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意識を変えるだけで買い物には発見いっぱい

家の近くには、お世話になっているイトーヨーカドーがある。

主な入り口は2つある。
駐車場から入ると、左手には野菜コーナーがあって、そこからぐるっと店内の壁に沿って肉→魚→惣菜→加工食品という順番で回っていく。

車で来るお客さんというのは、比較的多くの買い物をするつもりで来店しているはずだから、夕飯や買いだめの商品を、順番に見て回れるような導線の設計がされているのだろう。

駅から近い入口から入ると、時期ごとにいろんなコーナーが展開されている。今は確か、クリスマス商材だったはずだ。お客さんをそもそもお店に惹きつける効果があるのだろう。

人の買い物の9割は、計画外の購買だと言われている。

小売店の売上は客単価×来店数に分解できる。
その客単価のうちの9割は、「それを買うつもりで来たんじゃない!」という買い物であるから驚き。(私の場合はそれ、ほぼポテチ)

そして小売店における、商品のカテゴリ分け・レイアウト・陳列、そしてPOPや試食コーナーなども、その計画外の購買を促すために緻密な計算の上で成り立っている。

そしてその裏ではどこに・どのように・どれだけ並べてもらえるか、という点でメーカー同士の熾烈な争いが繰り広げられていると考えると、胸アツなのである。(店舗内で猛プッシュされている商品を見ると、「あ、ここのメーカーが今回は販促で協力してるんだなあ」とか思ったりするのは職業病)

お店は基本的にカテゴリーマネジメントの考え方で成り立っていて、ブランドや商品ラインといったくくりで陳列はされていない。
たとえば「冷凍食品」とか「調味料」といった分類である。

昔は商品の管理もアナログだったので、商品をカテゴリごとに分けると、カテゴリ外の場所に陳列することが難しかった。
(品出しの導線・店内でのスタッフ役割分担・倉庫内の配置もまた密接に絡んでいる)

しかし今は、お肉のコーナーに焼肉のタレが置いてあったり、魚のコーナーに鍋の素などがおいてあったりする。これも、計画外の購買を促すための工夫だ。

このカテゴリーや陳列の考え方によって、売上の増減に影響した面白い事例を紹介したい。

1つ目はキッコーマンの豆乳。テレビで見た事例。
飲料として牛乳とか他の飲料と一緒に並べられていたが、ブームがやってくるまであまり豆乳は一般的ではなかった。しかし、豆乳は常温保存が可能であり、保存期間が長いという点に着目し、置き場所が限られている冷蔵スペースではなく、箱のまま大量にお店の空きスペースに置くという陳列ができたため、目に触れてもらい、手にとってもらう機会が増えたらしい。

2つ目は亀田製菓の柿の種。
アメリカで柿の種の販売にとても苦戦しているらしい。それはなぜかというと、アメリカのスーパーには「米菓」というカテゴリーがないから。
お菓子コーナーに置いてもらうしかないため、まず手にとってもらうことに苦戦しているらしい。

買い物は日常的に行っているが、たとえば、コンビニに行ったとき「飲み物はだいたい奥に置いてある」ということが無意識下に染み付いていないだろうか。
それは小売店が工夫を重ねた結果、お店の作り方の成功パターンが固まっていて、一般化しているからなのかなと思ったりする。

しかし、そのお店がどこを商圏にしているかによって工夫の色が見られることもある。たとえば、単身や共働き世帯が多い店舗では、いきなり入り口似惣菜コーナーを用意してあったりする。

そして、小売店の販促はメーカーの協力によって成り立っているので、「このレイアウトや陳列には意図やウラがある(かもしれない)」という意識をするだけでお店の見方は大きく変わる。インストア・マーチャンダイジングの本を読んで、実際私もちょっと変わった。

企業のプロモーションの支援をしている私たちも、デジタルやクリエイティブ上の工夫だけじゃなくて、「小売店のこの場所にこうやって置いてもらうことに勝機があるかもしれない!」というヒントを見つけるために、買い物時に意識的に店内を見回してみる、というのは割とおすすめ・・・なのかもしれない。グラノーラも、その発想の転換で売れたとか・・・らしい。

BtoBマーケティングのプロを目指すため、日々精進しています! ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます! スキくれる方はみんな大スキです(*´ω`*)