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読書の記録 愚かな薔薇

 恩田陸さんの『愚かな薔薇』を読みました。吸血鬼のお話ということで、どんなストーリーなのかワクワクでした。

 吸血鬼と聞いて真っ先に思い浮かべるお話は、映画『インタビューウィズヴァンパイア』です。トム・クルーズとブラッド・ピットの美しさと、ヴァンパイアとして生きることへの葛藤とがよく描かれていて、好きな作品のひとつです。

 この他にもトワイライトシリーズなど、吸血鬼は古くから使われてきた古典的なテーマで、吸血鬼と聞いてどんなものか知らないという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

 だからこそ、恩田陸さんの手にかかった時にどうなるのか、それこそ吸血鬼に襲われるパニックホラーはイメージにもありませんでした。

 でも、ありきたりな物語だったらどうしようなんて、失礼な心配でした。恩田ワールド全開なヴァンパイアストーリーです。

 磐座という集落で行われるキャンプに参加する主人公、美影奈智。キャンプは何のために、そして参加者はどう変化するのか、とても気になってあっという間に読んでしまいました。

 恩田さんの作品にかかせない、苦悩する綺麗な女の子が主人公です。自分の変化に苦悩しますが、受け入れることで未来のために決意して成長していきます。成長とは言っても、普通とはまったく違いますが・・・。

 日本の祭りが開催されていて、私は阿波踊りとか盛岡さんさ踊りなどを想像して、なんだか光景が目に浮かぶようでした。

 そして茶室や茶釜をそんな風に使うとは、なかなか斬新な活用方法ですね。キャンプの目的は、フィクションだとしてもなるほど思わせられましたが、ストーリー展開については驚きでした。

 将来、もしもそんなことが必要だったら自分はどうするだろうと考えさせられます。SFの宇宙旅行と吸血鬼とが一緒になったこの物語、恩田さん発想力が素晴らしいとしか言えないです。

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