かまさきさん

一ミリの穴から世界をのぞく実践(混沌)|ライター

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一ミリの穴から世界をのぞく実践(混沌)|ライター

マガジン

  • みんな主人公計画ライティング・ゼミ 2024

    • 5本

    個人の語りを聴き、人生を紐解く営みについて学びあうゼミ。ライフストーリーやみのうえばなしにフォーカスしたライティング文化をつくる「みんな主人公計画」プロジェクトです。

最近の記事

夜、ネムノキを探して

(雑記) 花が咲くと木の種類がわかりやすくていい。ゆらりゆらりと揺れる薄ピンク色のネムノキが、いまのざわめく気持ちを刷毛で撫でつけるようで次第に落ち着いてくる。そこにも、ここにもネムノキ。遠く離れても、わたしは、世界は繋がっていると思わせてくれる。夜にはほんとうに眠ってしまうのか確かめに、ナイトウォッチングに出かけよう。 * おぎゃあと生まれて物心ついてから、ほんの数年前まで死にたいと思わずに生きている人がこの世にいるなんて信じられなかった。そして、そう思わないことが健

    • 透明度50%

      「書いたものには、その人がこの世界と他者をどれだけ信じているかが如実に現れる」 今日、そう言ったのは他でもないわたし。どう読み直しても主語の大きい言葉だけど、ほんとうを言うと、誰かの文章を読んでそんなことを感じるなんてほとんどない。だから、今日言ったこの言葉の「その人」とは、実際にはイコール、この世界と他者を信じたいわたしだ。 そうでない文章とは、つまり世界と他者を信じていない文章とは、説明くさく、遊びがなくて、わたしとあなたの境が明確なもの。「わたしはこう思う!あなたがど

      • それしか

        どれだけ正確な情報も言葉も、受け手が振り回せば立派な凶器になると、知らず知らずのうちに体得していたみたい。ただ、だれかを疑い非難するきっかけになる文章を書かずにいたい。 * 3月に修了したライター講座で、言葉を扱うものはどれだけ責任を持っていられるか、搾取的・暴力的でない実践を積めるのかと、そんな話が出た(ような気がする)。薄氷よりも割れやすい記憶のため、いつもどおり自信はない。 ぼんやり、ぼんやりとずっとそのことが気になって、ときどき思い出しては考えて、また仕舞ってと

        • 声に出して読みたい阿波弁で、スペキュラティブなライティングについて考える

          こないだな、ライター講座に行ったんよぉ。ほこでな、課題っていうか、ワークっていうか。ほこで集まった、うちも入れて5人おったんやけどな、各自で考えるシートみたいなん配られたんよ。ほんなかに、書いとったこと、話さしてな。 まあ、いろいろ書く欄はあったんやけどな。一個、ずばーん!ずきゅーん!て来たんがあってな。ほれが、「伝えるまたは表現することで、何かを掴んだ体験」て項目だったんよ。 うちな、絵描くん好きなでぇ。え、知らんので。ほうよ、ときどき絵描くんじょ。あんまうまぁはないけ

        夜、ネムノキを探して

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        • みんな主人公計画ライティング・ゼミ 2024
          5本

        記事

          二月三日の米倉庫で

           ライター講座二回目を受講した。一回目でインタビューのワークと文字起こしの宿題が出ていたのだけど、なぜかなぜか、わたしの宿題が二回目の講座の題材に選ばれてしまった。打診があったとき、当たり前にいやだし、よくよく立ち止まってもいやに違いなかったけど、トータルいろいろなことを考えて状況に任せようと賽を投げたら、わたしになった。  当日はみんなにインタビュー音源を聞いていただくことになり、みんなというのはZOOMも含めて十人以上、アーカイブも含めると…と考え始めるとマントルまで潜

          二月三日の米倉庫で

          愛って(詩)

          だれかがいないとき だれかについて思いめぐらせること なにかがないとき なにかについて思いうかべること あの人のことば あの子の爪のかたち 過ぎた春の桜 あの山の苔 いまここにひとりでいても 故郷の山も 遠い異国も 過ぎた季節も あなたも わたしも 愛していられる そして 愛されていられる

          愛って(詩)

          十円と二千円の かみさま

          ーーどこに住んでも、何を信じてても、神さまのひとつやふたつ、誰しも持ち合わせてるものだ。 えっと、神さまのつくりかたは知ってる?難しくなんかないよ。 ときどき、いつ入れたか分からないものがポッケに入ってる。そんな経験、誰にだってあるでしょ?まるで、わたしに会いたかったかのように、わたしの手の中に現れる瞬間。 リサイクルショップで買った服にたまたま、何でもないクリップがひとつ入っていたり。道を歩いていたら、たまたま落ちていた石ころが夕日に照らされ、ひとつだけ輝いていたり。

          十円と二千円の かみさま

          ネコヤナギに弔いを

          猫はーー 動物はーー 死をどうとらえているのだろう。 殺人的な暑さの夏の日。夕暮れ。痩せ細ったメスの三毛猫が、向かいの家の玄関に出された餌をカリカリと食べている。 「クロミ」 名前を呼んだ。こちらに一瞥をくれて、またカリ、カリ、と。 この五日で、ずいぶんと痩せてしまった、そのちいさな体に胸が疼く。 隣で何も知らず待ちぼうけを食らった無垢な犬が、辛抱たまらず吠えはじめた。そう、散歩に行こうとしていたんだった。 犬をもう一度待たせて、家へ戻る。ボックスから犬の餌をすく

          ネコヤナギに弔いを