公開から半年以上経って「君どう」を観てきました(ネタバレなし)
つい最近まで、あんだけ長々とnoteを書いていたというのに、このごろはぱったりと書けなくなった。温泉とか水源でいうと、わたしはすぐ湧いてこなくなる温泉で、干からびやすい湧水なのだろうか…と、よく思う。今はダイニングテーブルについてパソコンで細々とした用事を済ませ、まだどこかに積み残した雑用があるような気がして頭の中を探している。なにか文章を書き始めれば、ついでに忘れたことも思い出せそうな気がしてパソコンに向かっている。
こんなに頭がぼーっとするのは、きのう観た映画の余韻がまだ続いているからかな。心の半分が映画に連れていかれてそのまんま、現実に帰ってくることができないでいる。
みなさんは「君たちはどう生きるか」を観たっすか。去年の夏にはもう公開されていたから、その頃からFBとかでも友だちは割と何人も観ていて感想が飛び交っていたことを思い出す。けど、今を生きてると去年の夏って結構すぐ昔になったりするんですよね。わたしは映画の特に話題作は見逃すことが多いので、てっきり「君どう」も観ないまま時が過ぎるだろうなーと思っていた。ところが、そんなわたしに対してこの映画の鑑賞を強く勧めるやつが家庭内に出現したのだ。それは高3の息子なんだけどね。息子が言うには「君どう」を2回観たけど分からんところがいっぱいあったそうだ。でも、内容について深く話をしたくなる映画なんだという。それなのに家の中に話し相手がいないので困っている、と彼はいうのだ。それで母であるわたしが話し相手に指名されたってわけ。
息子と一緒に映画館に行くことが決まったあとも、わたしは大して乗り気じゃなかった。だって難しい話が苦手なのだ。そもそもわたしは昔マクロスとかガンダムの内容を理解するのが難しくてバイファムという分かりやすいアニメのほうを観ていた人なんですよ。仮面ライダーよりも戦隊もののほうが好きだったし、鬼滅よりドラえもんを選ぶくらい難しいやつが苦手(でもドラえもんも結構深いときがある!)。「君どう」を観てもよく分からなかったと言っている人が多いらしいし、わたしにはおそらく意味が分からんかなと思った。そういえばジブリもところどころしか観ていないしな…。ナウシカとかラピュタすら、レンタルで適当にしか見ていなかった。風立ちぬとかハウルとかは全然見ていない。…自分には難しすぎて分からんかもしれん映画を観にわざわざ映画館に行くのかー、と思いながら祝日、親を誘ったくせに朝ぐうぐう寝ている息子を叩き起こして大慌てで地元のシネコンに行ったんすよ。
そうしたらな…ネタバレになったらいけんけん(まあ多くの人たちはすでに観ているんですけど)内容は書かないのだが…もうなんか、涙がめっちゃ出て、あごまで流れてきてわたしはあごを拭いたくらい笑…感動してしまったではないですか。息子はびっくりしながら「なんで泣いたん?」と訊ねてきたけど、なんで泣いてるのか自分でも分からんし、どこで泣いたかもはっきりとしない。何度も感情の波が寄せては引いて、しかもそれが途中からずっと上げ潮で、気持ちがあふれてしまったっていう感じ。あんなに涙が出たのは一体なぜだったんだろうか。
泣いた理由のうち1つだけ言えるのは、なんかわたしも、きっと世界ってこんなふうにできているのではないかと心のどこかでずっと思っていたなーということ。それを、言い当てられた。そんな気がしたのだ。っていうか、小さな頃からぼんやりと世界ってどうなっているんだろうと思ってて、自分では全然分からんで考えが及ばなかったことが「君どう」にくっきりと描かれてた。えーっ!わたしのぼんやりの先にはそれがあったのか…と思わせてもらった。自分では全然解けなかった超むずかしい数式の答えがずらずらずらーっと披露されているような映画だったっす。
…でも、超むずかしい数式の答えは超深すぎた。。。1回観たくらいじゃほとんど内容が分かったとは言えない。そして何回観てもわたしには多分ずっと分からんことがあるだろう。さらにもったいねえことに、どんどん中身を忘れていくではありませんか。でも映画を観ながらの1シーン1シーン、ひとことひとことはグッと刺さった。それで、分からんけど涙が出たんかな。あと、観よったらあの世に行ったうちのじいさんばあさんとか親戚のおじちゃんに会えたような気がしたんや、一瞬。
息子は「もう3回観たけん」と妙にスッキリして、次は違う映画を観ると言ってる。おい、話し相手になるっていう話はどこ行った笑。なので、2回目の「君どう」は中3の娘を誘って行くつもり。娘っこは「映画には行きたいけど1000円がもったいないんよ…」と二の足を踏んでいたが、そのときわたしの口から思いがけない言葉が出た。「映画って投資やけん、若いうちに観たほうがいいで」-ほんとにそうや!どんな映画でも観ちょけばよかったな、昔。きのう「君どう」観れてよかったな。若くないけど。わたしは今だからこそこの映画に出会うことができたし、今だからこそあんだけ感動したんかも。
オーバーフィフティで出会った「君どう」に感謝。で、娘の映画代1000円は結局わたしが負担することになるんやろーなと思う笑
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