見出し画像

クダマキモドキとバラの花

庭にでると、なにかしら虫に出会う。

以前は見かけたこともない虫がいたり、去年よく見かけたのが今年は全然現れなかったりするから不思議である。植物に悪さをする虫とわかれば、捕まえて処分するから(できないときもあるが)、毎年現れる虫の種類が変わるのだろうか。

去年、クダマキモドキという虫の名を初めて知った。それはきれいな緑色で、葉っぱを横にしたような形にも見える大きめのバッタだ。バッタらしく長い脚があるのに、木の枝にじっととまっているか、のそりのそりと歩く姿しか見たことがなかった。

数年前から見かけていたが、きれいなバッタくらいの認識で、あまり警戒していなかった。なにをしているのか、パッと見ただけではわからない。

それでも、あまりに決まり正しく毎年現れるものだから、去年初めて調べることにした。バラでよく休んでいるが、手元にあるバラの本には載っていない。インターネットで調べると、クダマキモドキという名の昆虫にたどり着いた。

なんと悲しいことだろう。このきれいな色のまったりとした雰囲気のバッタ君、木の枝に産卵して枝を弱らせ、バラの蕾を豪快に食すとのこと。ああ、なんということか! ずっと見過ごしてきたけれど、今度遭遇したら……

そして今年、7月末に現れた。

これまで病気がちで葉を落とすことの多かった黄バラ(品種不明)。今年は春から元気にきれいな花を咲かせ、その後も葉を落とすことなく、新たにシュートまで伸ばしている。そのうえ、2番花も咲かせようと数個の蕾をつけていた。

蕾がふっくらしていくのを日々観察していたところ、ある日、上半分ほどがなくなっている。鉢台を使っていたとはいえ、土の上に置いていたのが悪かったのか。ヨトウムシの仕業に違いないと思い、鉢を移動させて様子をみることにした。

しかし、翌日もまた蕾は食べられ、かわいそうな姿になっている。私は蕾を切り取り、黒星病で黄色くなってしまった葉も取り除いた。すると、切り取った枝にクダマキモドキがついているではないか。自分は葉っぱだといわんばかりの態度だ。

不意を突かれ、対処法を考えていなかった私は、そのままポイっと投げてしまった。投げたところでどうにもならないのに……

蕾のなくなった黄バラに用のないクダマキモドキ君、今度はアイスバーグの枝で一休みしていた。なんとかしよう、でもその前に撮影を……と思ったら、母がゴミ拾い用のトングを持ってやってきた。

「動きは遅いの?」「たぶん……」エイッ! 逃げられた! クダマキ君、ピョーンとなかなかの跳躍を私たちに見せつける。バッタらしい長い脚をバッタらしく使うこともできるのだな、と感心する。

その後も数回逃げられたが、母は諦めず、最後にはしっかりと挟んだ。挟んだところでどうしよう……と迷い、側溝の蓋の隙間からしたへ落とした。

やはり対処法は、事前に考えておかないといざというとき困る。

この記事が参加している募集

生物がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?