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七夕~詩3編(おまけ付き)


母のふるさとは

鳥取県の東の山間の集落

私都と書いてきさいちと読む

川の水が冷たく

うぐいがむれ泳ぐ私都川

木登り上手な猿むすめとよばれた

こがらな少女

都会に呼ばれて嫁入りし

何度も流産を繰り返しながら

やっと私を産んだ

私が心臓神経症の発作におびえ

眠れない夜に語ってくれた

ふるさとの記憶

幼いころたずねた夏を

私もおぼえています

生まれることかなわず

流れさった兄たちの末に

かろうじて命に手をかけた末子

私が生の不可解に迷い

観念の流浪に生きる定めを見つめたとき

思い出したあの山とあの川

私都はあなたのみやこ

山あいのせまい夜空を

埋め尽くしていた銀河


川上のうぐい追いたる猿娘

その乳を吸う銀河の子供

おのこあり、年に一度宇宙のオリ姫とねんごろな祝いを交わす勤めあり。

おのこ日々のなぐさめに、地にありて、ヤメ姫と情をかわせおり。

ある年、ヤメ姫ながの患いにて、おのこ看病すべしと迷いけり。

七夕の夕刻、空晴れ渡りけれど、地には病みびとおおし。ヤメ姫ますます心ぼそく泣きふしており。オリ姫の使いのカササギきたりて急かす。今宵、我とオリ姫とおうせ叶わば、地には平和訪れるべしと、ヤメ姫に説きふせり。ヤメ姫、病重く引き止めることならず。

おのこ、心さだまれば、オリ姫への情念の抗いがたく、カササギの橋を渡る。

その夜、銀河のほとりにてなせり。

オリ姫、病に感染せり。

宇宙に病広がりぬる。

困ったもんだ。

6月としては記録的な

豪雨が続き

倦怠感のなか

またウィルスの新変異の季節性増大の気配

ウィルスも困るが政治家の無知も処置ない

三年のパンデミックのあいだ

このウィルスはひそかに脳を萎縮させる

とんでもない奴だとわかってきた

みんなしてちょいバカになるだけなら平和だが

困るのは戦争始めるだの

それを見て興奮するだの

萎縮したなりに脳は活動する

ややこしい横暴な脳と

それなりに整理された脳を

仕分けしなければならないのだが

電脳空間では情報は雲だという

たよりないな

雲だから


             

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