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日本美術の面白さを伝えたい!

 はじめまして!かとうゆずかと申します。

 日本美術史の研究者をしつつ、マンガ・イラストの製作や、デザインなども行っています。

 専門は、日本近世絵画史、ざっくり言えば江戸時代の絵について勉強しています。

 もう少し詳しく言いますと、江戸時代中~後期の絵師、鍬形蕙斎(くわがた-けいさい)の絵手本シリーズ「略画式系絵手本」の需要を探ることから出発しまして、この絵手本シリーズが売れた背景には、俳諧・狂歌の流行が密接に関係していることを、自分の論文で少し考察してからは、現在は近世絵画史における俳諧・狂歌の影響について研究しています。

 蕙斎や「略画式系絵手本」、狂歌・俳諧およびそれらとゆかりが深い絵画など、おいおい記事にできたらと思いますが、ひとまずは見出し画像のこちら、実は江戸時代のある絵を元にして描いたパロディ画なのです。

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八百善主人(栗山善四郎)『料理通』初編、文政5年(1822)
画像:『日本古典籍データセット』(国文研等所蔵)
提供:人文学オープンデータ共同利用センター

 それがこちら。これは、料理屋「八百善」の四代目の主人が著した『料理通』という版本の一部です。全四編を通して「八百善」で出された様々な料理を紹介する本書は、挿絵や序文(前書き)を、大田南畝・亀田鵬斎・谷文晁・酒井抱一・葛飾北斎など、当代一流の文人や絵師たちが手掛けています。

※「文人」の存在について、また今とりあげた人物たちの紹介も後に記事にしていく予定です。

 画像は、「八百善」に訪れた文人・絵師たちが、酒席を共にしながら楽しく談笑している絵ですが、この絵の作者こそ、私が主に研究している絵師の一人、鍬形蕙斎その人なのです。

卓を囲んでいる右の人物が大田南畝(おおた-なんぽ)、左が大窪詩仏(おおくぼ-しぶつ)、上が亀田鵬斎(かめだ-ほうさい)、そして下の人物は、羽織の紋所から、鍬形蕙斎本人だと言われています(諸説あり)。という訳で、私のイラストでは、普段描きなれた蕙斎くん(下図)を配置しています。

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 こんな風に、私のnoteでは、主に日本美術の作品を元にイラストにしたり、絵師や文人たちのエピソードを漫画にしたものを投稿したいと思います。

 「渋い」「なんだかよくわからない」と思われがちな日本美術ですが、よくよく内容をみたり、作品が生まれた当時の流行や教養などを知れば、『料理通』のように、江戸時代の絵師・文人たちの笑い声が聞こえてきたり、他にも「面白い!」と思えるようなポイントが見つかることでしょう。

 私の漫画やイラストが、そのような発見のきっかけとなりましたら幸いです。


ー現在のお仕事(2021年10月25日現在)ー

足立区立郷土博物館 文化遺産調査マンガ「ビビビ美アダチ」

足立区Twitter #ビビビ美アダチ  および足立区立郷土博物館HPにて連載中

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