【マンガ感想】『渡り鳥とカタツムリ』(著・高津マコト)
一人で気ままな旅に出たい、という衝動が湧くことがあります。
知らない土地の景色、その土地の旨いモノ、思い付きの楽しい寄り道・・・
とはいえ、個人的事情や昨今の社会的事情もあり、なかなか思うようにはいかないもの。
代償行動として、旅行番組や街ブラ番組を観たり、旅行系のマンガを読むことで欲求を満たしたり。
車中泊での旅を描いた本作『渡り鳥とカタツムリ』は、そんな旅行欲を満たしてくれる作品の一つです。
ミスがきっかけで仕事に疲れ果て、”働く”ということの意味も分からなくなって「誰も電話してこない、どこか遠い所へ行きたい・・・」と思い悩む主人公・望月雲平。
そんな中、とある切っ掛けで車中泊の旅をしている正体不明で年齢不詳の絵本作家・渚つぐみと出会う。
彼女の旅に魅かれた雲平は、休職して渚つぐみの車中泊旅行に同行することに。
やがて彼女との賑やかな旅路の中で、今まで自分の知らなかった世界に触れていき・・・
というお話。
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(引用:『渡り鳥とカタツムリ』 1巻 / ワニブックス / 高津マコト / p.23)
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何も知らない初心者の雲平が、車中泊旅行のアレコレについて旅の師匠・渚つぐみからいろいろと教授されつつ、旅の楽しさに目覚めていく。
自由気ままな旅、各地の道の駅や名所を巡る楽しさ、地元食材で作る料理。
車内環境の整え方、100均やホームセンターの材料で必要なものをDIYする方法、車中泊旅行のノウハウや注意点・・・
そんな雲平の視点を通して、車中泊旅行の醍醐味や楽しさを味わうことができます。
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(引用:『渡り鳥とカタツムリ』 1巻 / ワニブックス / 高津マコト / p.119)
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旅行欲を燻ぶらせている身としては、まさに「こんな感じの旅がしたいな~」という感じ。
車中泊で各地を巡る旅、というものへの憧れを存分に刺激されます。
ちなみに2巻では、つぐみさんが旅行先からリモートで絵本作家としての仕事をするワーケーションの風景も描写されます。
確かに車中泊旅行とワーケーションという組み合わせは、親和性が高い。
ワーケーションを描くマンガ、という読み方も出来ますね。
作中、旅での出会いと経験を通じて、主人公の雲平は人生や”働く”ということの意味を考えていくことになります。
旅は人の視野を広げてくれるもの。
旅のそのような側面について車中泊旅行を通じて描いているのも、なかなか面白い所ではないでしょうか。
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(引用:『渡り鳥とカタツムリ』 1巻 / ワニブックス / 高津マコト / p.92)
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かなり個人的な見解ですが、旅行モノやグルメモノは落ち着いていてちょっと淡々としているぐらいの雰囲気が好みなので、終始登場人物が賑やかでテンション高めな点について、気になるところではありました。
とはいえ、これはあくまで個人の趣味嗜好の話。
総じて、「旅って良いよね!」と思える一作でした。
車中泊旅行で日本各地や道の駅を巡ってみたい、というような欲求のある方であれば、いろいろと心に刺さるものがあるはずです。
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