を待つ間、私は様々な想像を巡らせる。

君はどんな人なんだろう。オンラインの世界では、自分を素直に表現できるから、本当の自分を見せてくれているのかもしれない。

私は君のプロフィール写真を思い出す。明るい笑顔が印象的で、どこか懐かしさを感じさせる。でも、実際に会ったらどうだろう。

「おーい、こっちだよー」と、突然、大きな声が聞こえてきた。

私は驚いて振り返ると、そこには女性が立っていた。男性ではなく女性が大きく手を振っている。


「あ、あの、こんにちは」と、私は少し照れながら小さく手を振った。

君は笑顔で近づいてきた。その笑顔はオンラインの世界と変わらず、私の心を安心させてくれる。

「初めまして、本当に会えて嬉しいよ」と、君が言った。

私は戸惑いと少し恥ずかしくて、言葉が出てこない。だけど、君の優しさに包まれて、心地よい空気が流れる。

「来てくれてありがとう。驚いたでしょ?ごめんね?」と、気にかけているのがわかる。

私が言葉を選んでいると、君はにっこり笑って私の手を引っ張っていく。

「ほら、いくよ」といつものオンラインの君がそこにいた。ホンモノだとわかってしまった。

私たちは一緒に列車に乗り込み、目的地へ向かう。君との会話は自然と弾み、時間を忘れるほど楽しい。

オンラインの世界で通じ合った私たちが、現実の世界でも繋がっていることを実感する。

その小さな駅のホームでの出会いが、私たちの新しい始まりだと感じた。今日から私たちは、オンラインの世界だけでなく、現実の世界でも繋がっていく。

私たちの未来がどんな風に広がっていくのか、今から楽しみでならない。

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