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地元を離れて嫁ぐということ

私が住む瀬戸内地方では、JR線の駅で電車が接近した時に小柳ルミ子さんの『瀬戸の花嫁』が流れる。学生時代に電車通学をしていた私は、この曲を何度も聞いてきた。

最近、身内の結婚式で久しぶりに『瀬戸の花嫁』を聞き、思わずグッときて涙があふれた。

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「瀬戸は日暮れて 夕波小波
あなたの島へ お嫁に行くの
若いと誰もが 心配するけれど
愛があるから 大丈夫なの」

私は遠距離恋愛の末、恋人が住む土地へ引っ越して結婚した。今から10年以上前のことだ。

地元を離れることにさみしさはあったけれど、彼と一緒に生きていきたいという気持ちの方が強かった。彼と同じ家に住み、同じ家に帰りたいと思った。結婚して地元を離れることは、当然のことだと考えていた。

引っ越すといっても隣の県だし、すごく遠いわけでもなかった。だけど、改めて自分の人生を振り返ると、地元を離れて嫁ぐというのはそれなりに大きな決断だったと思う。

隣の県とはいえ、電車でも車でも2時間以上はかかる。思い立ってすぐに帰れる距離ではない。子どもが幼い頃は移動するだけでも大変だった。コロナ禍では県をまたいでの移動自粛が呼びかけられ、帰省もままならなくなった。

一度だけ、すごくつらいことがあった時、泣きながら実家の母に電話したことがある。その時は、地元に住んでいる友人達をとても羨ましく思った。

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それでも、自分の人生の選択を後悔したことはない。

私は今住んでいる街が大好きで、第二の故郷だと思っている。都会ではないが、地方ならではの良さを日々実感している。

好きな人と結婚し、好きな田舎で暮らしながらライターとして仕事をする毎日は、ささやかだけど幸せな日々だ。

オンラインツールを使って全国の人とつながりながら仕事ができる時代になったことは、結婚する時には予想もしていなかった展開だ。住む場所にとらわれずに働けるオンラインツールは、私の人生をより豊かなものにしてくれた。

自分が選んだ人と、新しく増えた家族と、自分が選んだ働き方。今の幸せに感謝しながら、これからも後悔のない生き方をしていきたい。


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