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聖徳太子の遺言の解釈など~詩1編

毎日散歩で見る花を

撮影するため

西日に焼けつく街にでる

八月のおわり

すでに蝉のこえは滅びた

秋の気配はまだ遠い

木陰のベンチで吹き出した汗をぬぐい

雀をまつ

鳥たちの気配がない

人も歩いていない

スマホの書きかけの原稿を読みかえす

聖徳太子が死のまぎわの高熱のなか

残した歌

「たぎてましものとみのいのみず」

ああ昨日さきだった妃とともに

あのとみのいのみずのほとりで

そのみずをともにのんで

仏の世界へたびだとう

❮とみのいのみず❯がなんであるのか

私は確信をもってかたれるが

まだなんねんも下書きのままだ

孤独な探求に答えを求めるあせりは

もう失った

聖徳太子の遺言の解釈など

この国の人は興味もない

読まれない書物を残すのに

私の命の秋もまだ遠い

千四百年流れ続けるとみのいのみず


雀が一羽やってくる

私は孤独ではなかった

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