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映画『上飯田の話』 監督インタビュー④ −劇中内の音楽について−

4月15日に公開される横浜市泉区の小さな町を舞台にした全く新しいタウンムービー『上飯田の話』。本記事シリーズはその魅力をより深く知ってもらうために監督にインタビューを行いました。

監督インタビュー① −作品の着想について−
監督インタビュー② −町民の方々との撮影について−
監督インタビュー③ −俳優とのコミュニケーションについて−

聞き手:本田ガブリシャス克敏


―――特徴的な音楽が印象的ですが、どういった狙いがありましたか。また作曲家とどのようなコミュニケーションをしたのかお聞きしたいです。

まずこの映画は"小話"を集めたものにしようと思っていました。リラックスして見てもらえて、クスッと笑えて、ウィットの効いている、そんな映画にしたいなと思いました。なので軽いタッチの音楽が合うのではないかと思いました。

では具体的にどういう音楽がいいのかと考えたときに、私の前作『文化の日 製本前の 紙重し』では初めてテクノを劇伴として使用し、映画ととてもマッチした印象がありましたし、僕自身SPARKSのファンでもあったということもあり、テクノ系の音楽が良いのではないかと考えるようになりました。それも最近のテクノではなくて、今聞くと古く感じるような、70〜80年代っぽいテクノがいいなと。

なぜこの年代なのかというと、個人的な好みもありますが、町が栄えていたころに作られていたであろう音楽という意味合いもあります。

なので音楽を作ってくださった本田真之さんには「明るく、ダサいテクノ」というとても難しいリクエストを出しました。しかもAMラジオから流れてくるようなものがいいなと思い、あえてモノラルでというリクエストも出しました。

そして出来上がったのが今回の音楽です。個人的にはかなり満足度の高いものができました。映画が始まるや否や、これから始まるスキットの雰囲気に連れていってくれます。この映画の最初のシーンは車の走行音が響くショットから始まりますが、このショットから始めることができたのもこの音楽があったからだと思っています。

この音楽は予告編では使用せず、本編でのみ使用していますので是非聞いてみてほしいです。

ーー⑤に続く

監督インタビュー① −作品の着想について−
監督インタビュー② −町民の方々との撮影について−
監督インタビュー③ −俳優とのコミュニケーションについて−


横浜市泉区上飯田町を舞台にした
全く新しいタウンムービー
04月15日 ポレポレ東中野にてロードショー

本作は単なるショートストーリーが連なったオムニバス映画ではないかもしれない。いうなればショートストーリーによって連結された町の物語であり、主役は町そのものと言ってよいだろう。その不思議な感覚は特殊な撮影手法によってもたらされている。

今回が初の劇場公開作となる本監督は、劇中にも登場する「上飯田ショッピングセンター」の建物の佇まいから強い映画創作の着想を得た。現地に何度も足を運び、町民の人々と交流するなかで、物語を制作していった。

主要キャストはエビス大黒舎に所属する若手俳優たち。こちらも演技のレッスンに足を運び、それぞれの人物像と登場人物を丁寧にすり合わせていった。上飯田町に実際に生活する人々も出演してもらっており、俳優たちの演技のなかに、いきいきとした町民の会話が溶け込み、フィクションにいろどりが与えられた。

フレームの外の町の風景、生活、人々が、巧みにフレーム内に融合した、この時代にしか撮れないエスノグラフィックムービーが誕生した。

コメント

上飯田という場所は実在するが、『上飯田の話』はどこにも存在しない。それは誰かの私的な記憶の場所でありながら、誰もが知っているはずの風景である。映画と現実。ドキュメンタリーとフィクション。歴史と現在。あなたとわたし。バナナの木とソフトボール。あらゆるものを結びつけながら分割する「と」という接続詞をヒョイと飛び越え無効にしてしまうたかはしそうたの大胆不敵さを御覧あれ。これもまた映画にしかできない離れ技である。

諏訪敦彦(映画監督)

その辺の普通の人たちのいつもの生活が、気味悪いほど確信に満ちた映像で撮られることによって何やら神聖なものに見えてくるから不思議。たかはしそうたは若くして映画の本質をつかんでしまったようだ。カメラがゆっくりパンを開始する度に、僕は自然と襟を正した

黒沢清(映画監督)

生きることを物語に要約しないことで、毎日の暮らしのどうでもいい細部にひそむ不安が見えてくる、隠された日常の発見。

谷川俊太郎(詩人)

その他のコメントはHPで閲覧ができます。

横浜の小さな町を舞台にした『上飯田の話』4月15日(土)ポレポレ東中野にて公開。

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