【まこ】仮面浪人するか迷っている君へ

 これを読んでくださっている方がどのような境遇かについては推測しかねるので、まずは私が仮面浪人を決めた経緯についてお話ししたいと思います。そもそも京大に行きたいと思ったのはたぶん小学生くらいの時、母の実家が関西なので京都に足を運ぶ機会が多く、憧れを持ったのがきっかけでした。自分がちょっとだけ勉強ができるのはほんの少し気付いていたので、憧れは次第に目標に変わり、中学生の時点では東大行くのー?という友人からの冷やかしにも私は京大行きたいの、と答えていた記憶があります。実際にはその道のりには大量の荊が生えていることもつゆ知らず…。高校は都立日比谷に進学しました。誇張なしに生徒ほとんどが志望校に東大を書く高1の模試から、しっかりと京大総人と記入していました。総人、と決めたのも単なる憧れ、何をしているかわからない感じがかっこいいな、と思って中学生の時に決めたと思います。それもそれで荊。おとなしくほかの学部を志望していればこんなことにはならなかったのに。そして迎えた一回目の入試。完全なる勉強不足で大敗しました。後期の神戸大学も不合格だったので河合塾新宿校に入学して結構ちゃんと勉強して、成績もものすごく伸びて、家族も友人もチューターも、そして私自身も、絶対合格するでしょう、と自信をもって臨んだ二回目の入試。手ごたえも自己採点も完璧だったので合格発表を見に上洛。しかし不合格。ふたを開けてみれば最低点が例年の60点高く出ていました。自分の番号のない掲示板の写真を撮って、こんなこともあるんだなあ、と呆然として、涙も出ず、祇園で母と合流して、ご飯やさんに並んでいるときに、このままで終われるわけがないなあ、と思いました。だって10年近く行きたかった学校で、絶対に行けるのだと信じて疑っていなくて、不合格が受け入れられず、それなら受け入れないまま一年延長戦をして、追加合格みたいな気持ちで来年合格をもらえばいいんじゃないのかな、と。そんな私を見ていた母「もう一年やってもいいと思うよ。」理解のありすぎる母のこの一言のおかげで私は仮面を決意しました。

 長くなってしまいましたが、現役時に合格していた先で仮面浪人しても九分九厘合格していなかったと思います。もちろんその年の問題や受験者層にもよりますが、神戸で生活しながら最終的に合格できたのは、間違いなく一浪目の蓄積があったからです。教材もたくさんもらったし、合格すれすれまで到達していたので来年の運を信じて学力の維持をするのみで合格できました。個人的な意見としては、何十点、何百点のビハインドを負っての仮面浪人は相当厳しいと思います。事実として純浪生は毎日10時間勉強するので、そこに大学の授業を携えて太刀打ちするのはなかなかの博打です。まだ開示を受け取っていないとは思いますが、親御さんから許可をいただけるのであれば、一浪目は純浪を強くお勧めします。気持ちの整理がついていない状態でプライドと勢いによって仮面に突入しても、単に来年の合格可能性を下げてしまうだけなので、一度立ち止まって、冷静になって、最終的に自分が合格できる最善の選択をしてください。

 そして浪数、家庭環境の都合で浪人するなら仮面浪人しか選択肢がない方、つまり進学は決定しており、仮面するかしないかで悩んでいる方は、入学後少しの期間試してみてもいいのかな、と私は思います。私自身何名かの友人に相談したのですが、きっとあなたなら神戸で楽しめるし神戸も素敵な大学だと思うよ、と言ってもらえることが多く、でもそういう問題ではないのだよな…ともやもやした経験があります。進学が決まっているなら、仮面するかどうかいま決める必要はありませんし、実際に入学してみて、打ち込めるものが見つかったり楽しめそうと感じたりするならその時点で勉強はやめればいいと思います。実際に私は新歓もたくさん行ったし(食費を浮かせて講習に充てるため)、新生活に順応するための四月を過ごし、そのなかで判断するのが得策であると思います。もちろん進学先で大学生活を送ることに納得できることが理想です。私たちの団体は京大生で構成されており、つまり最終的に合格できた人しか構成員として存在しないので、さも簡単に合格できるように見えてしまうかもしれませんが、実際には仮面浪人は道半ばでの断念率も不合格率もとても高く、いま味わっている悔しい気持ちをもう一度味わう可能性も大いにあることを忘れないでください。与えられた環境でベストを尽くすことがベストな選択であるということを踏まえたうえで、それでも諦められないなら、進学して少しづつ勉強をしながら様子を見て、その後の動向を決定することをお勧めします。相当強い決意がないと一年間続かないし、一年後に合格しても不合格になっても大学生として過ごす一年間を受験勉強に充てることには、たくさんの損失が伴います。だから次の四月は、基本的には進学先で咲く術を模索する一か月にしてください。友人関係も良好であるに越したことはないので、クラスや新歓で、その大学の生徒として、友人作りを楽しむことを強くお勧めします。

→【親や友人との付き合い方】
https://note.com/kamen_to_kyoto/n/ncdaff45ccbe5
【履修登録】
https://note.com/kamen_to_kyoto/n/na0c86b051b61
【アルバイト】
https://note.com/kamen_to_kyoto/n/n617bb36a427b
【仮面浪人の一週間】
https://note.com/kamen_to_kyoto/n/nf19793ed927b
【受験勉強】
https://note.com/kamen_to_kyoto/n/nf983b3f023cb

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