カルン・映像作家、フォトグラファー

香港生まれ、5年のポーランド生活を経て、 現在は東京を拠点に映像作家、フォトグラファー…

カルン・映像作家、フォトグラファー

香港生まれ、5年のポーランド生活を経て、 現在は東京を拠点に映像作家、フォトグラファーとして活動中。 www.kalun.jp

最近の記事

「メイド・イン・ジャパン」まだ意味がある?

日本に引っ越してから一番驚いたのは、他のアジア諸国と比べて、日本人は外国人ほど「Made in Japan」に特に魅了されていないということです。 業界の秘密かもしれませんが、「洋服作り」に関しては、日本のメーカーでも「縫製」と言えば中国の方がいいとよく言われます。その主な理由は日本の「生産量」がかなり少なくて、マシンをそれほど頻繁にアップグレードしないようにするためです。 黄金期の90年代に日本文化とともに育った私のような人として。個人的にはMade in Japanの

    • タクシー運転手の知恵 ー クリエーターとして顧客奉仕するかしないか?

      香港に住んでいるときは、タクシーをたくさん利用しました。それは贅沢なものではなく、親密な体験です。 私が一番楽しかったのは、タクシーの運転手が車の中どんな音楽 / ラジオを聞いていることです。私はそれをサービスの一部として見ています。 非常に古いスタイルのカントンポップをかけるタクシー運転手もいれば、ラジオ番組を聴く人もいます。クラシックジャズををかける運転手に出会うこともあります。まるで、タクシー運転手がDJであり、タクシーが彼らのプライベートな小さなラウンジであるかの

      • 働けば自由になれる

        最近、アイスランドでの週4日勤務の実験についての記事を読みました。日本人とは考え方が違うのでとても面白いと思います。 欧米と東アジアの労働文化を定義する主な違いの1つは、儒教から来る考え方です。儒教では、人々は「美徳」の概念によって自己規律を持っています。 しかし、多くの企業は、これを「美徳」という考えを利用して、過酷な作業環境でスタッフを搾取しています。 ある映像制作会社に面接に行ったことがあります。私は最後に内定承諾を辞退しましたが、その会社の非常に興味深い考え方に

        • 商品と作品の違いについて語るときに僕の語ること

          自慢じゃないけど、自分がカメラマンとは考えず、アーティストだと思ってます。たくさんのビジュアルを扱うアーティストだとね。 29歳のときに大学院に通うためにポーランドに引っ越したときのシナリオを今でも覚えています。教授との最初のミーティングで、全員が以前の作品について話すように求められました。 その時私は香港で7年以上フリーランスのフォトグラファーとして働いていますが、これまでアーティストではありませんでした。 「視覚的表現」には自信がありましたが、「作品」の発表後は恥ず

        「メイド・イン・ジャパン」まだ意味がある?

          リモートワークはどれくらい離れていることができますか?グローバルにクリエーターとして働くこと

          コロナウイルスの影響で、クライアントが自分のオフィスに座ってプロセスを確認し、ズームでコメントするだけのリモート撮影が世界中で行われることがますます一般的になっています。 最近、6つの異なる都市で働く人々と一緒に撮影した案件があります。 これは、アメリカの材料科学メーカー会社エイブリィ・デニソンによるADXラボの開設するプロモーションビデオであり、オーダーメイドのラボ体験、セミナー、プラントツアーを提供し、持続可能な生産技術、材料、デザインを見せる場所っていう紹介ビデオに

          リモートワークはどれくらい離れていることができますか?グローバルにクリエーターとして働くこと

          コントロールが多ければ多いほど良いですか? 広告写真についての内省。

          美学の観点からのクライアントの好みに関しては、国によってかなり異なります。 私はさまざまな国でさまざまなクライアントと一緒に写真を撮ってきました。 私自身の経験から言えば、アジアのクライアントにとって、良い撮影とは、すでに予見されていたルックをコントロールし、再現できることを意味しますが、欧米のクライアントは即興を受け入れます。 10年ほど前、まだ香港で働いていた時のことを覚えています。かつて、神戸で日本の有名なスキンケアブランドが韓国の女優を撮影している動画のディレク

          コントロールが多ければ多いほど良いですか? 広告写真についての内省。

          地元のターゲットオーディエンスに合うように外国企業のコンテンツをローカライズする

          今年の4月に銀座ソニーパークで開催されたイベントGinza Football Marketのプロモーションティーザー映像を制作しました。 アメリカのエイブリィ・デニソンと年2回発行の日本の独立系フットボールカルチャーマガジン"SHUKYU"のコラボレーションでした。 私がこの映像の制作を依頼されたクライアントのエイブリィ・デニソンは、世界の60以上の国々に30,000人以上の従業員を要している粘着材料やラベル製品の大手企業ですが、今回コラボしたSHUKYUマガジンはスポー

          地元のターゲットオーディエンスに合うように外国企業のコンテンツをローカライズする

          説明するかしないか、それが問題だ — 香港と日本のコラボ

          香港の人々は日本の商品が大好きです。 私は香港に住んでいる間、写真や動画の撮影のために日本との間を何度も行き来してきました。 日本の商品を香港に紹介することを目指して広告を出しているのですが、言語の壁と2か所の作業ペースの違いのため、コミュニケーションは常にスムーズではありませんでした。 日本に引っ越してきたので、香港のクライアントのために日本でプロジェクトをするときは、私の目標は、準備により多くの時間をかけることによってコミュニケーションプロセスを改善したいと思います。

          説明するかしないか、それが問題だ — 香港と日本のコラボ

          香港での「裏日本」文化

          香港人は日本が好きなので、広告は日本の広告よりも日本っぽいに見えることがよくあります。 最も有名なのは、森山大道、荒木経惟、植田正治などの日本の有名な写真家に似た広告の外観を再現しようとする香港富士フイルムTVCMの浪攝流シリーズです。 さらに、日本のCMではあまり見られない川端康成を引用します。 (上記のCMには、議論の余地のあるライセンスと著作権の問題があると言われていましたが、一旦その話は置いておきましょう。) 通常、商品を積極的に紹介することが日本での広告の目

          After-note in filming “Atelier”, a music video by Kenji Kariu

          After-note in filming “Atelier”, a music video by Kenji Kariu The French novelist and filmmaker Georges Perec wrote in 1973, “The daily papers talk of everything except the daily.” The idea behind making this music video started with my i

          After-note in filming “Atelier”, a music video by Kenji Kariu

          ハンコがその正当性を失ったとき —— 遊牧民クリエーターの「資本」と「交換価値」

          5年ほど前に日本に引っ越すつもりでした。結局はうまくいきませんでしたが、日本に引っ越そうとしたみんなのようにいろいろなことが準備しました。

 そのうちの一つは、昭和10年から始めて手彫り仕上げハンコ屋さんでハンコを作りました。 
生涯4年半滞在したポーランドに帰国したとき、荷物の受け取りや契約書の締結など、できる限りこのハンコを使うつもりでした。そして、みんなご想像のとおり、ハンコがどんなに美しくても、安いペンをくれて、「ここにサインしてください」と聞かれました。 


          ハンコがその正当性を失ったとき —— 遊牧民クリエーターの「資本」と「交換価値」