舞台を観劇する感覚を堪能できる漫画『マチネとソワレ』|漫画オススメまとめ#130
好きな漫画を勝手にレビューしている
「漫画オススメまとめ」
今回、紹介するのは『マチネとソワレ』です。
この漫画は僕とってクリーンヒットでした。
演劇×パラレルワールドの絶妙なマッチ
『マチネとソワレ』には、漫画の好きな要素がぎっしりと詰まっています。
演劇そのものの魅力を存分に引き出しつつ、非現実的なパラレルワールドの要素を見事に絡めていると思いました。
ここからは、設定やコマを紹介しながら、本作の面白さを共有したいと思います。
作品紹介
兄の2号と呼ばれる主人公
はじめに、根底にある設定を紹介します。
三ツ谷兄弟についてです。
主人公の三ツ谷誠は、偶然乗った水玉のタクシーで、パラレルワールドに到着します。
すると、元の世界では逝去した兄の御幸が、生きていました。
そのため、御幸に芝居で勝てなかったことを気に病んでいた誠は、この世界で「兄貴に勝ちたい」と宣言します。
芝居の勝負か、元の幸せか
しかし、15巻では違った表情を見せています。
それが「元の世界に戻れるかもしれない」となるシーンです。
「今ここで戻ったらどうなるんだろう?」
「でも、みんなの期待を裏切ることになるのではないか」
と、誠は悩みます。
この葛藤から決断に至るまでは、非常にリアルで、とても良いと感じました。
このように本作は、演劇とパラレルワールドの要素が絶妙にマッチし、本当に面白い作品に仕上がっていると思います。
芝居の迫力が息づく物語
俳優と声優の違い『魔王 JUVENILE REMIX』
つづいて、印象的な演技の話を紹介します。
誠が声優にチャレンジするシーンです。
ここでは作者の過去作、『魔王 JUVENILE REMIX』が登場します。
正直、僕は過去作をPRするような手法が、あまり好きではありません。
IPの関係でそうなることは理解できますが、やはり少し違和感を感じてしまいます。
しかし、本作は違いました。
声優と俳優の対比から、演技の本質に迫る展開がとても秀逸です。
気づけば「面白いな」と思っていました。
大須賀めぐみさんの作品が好きな方は、『マチネとソワレ』も読んでみるべきだと思います。
役作りのために一万円札を便所紙にする狂気
ここで、なぜ本作に引き込まれるのかを、少し考えてみたいと思います。
思い返すと『マチネとソワレ』が話題になり始めたとき、まず目にしたのはXでした。
ポストの内容は、一万円万札でお尻を拭くというキャッチーなシーンです。
このシーンがSNSで広まり、多くの人が「なんだこの漫画は?」と興味を持った人も多いのではないでしょうか。
ただ、この作品の本質は、そうしたキャッチーさだけではありません。
『マチネとソワレ』はまるで、漫画のなかで毎回、一つの舞台を鑑賞しているような感覚を味わえる作品だと思います。
愛情の解釈が揺さぶられる「孤島の鬼」
最後に、本作の忘れられない芝居を二つ紹介します。
一つは、「孤島の鬼」です。
この芝居の山場では、男性二人が洞窟から脱出できない状況に追い込まれ、抑えていた感情が爆発します。
しかし、その感情が本当に愛情なのか、
あるいは別の何かなのかは、
演じる人によって、解釈が全く異なりました。
この多様な解釈を、漫画のなかでわかりやすく描いているところが、素晴らしいと感じます。
2.5次元舞台の地雷キャラ「エドアルド」
もう一つは、「クラス・ブルーオーシャン」のエドアルド役です。
ここでは、キャラクター最優先の2.5次元舞台で、公式設定のない役を演じる難しさが描かれています。
その演技への取り組み方は、非常に面白いです。
演技プランが明らかになるにつれて、公演を楽しむ観客のように、何度もハッとしました。
正直、僕の表現力では充分に伝えきれないかもしれませんが、それでも作品全体のなかで特に印象的な部分です。
この話自体が、本当に好きだなと感じます。
まとめ
『マチネとソワレ』は、ここ最近読んだ漫画のなかで、一番クリーンヒットした作品です。
素直に「これは良い漫画だな」と感じます。演劇やパラレルワールドものが好きな方には、特におすすめです。
読めば読むほど引き込まれる作品なので、ぜひ手に取ってみてください!
(ヘッダー画像引用元:ゲッサン編集部 @gessanofficial)
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