森づくりと収穫
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森づくりと収穫

からすの山猫

近自然森づくりというものがある。

『それは何?』と聞かれても『近自然森づくりというものはこういうものでこういうことです。』と答えた瞬間に違うものになってしまうような不思議なものです。もしかしたら私の先生ならばちゃんと答えられるかもしれませんが私にはまだ説明は無理なので書きません。

でも、これはもしかしたらそれに沿った仕事の内容かも?と思ったことが昨日あったのでここに書いておきます。

今回の表紙にも使いましたこの写真。

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樹高14〜5mはありそうなカナクギノキ。
大きくて沢山の枝葉を拡げて美しい。

このエリアにはこのクラスの大木が所々に生えています。

残念ながら大き過ぎて私の欲しい枝の集材は出来ません。

それでもこの樹が高いところから沢山の種を落としたり鳥に食べさせてくれるので狭いエリアに幼樹が群生してくれています。この樹がここに生えていてくれているので精油屋の私は、あちらこちらを車でぐるぐると回って集材する必要がなく1〜2箇所を車で回って後は徒歩で収穫できる楽チンでとても有難い集材場所となっているのです。

野生種の精油を作る蒸留所にはここがとても重要なポイントとなります。

畑で収穫する場合はその場所に行けば集材は一箇所で済みます。
しかし、野生の植物を扱う場合は点在する植物が生えているところを探し巡りながら収穫をするためにかなりの広い範囲を移動して回るか群生地を探すかになります。正直、大変さはどちらが大きいのかはわかりません。

プランテーションを作れば集材は楽かもしれませんが一度病気や私の必要な植物で育つ狭食性の害虫が入ればその年は駆除を手仕事でするか農薬などをはじめとする薬剤散布が必要になります。そして、それらの作業をするために通年に渡って人員の確保をしなければならなくなる。1年間、なんだかんだと毎日植物の面倒を見なければならない。そして何よりも他の樹や草をそのエリアから撲滅して使用したい植物のみで単純化する。これが農業でプランテーションです。有機無農薬でも自然農法でも同じです。世間一般でいう食べ物でもない”ナチュラルなもの”を作るために生態系を破壊する矛盾が生じます。自然とはまるでかけ離れてしまいます。
更には私は出張も多く腰痛持ちなので農業は出来ませんし、何よりも孫の顔を見に行けないのは嫌です。笑
なので、私の居るお山の中を好んで生えている植物をうちの蒸留所のメインにしました。精油の種類を選んだのではなく自分が住む森を先に選んだ結果、飫肥杉とカナクギノキになったのです。

そんなこんなで昨日は私の作る2精油の精油の材料を収穫に行きました。

もう11月ですのでこの暖かい宮崎でもそろそろ秋の気配。
日に日に広葉樹の葉は落ち始めています。なので、暴風雨が来ない限りは多分今週、遅くても来週には今年はカナクギノキの収穫は終わりになるでしょう。

最近やっと1人でジムニーに乗って山を回ることを許されたので職人さんたちが間伐をいれている横を通ってそれよりも少し高いところに行ってきました。
やはり上の方から収穫をしないと温度が低いところの方が落葉も黄葉も早いので収穫は”上から””寒いところから”が基本です。

収穫をしつつ観察もします。
カナクギノキが生えていそうなところにある植物もチェックしたり、その他自分の趣味の草花やお花やシダなども観察をしたり一輪もらってきたり、時には夕食のために少し頂いたりもします。(これらは申告はしません。こっそりです。笑)

そして、枝葉を取りながらカナクギノキにストレスをかけている周りの樹や(樹と言っても私がナタで伐れるくらいの太さのものだけ)蔦などを取り除いてやります。

森の手入れに関しては今まで植物王子(植物樹種にやたらと詳しい若い木こりさん)に頼っていたために自分で判断を下すことはありませんでした。そして、自分の作業のために木こりさんを拘束して作業の時間を取るのは嫌でしたので思ったことをしませんでした。ですが、今はひとりで色々と樹と相談しながら山を歩きます。(言葉にならない会話で山の中でひとりで喋っている訳じゃありません)
幸いなことに九州には熊がいないので気持ちがとても楽で、しかも恐ろしい吸血の虫の居ない秋の森。ただただ気持ちが良く運転は少し怖いですが山の作業は私にとって至福のひとときです。そうこうしながらゆっくりと森を散策&集材していきます。

その時、カナクギノキにおいては幼樹はあまり生えていなくて大木ばかりあるエリアで少し不思議な樹形になっている1本を見つけました。
枝葉は間違いなくカナクギノキでしたが樹形がおかしい。
何だろうと思って見てみると何本もの極太の蔦が絡まっていました。

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親指ほどの太さから私の脹脛くらいある太く頑丈なツタです。

それが二本も三本もねじり重なりこのカナクギノキにストレスを与えていました。
ツタの葉はもう落ちていたので見えませんでしたが夏場はきっと沢山の葉を広げて日光を遮っていたでしょう。
これはカナクギノキにとってあまりよろしくないことですので、頑張ってナタでこのツタを伐ることにしました。
ふわふわの土の斜面をそろりそろりと下がって根元まで行くと何だかわからないほどすごいことになってました。それらを頑張って伐り、元来た斜面をよじ登り道に戻りました。

下層に生えている幼樹や中層の樹から枝葉の収穫をし、そのつついでに親木らしき大木の世話を少しだけする。

これは多分近自然森づくりの中で学んだことの一つ。

森の手入れが収穫になる
それってこういうことかも...!

ちょっと嬉しかった。

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黄葉が始まっているカナクギノキの大きな葉。一枚は大体12〜3cmほど。

成長点は落とさないので来年もまたモッシャモシャに生えて下さい。
と、一本一本の木からは少しづつ収穫をする。他の樹種とともに生えていたとしても比較的沢山のカナクギノキが自然に生えていれば丸ごと伐らずとも十分集材できる。

なんとなく私なりの森との付き合い方が見えて来た。
そんな気がしている。

私の自然に近い状態で人として生きて行く方法。

近自然もりづくり。

いいなぁ。

楽だし。笑

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大吉です!
からすの山猫
'93-'09年 音楽イベント企画制作。 '09年-'10年ヒマラヤ在住。 '11年ナチュラルプロダクツの会社起業。 ’18年森林組合にて広葉樹を使ったプロダクト製作を請け負った経験から日本の林業に深く興味を惹かれる。 現在はaromatopiaに日本の森づくりについて連載中。