見出し画像

【前編】LifeQuest~釜石で○○する人たちの多様な生き方〜第3歩目「自然保育」×深澤鮎美

本記事は、岩手県釜石市で人生を探求し生き方を自分でつくることに挑戦し、様々な活動に取り組むゲストの生き方に迫っていくイベント型オンライン番組『Life Quest』の内容のアーカイブ記事になります。       
今回は、2020年6月15日に実施された第3歩目「自然保育」に取り組む深澤鮎美さんをご紹介します。実際の放送については、こちらをご覧ください。

画像7

ゲストプロフィール:深澤鮎美/茨城県石岡市出身。自然あそび広場にここ代表。専門学校のキャンプ実習にて「人」「自然」「出会い」「踏み出す勇気」等、人生を歩む上で大切なことを体験を通して知る。埼玉県の自然派保育園で9年勤務。現在は「自然あそび広場 にここ」として、自然環境の中で子どもの自主性や発想力、コミュニケーション力を育む保育事業の展開に向けて活動。保育士、幼稚園教諭2種、パーマカルチャーデザイナー、おもちゃインストラクターの資格を取得。

「自然保育」とは?

「自然保育」って何?どんなイメージ?

平元)自然の中で、大自然の緑の中で子供を育てるみたいな感じ?

深澤)いい感じです

「自然保育」とは、自然環境や地域文化を活用し、子供たちの直接的な体験を大切にする保育・幼児教育(自然保育学会H Pより引用)

画像2

深澤)私は「自然にあそび 自然とまなぶ」というのをコンセプトにしています。「自然にあそぶ」というのは、子供たちがそのまんま遊びたくなる、遊びに行く。「自然とまなぶ」というのが、自然の中で学ぶっていう意味と、いつの間にか自然に学んでいる、という意味です。

つまり、遊びと学びっていうのがイコールで自然に生まれているよ、ということです。具体的に、自然保育は自然体験というお散歩とか畑とかキャンプという自然体験と生活体験からなります。これらは暮らしの中で大切な生きる力です。自然保育の中では、「はい今日は〇〇やるよー」というように大人が決めるのではなく、

子供が「これをやりたい」「これをやる」ということを大人が信じて見守るということがとても大事です。私は、自然保育とは時間・空間・気持ちのゆとりを持ちながら子どもが主体的に飛び込め、子どもも大人も共に育ち合える環境づくりだと思ってその気持ちをもちながら活動しています。

和歌山県 めぐみと森の幼稚園の動画を視聴

動画の内容:めぐみの森幼稚園では森の中で作って遊んだり、海で遊んだり、自然体験が多い幼稚園である。雨の日も外で活動するというところが特徴。常に自然と一緒にあり、制作やアートも自然の中で行う。それにより、常に子供がワクワクした状態を作り出せる。

わたしの「自然保育」

事例①:森のようちえん
深澤)自主的にやっている事業として「nicoco森のようちえんDAY」というのがあります。これは釜石での活動だったのですが、週一回、親子参加型の森の幼稚園を開催していました。
この、森のようちえんD A Yをやるときに必ず保護者の方に最初に話をする

①子供のやりたいという時間を尊重して、子供を見守る
②「だめ」「あぶない」というつい子供に言ってしまう禁止語指示語をこの時間は我慢する

ということです。これらを伝えることによって「あ、それでもいいんだ」「そういう環境で過ごしていいんだ」というお母さんたちに安心感を持ってもらって、みんなでみんなの子どもを見るみたいな空気を作ってから、安心して居心地のいいという空気でその場を始めるようにしています。

事例②:開催したイベント「nicoco森のようちえんDAY」

画像3


深澤)餅つき大会は毎年やっていて、40人近く集まるのですが、お父さんとお母さんもそれぞれ役割分担でお仕事をしてくれています。みんなで餅つき大会のイベントを作っているという感じです。あと夏になったら川遊び、あとは季節のもので、よもぎを摘んでよもぎ団子づくりというのもやっています。

戸塚)すごい人が集まってますね!ところで、nicocoの由来ってあるんですか?

深澤)はい、あります笑

〈nicocoという言葉の由来〉
・笑顔のにこにこ
・和(にこ)やか、温和で柔軟。相手を大切に協力する。争わない。
・個々(ここ)一人一人の存在を尊重する。個々を大切に。

この3つが由来です!

事例③:行政連携 釜石市・田野畑村

深澤)釜石市でローカルベンチャーとして活動していたときは、釜石市とも連携していました。

・森のようちえんを年4回開催
・自然保育の研修会、保育士さんたちに話しをする
・既存の保育園で森の幼稚園の体験

画像4

深澤)釜石市と個人が一緒に事業を行っている点で注目を受け、釜石市から北へ1時間ほどの田野畑村から「是非うちの村でも自然保育をやりませんか」というお声をいただきました。

現在ではこの田野畑村でも自然保育の推進をしています。まだ始まったばかりですが、ここでも定期的に森の幼稚園のような「お散歩隊」というのを今やろうと計画していて、お母さんたちも徐々に集まってきてくれているので、これからまたこちらでも楽しんでいきたいです。

事例④:団体連携(連携のやりかたやイベント開催のやりがいについて)

画像5

深澤)わたしnicocoとしては一人で活動していますが、やっぱり一人ではやりきれないところがあるので地域の団体、子供の教育とか保育に携わる団体さんと一緒に連携して地域での活動を盛りあげたり自分の活動の幅を広げさせてもらったりしています。

戸塚)こういう団体と連携しながら一つのイベントをやるのはすごく釜石にいるとよく見かけるけれども、もしかしたら特徴的なことなのかもしれないですね。

深澤)それは結構こっちにきてからとかも思うし、違うところで言われたりもしますね。

戸塚)みんなで持ち寄ってきて、何かのイベントの時はそれぞれの団体さんがそれぞれの持ち場を持って強みを生かしてやっているという印象がありますね。

深澤)やっぱりその横の連携がしっかりしていると、地域での子育ての環境や教育の環境がどんどん強くなるだろうから、どんどん横のつながりを築いていきたいし、繋がっていった方が楽しい。わたしも一人でやるより何処かと一緒にやっている方がすごく楽しいので、どんどんいろんなところから声かけてもらえると嬉しいです。

深澤)人に任せることや、人にやってもらうことは苦手でしたが、できないところはお願いして、できることはやってあげるよということが徐々にできるようになって、一人じゃ全部はできないから得意なことを得意な人がやるって感じでいいんだなと思えてきています。

戸塚)素晴らしい。写真に戻りますが、とはいえ自分のそのnicocoの自主事業の方もすごい回数やっていませんか?

深澤)実はそうなんですよ。平日開催だったので、そんなに多くの方が参加するわけじゃないのですが、定期的にコンスタントに開催することで人が来たいときに来られる、行かなきゃいけないとかそういう義務的なものは嫌なので、ここ行ったら楽しいとかいきたいときに行けるみたいなそういう選択肢の一つになれたらいいなと思って開催していましたね。

戸塚)もう毎週くらいやっていた時期ありましたよね。たくさん来る時もあれば、数人でやる時もあればみたいな感じで、自然体で進めていたという感じでしたよね。

深澤)そうそう、なんかやっぱ大勢の時は大勢の楽しさがあるし、少人数の時は少人数のときの一対一の向き合い方みたなのができるし、それぞれでどっちも良さがあったのでわたしはもう1組でもなんでもやっていました。

平元)すごい毎週やるって大変ですね、定期的にやり続けることってすごく大変そうだけどすごく楽しそう。

深澤)大変かなと思う時期もありましたが、やってしまってその1日が終わると楽しかったとか、やってよかったと思えます。基本的にはわたしすごい子供好きだし、子供と触れ合っていると自分が癒されるというのがすごくあるので、お母さんたちと喋っていても元気もらえたり、いろんなことを教えてもらったりします。

戸塚)なるほど。ありがとうございます。では、次の内容をお願いします!

深澤)はい、そもそもわたしが自然保育をなんでやろうと思ったかというと、保育師を9年間やっていたときに感じていたことが、自分で判断して行動できないという子が結構いることです。

例えば「〇〇してもいいですか?」と、いちいち確認してくる子とか、「鼻かんでいいですか?」とか聞いてきて「いや、ダメって言ったらどうするの?」みたいなこともあります。あと、自分で遊びを見つけられない子とか、大人が関わってあげないと遊べない子が結構目につきました。

結構自然派な保育園にはいたんですが、どうしても行事とかがあるとやらなきゃいけないことが出てきて、そうすると子どもたちがその日「これやりたい!」みたいなことを言ってくれたときにも、それをやらせてあげられないっていう環境が出てきてしまいました。

そこで、子どもたちがこんなにやりたいって言っていることを素直にやらせてあげられないってモヤモヤするなと思いました。こっちもプログラムを子どもたちのためにと考えて遊びや製作をさせるのですが、それが終わったときに「先生もう遊んでいい?」っていうふうに子どもたちが言うんです。 

子どもたちを見ていて何が大切かって考えたときに、子どもの成長を考えて、こっちがプログラム組むというのも、もちろん大事かもしれないけど、それを嫌々やっている子がいて、それが遊びになっていないなら、自分のやりたいことを思いきりやった方が絶対その子たちにはいいだろうと思っていました。

事例⑤:自然保育の利点

画像6

深澤)そういうときに出会ったのが「自然保育」。

自然保育では、

自己肯定感が身につきます。この自己肯定感が、自分は何がやりたいとか、自分の選択したものを自分の責任でやっていくということから上がっていきます。
発想力。「やりたい」をどんどん突き詰めることによってどんどんアイデアが生まれてきて、発想力が身についていきます。
決定力。自分が選択して自分で決めてくことをできる力が身につきます。
生きる力。失敗にめげずに常に前向きに楽しんで進むということです。
体力向上。体力低下っていうのが今すごく言われていて、外で活動していると足腰も強くなります。
発達に特性のある子にも有効です。知的障がいまでいかないちょっとグレーっぽいA D H Dや発達障がい系の子たちも外で遊ぶとか、思いきり自分のやりたいことに打ち込むということができます。何かをみんなと一緒にやらなきゃいけないという環境がないから、その子の好きなことをやれるというのであんまり気にならなくなります。これらが子供にとってはすごいいい点です。

もちろん子どもだけじゃなくて大人とか社会にもすごくいい部分があって、子供の「やりたい」を見守るということをすることによって、保育士も自分のままでいられるという実感があります。子供たちの姿をもちろん危険とかはないようには見ていますが、そのままの姿を受け入れてそれをやらせてあげるのってすごく気持ちいいんですよね。

子供たちがワクワクしてる、そんなのを見て一緒にワクワクできるっていうのでわたしも楽しくてすごく自分らしくいられます。そうなると保育ストレスはどんどん軽くなっていくし、保育の意欲も向上するし、そういう保育がしたいという保育師さんが増えたら保育師の確保というところも充実すると思います。


あと、野外で活動することによって地域活性故郷への愛着心っていうものにも繋がります。最後に移住促進があるんですが、自然保育という子育てをしたい方が今の時代たくさんいるのでそういうふうな社会にもいい効果があります。今のようなコロナの状況下でも、自分で自分の人生を切り開いていく力が自然保育では身につけられると思っています。

戸塚)素晴らしいです、、、。

平元)大人になってから、学ぼうと思っても難しいのが、子供のうちに無意識の自然のままにこのようなことが学べるのは素晴らしいですよね!!

深澤)このような自然保育の良い点は科学的に証明もされているんですよね!

戸塚)そうなのですね!子供にとっても、大人にとってもとても良い環境なのだなと思いました。まだまだ聞きたいのですが、ここで一旦、自然保育を推進している深澤さんご自身がどのような人生を歩まれているのかということをお聞きしていきたいと思います。

ー後編では、深澤さんご自身の人生について探求していきます!

ーーーーー

▽隔週月曜配信! ”釜石で〇〇する人たちの多様な生き方”はコチラから!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?