【えっ!選挙に出るのに必要な供託金は日本が世界一高いの?!】「貧乏人は選挙に出るな!」世界で廃止されている供託金制度!~まさか、アメリカによる日本政治支配の一環?~
【えっ!選挙に出るのに必要な供託金は日本が世界一高いの?!】「貧乏人は選挙に出るな!」世界で廃止されている供託金制度!~まさか、アメリカによる日本政治支配の一環?~
■4分の1が無投票当選、1人区で目立つ自民候補 41道府県議選告示
朝日新聞 2023年3月31日
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統一地方選の41道府県議選と17政令指定市議選が3月31日、告示された。
道府県議選では、全体の4割弱に上る348選挙区で定数を超える候補者がなく、4人に1人にあたる565人が投票を経ずに当選を決めた。
無投票だった選挙区と当選者の割合はいずれも過去2番目の高さだった。
道府県議選は岩手、宮城、福島、茨城、東京、沖縄の6都県以外で行われ、定数計2260に3139人が立候補を届け出た。
このうち、立候補の届け出数が定数を上回らず、無投票で当選が決まったのは全体の25・0%。選挙区でみると全体の37・1%に上った。
統一選時の都道府県議選でみると、いずれも記録が残る1955年以降で過去最高だった前回4年前に次ぐ高さで、依然として多くの有権者が投票する権利を逸していることになる。
一方、立候補を届け出たうちの女性の割合は15・6%(489人)で、前回の12・7%を上回り過去最高となった。
ただ、依然として候補者6人に1人を下回る低水準が続いている。
指定市議選は仙台、静岡、北九州をのぞく17市で行われ、定数計1005に1467人が立候補した。
道府県議選と指定市議選は、3月23日に告示された9道府県知事選、同26日告示の6政令指定市長選とともに4月9日に投開票される。
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4分の1が無投票当選、1人区で目立つ自民候補 41道府県議選告示
朝日新聞 2023年3月31日
■相次ぐ無投票当選 有権者「健全ではない」不満の声も 統一地方選
毎日新聞 2023/3/31
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・「民主主義の機能不全」
地方選挙で無投票当選が相次ぐ事態をどう受け止めればよいのか。
大川千寿(ちひろ)・神奈川大教授(政治学)は「今の日本の民主主義の機能不全を端的に表している」と述べ、危機感をあらわにする。
無投票当選が決まると、有権者は政策論戦に触れる機会を失う。
その弊害について、大川教授は「立候補者に対する有権者による民主的なチェックが働かなくなる。一方で議員は選挙を通して有権者の声を拾い上げることができない」と説明する。
「その結果、政治と有権者がますます離れてしまう」
「競争は地域の活力の表れでもある。無投票が地方の元気をなくし、それが無競争を生む悪循環に陥っている」とも指摘する。
無投票の背景には地方議員の「なり手不足」の問題がある。
総務省によると2022年末現在、現職の議員で都道府県は9割近く、市区は8割超を男性が占める。
議会の構成が地域社会の「縮図」とは言い難い状況だ。
打開策として、議会のオンライン化やハラスメント対策の促進、報酬増のほか、現職有利になりがちな「1人区」の解消など区割りの見直しを提起する声が研究者らから出ている。
大川教授は、必要に応じて制度を見直すべきだと考えている。
その上で、「住民の政治に対する意識を喚起していくことが重要だ。
議会や議員は情報発信し、地方議会の存在価値を示さなくてはいけない。
住民は地方自治には地域の未来がかかっており、最終的な責任を持つのは私たちだと再認識すべきだ」と強調する。
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相次ぐ無投票当選 有権者「健全ではない」不満の声も 統一地方選
毎日新聞 2023/3/31
■立候補の際にお金を払う必要があるの?
産経新聞 2023/3/28
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第20回統一地方選がスタートした。
人口減少や経済、教育など課題は多岐にわたるが、そもそもなぜ選挙は大切なのか。
世代の離れたキャラクター「昭男」と「令美」の「今さら聞けない」疑問に答える。
選挙に立候補する際、一定額の現金や国債を「供託」として納めなければならない。
当選を争う意思のない人による売名などを目的とした出馬や、候補者乱立を防ぐといった狙いがある。
一定の得票数を満たせば返還されるが、届かなければ没収される。立候補の届け出後に辞退した場合も同様だ。
その額は選挙によって異なる。
総務省によると、都道府県知事選であれば300万円。得票数が有効投票総数の10分の1未満だった場合は没収されてしまう。
ほかには、都道府県議選の供託金が60万円、町村長選は50万円。国政選挙では額が跳ね上がり、衆議院の小選挙区は300万円、比例代表の重複立候補者でない場合は1人につき600万円。
参議院比例代表も1人につき600万円を納めなければならない。
これまで、当選者が圧倒的な票差で当選した際、落選候補全員の供託金が没収されたケースもあった。
また、供託金の額が高額であることから「最初から政治への門戸が閉ざされている」「金持ちしか立候補できない」といった批判もある。
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立候補の際にお金を払う必要があるの?
産経新聞 2023/3/28
■タダではできない立候補 日本の供託金は最高額 「自由制約」の声も
毎日新聞 2021/10/27
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日本では、タダでは立候補できない。
立候補前に供託金を納める必要があるからだ。
一定の得票数に達しなければ、没収されてしまう。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で供託金制度を設けている国は少数派。
しかも、日本は最高額で「憲法で保障された立候補の自由を制約している」との批判もある。【道下寛子/デジタル報道センター】
衆院選の供託金は小選挙区300万円、比例代表は600万円。
重複立候補の場合は比例代表分の300万円が減額されるが、計600万円が必要だ。
小選挙区では有効投票総数の10分の1に達しなければ供託金は没収され、国の収入になる。
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タダではできない立候補 日本の供託金は最高額 「自由制約」の声も
毎日新聞 2021/10/27
■衆院選 高い供託金、新人に壁
中日新聞 2021年10月24日
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衆院選小選挙区で立候補するのに三百万円が必要と知っていますか?
比例代表に出るなら二倍の六百万円。
供託金と呼ばれる制度で、有効票の十分の一以上の得票がないと没収される。
落選すれば無職となり、借金を抱えるリスクもある。
立候補を考える新人にとってはギャンブルと言えそうだ。 (谷口武)
供託金は選挙によって金額が異なり、六百万円から十五万円まである。
必要なかった町村議選でも昨年六月、公職選挙法の改正で導入された。
総務省によると、二〇一七年にあった前回衆院選の小選挙区では、百七十四人から計約五億二千万円が没収された。
一九二五(大正十四)年、満二十五歳以上の男子による普通選挙の法律が制定された際、供託金制度もできた。
売名目的の候補乱立や選挙妨害の立候補を防ぐ目的とされ、資産を持たない労働者階級や、共産主義勢力の政界進出を防ぐ狙いがあったとの指摘もある。
もっとも、世界的には少数派の制度とみられる。
「供託金は違憲」との訴訟をした弁護団は二〇一七年、経済協力開発機構(OECD)加盟国の供託金の有無を調査した。
三十五カ国のうち、供託金があったのは日本を含め十三カ国。
大半の国で十万円以下で、日本の高額さは際立っていた。
カナダはその後、司法の違憲判決を受けて供託金制度を廃止した。
違憲との訴えは一審、控訴審ともに棄却された。
一審判決では、立候補資格そのものは制限していないとして供託金は合憲と結論づけ、国会での議論事項だと指摘した。
弁護団長を務めた宇都宮健児弁護士は東京都知事選に三度立候補し、供託金制度のおかしさに気付いた。
「政治が、一部の特別な人たちによる家業になってしまった原因だ」。
世襲議員が多い一因ともみる。
孫の教育費を供託金に充てて出馬したこともある静岡市清水区の発明家、山口賢三さん(73)は過去に三度、計四百三十万円を没収された。
「供託金が壁となり、地域や国を良くしたいという純粋な気持ちを持つ人ほど、政治から足が遠のくのでは」と話す。
若者の声を政治に反映させる活動を続ける「日本若者協議会」(東京)は、供託金の引き下げや撤廃を求め、国会議員への働き掛けを続けている。
代表理事の室橋祐貴さん(32)は「貯蓄も多くない若者にとって、立候補は転職よりリスクがある」と指摘した。
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衆院選 高い供託金、新人に壁
中日新聞 2021年10月24日
■ここがヘン、日本のガラパゴス選挙「名前の連呼」「世界一高い供託金」のナゾ
週刊女性 2019年7月16日号
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選挙期間になると、そこかしこで走り回る選挙カー。
政策や理念をアピールするわけでもなく、投票用紙に名前だけ書けばいいんだと言わんばかりに、候補者の名前だけを連呼する。
聞かされるこちらは正直イライラ、投票する気も萎えてしまう。
だが、日本の選挙のルールを定める公職選挙法を見て、びっくり。
なんと、選挙運動で使用する自動車において基本的に選挙運動は禁止で、例外として許されているのが「連呼行為」と、停止した車上での演説だという。
逆にいえば、走行中の選挙カーでは名前の連呼以外の選挙運動はできない、ということなのだ。
妙な決まりはまだある。
候補者の名前と顔を記した「のぼり旗」を街頭演説のときに地面に立てるのはダメだが、車の上なら可。
有権者が候補者を応援する場合、メールで投票を呼びかけるのはNGだがSNSはOKなど、謎な制約が多すぎる。
不可解な規制が有権者の候補者選びを困難にさせているのは確かだ。
・世界一高額な日本の供託金
なかでも特に問題視されているのは、世界と比べてもずば抜けて高額な選挙供託金の存在だ。
過去2度の都知事選出馬経験がある、弁護士の宇都宮健児氏はこう言う。
「選挙に出ようと思ったら、都知事など首長選挙や衆参選挙区なら300万円、比例区なら600万円という高額の供託金を納めなければならず、かつ有効投票数の10分の1など一定の得票がなければ、没収されてしまいます。非正規労働者など貧困に苦しんでいる人が政治家になって、そんな社会を変えたいと思っても、立候補すらできない。それではいつまでも当事者の声は政治に届かないでしょう」
総務省の労働力調査('18年)によれば、年収300万円以下の人が労働者全体の約50%、女性に限れば72%を占める。
これでは立候補の自由を行使することは実質不可能に近い。
結果、いまの日本では大政党に属した候補や、世襲議員など、環境的にも経済的にもあらかじめ恵まれた人間ばかりが議員になっている。
もともとの供託金制度の目的は、「当選の可能性が極めて低い“泡沫”候補や、選挙を利用した売名行為を防ぐため」にあると言われてきた。
しかし、この主張は、選挙供託金制度が導入された1925年の普通選挙法導入時に規定されたもの。
それまであった納税額による制限がなくされ、満25歳以上の男子に選挙権が与えられたことで、有権者の割合が増え、労働者運動をはじめとする無産政党、無産者の議会への立候補を制限することが当時の目的だった。
・民主主義らしからぬ金銭面での制約
ちなみに普通選挙法公布の直前に抱き合わせのように公布されたのは、悪名高い治安維持法だ。労働者運動や社会主義運動への弾圧がその後、一層強まったことは歴史が示すとおりだ。
「戦前の制度の“当時の目的”がいまも根拠にされていること自体、時代錯誤ですし、思想はどうあれ、候補者を判断するのは有権者です。ふさわしくない候補者は選挙で排除されるべきで、一定の金額を納付できるかどうかで候補者を制御するのは民主主義ではない。むしろ、真に当選を争う意志のある人たちの立候補の機会が奪われていることこそを問題にすべきです」(宇都宮氏)
'16年、宇都宮氏を弁護団長とする供託金違憲訴訟弁護団は、高額な供託金制度を違憲とする裁判を東京地裁に起こした。
原告は、'14年の衆院選出馬を決意し準備を進めたにもかかわらず、供託金が準備できず立候補が認められなかった、埼玉県の自営業の男性だ。
お金がない人が立候補できない現状は、国民の立候補の自由を保障する憲法15条(1項)、また《議員や選挙に出る人間を財産又は収入によって差別してはならない》とする憲法44条(但書)に反していると主張する。
裁判にあたり弁護団は海外の供託金制度について調査。OECDに加盟する35か国(調査当時/現在は36か国)のうち供託金制度があるのは日本を含む12か国。
その内容を比べてみても日本の供託金は格段に高額だ。
〈OECD加盟国の供託金比較〉 ●日本 300万円 ●韓国 145・5万円 ●トルコ 32・1万円 ●オーストラリア 16・6万円 ●チェコ 8・8万円 ●ニュージーランド 7・7万円 ●イギリス 6・9万円
また、カナダでは'17年に地方裁判所が供託金制度を違憲と判断、その判決を受けて政府が供託金制度を廃止しているし、韓国やアイルランドでも違憲判決を受けて金額の引き下げや没収要件が緩和されている。
しかし今年5月24日、東京地裁は原告の訴えを棄却。判決の主文では、高額な供託金を「立候補をしようとする者に対して無視できない萎縮効果をもたらすもの」で「立候補の自由に対する事実上の制約になっている」と認めているにもかかわらず、選挙制度については「国会に裁量権がある」ので判断を避けるという煮え切らない判決だった。
宇都宮氏はこれを、三権分立における司法の役割を放棄した国会への「忖度判決」だと批判。
弁護団は5月31日に東京高裁に控訴している。
・1票にとてつもない重みがある
無頼系独立候補、いわゆる「泡沫候補」の取材を通して、日本の選挙制度の問題を訴え続けているフリーランスライターの畠山理仁さんも、有権者の多様な意見を反映できない現在の選挙制度には多くの問題があると指摘する。
「議会制民主主義(間接民主主義)の日本では、有権者は選挙で自分たちの意見を反映してくれる候補を選んで国政を委託する形になります。しかし実際に選ぼうと思っても、候補者の選択肢は非常に限られているのが現状です。例えば有権者の多くは会社など、なんらかの組織に属して働いている人ですが、彼らが議員に立候補しようと思うと高い供託金を払うだけではなく、休職や退職をしなくてはならないため、リスクはとても高くなる。結果的に、選挙に出てくるのは、代々政治家をやっている二世三世候補や、会社を退職した人、弁護士などの自営業者や資金が潤沢にある企業の経営者などに限られてしまいます」
有権者にとって身近に感じられる候補がいなければ当然、投票率も低くなる。
多くの人が、自分の1票の価値を低く見積もりすぎていることも、投票率の低さの原因だと畠山さんは言う。
「現在、日本の選挙の投票率は、国政選挙でも50%程度、地方選だと30%を割ることもあります。実は投票に行かない人たちがいちばんの多数派なのです。例えば“泡沫”扱いをされていた『NHKから国民を守る党』は4月の統一地方選で地方議員の数を39人に増やしました(現在は31人)。NHK批判というわかりやすい主張だけに絞ったことで、これまで選挙に行かなかった層を掘り起こした」
選挙に行かない層の多くは、自分たちが1票や2票入れたところで勝てるわけはないと考えがちだ。
だが実際には、そういった層にこそ、政治を大きく逆転させる力がある。
与党が最も恐れるのは、その層が自分たちの力に気づくことなのだ。
「無収入の人も年収1億円の人も同じ“1票”を持っている。そんなすごい権利を簡単に捨てて他人に白紙委任するのは、あまりにもったいない。最初から勝ち目がないと思わずに、彼らの言っている政策や主張に耳を傾けてみれば、自分の気持ちに近い主張をしている候補がきっといるはずです」(畠山さん、以下同)
候補者を選ぶ重要な基準のひとつが、選挙公報だ。
畠山さんは現在、選挙期間中に発表される選挙公報を、選挙終了後もホームページなどに残しておくよう各自治体に働きかけるキャンペーンを行っている(https://www.change.org/p/選挙が終わっても選挙公報を消さないでください)。
「選挙の際、候補者がどのようなことを約束したか、その約束をきちんと守ったかどうか、有権者が選挙後にチェックする手段は非常に限られています。候補者のSNSやサイトは都合が悪くなれば削除してしまえますが、公金を用いて発行される選挙公報は、選挙後も見られるよう公開されておくべきです」
当選してしまえばこっちのもの、というような態度を許さないためにも、選挙公報の継続的公開は非常に重要だ。有権者にとっても、自分の「推し」の候補者を見守り応援していくための、いいきっかけになる。
キャンペーンサイトでは6月30日までに1万7600人の署名が集まり、7月1日に署名を総務省に提出した。
「僕は日本国民が全員立候補したらいいと常々言っています。みんなが1度は選挙に出てみれば、候補者がどれだけの思いで立っているかがわかるし、自分の1票を簡単に捨てるということができなくなるはず。そのくらいの思いで、各候補者の声を聞いて、1票を投じてほしいですね」
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ここがヘン、日本のガラパゴス選挙「名前の連呼」「世界一高い供託金」のナゾ
週刊女性 2019年7月16日号
■選挙の制度が変なんです~2万人議員アンケート
NHK 2019年4月9日
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日本には「地方議員」が3万人もいることをご存じですか?
今回、その全員に初めてのアンケートを行いました。
回答してくれたのは2万人近く。
NHKでは1か月にわたって、そのホンネをお伝えするキャンペーンを展開します。
今回は、選挙制度について。法律に問題がある、立候補しにくい状況がある、そして無投票を防ぐアイデアがあるなど、さまざまな意見をご紹介します。
・カネがかかる!
公職選挙法では、資金力のある候補者が有利にならないよう、自治体が選挙運動の費用の一部(自動車・ポスター・ビラ)を負担する制度があります。
しかし、何についての費用をいくら負担するかは、自治体がそれぞれ決定します。
このため「格差がある」と、不満や要望の声があがっています。
「選挙の時は市は公費負担があるのに町村はないのでとても大変である。町村も公費負担があると助かるのに市があって町はなぜないのか?」(60代女性議員)
「報酬等はそれぞれ自治体の規模によって違うことは当然ではあるが、少なくとも選挙時に於ける公費負担は同等にすべきと思っている」(70代男性議員)
「町村議会議員だけ、ポスターの経費、選挙カーの経費が自己負担になっている。供託金がないからという説もあるが、実に不合理な制度と思う。若い人、女性は立候補するときに選挙にお金がかかることがネックになっている。町村議員のポスター、選挙カーも公費負担にすべきです」(70代男性議員)
いや、市であっても負担がないぞと、60代の男性市議はいいます。
「私の市では選挙に対するポスターや選挙カーについて公的負担がまったくない。また政務活動費もない状態であり他の市と比較しても不公平と考えている。この状態では若い人の立候補が難しいと考えている」
・ビラが解禁されたのに…
今回の統一地方選挙から、都道府県議選や市議選でも選挙運動用のビラの配布が認められました。
しかし、ビラには選挙管理委員会が交付する証紙を貼り付ける必要があります。
40代の男性議員は、この作業のために組織力のある候補が有利になるとしています。
「公職選挙法の現代化を。証紙貼りなど現職(既成政党)有利のような参入障壁は不要」
・供託金が高い!
立候補する際には、「供託金」を法務局に預ける必要があります。
これは当選する見込みのない人がむやみに立候補をするのを防ぐために作られた制度で、町村議に立候補する場合は必要ありませんが、都道府県議や市議は必要です。
高すぎて新人に不利だというのは、60代の男性議員です。
「選挙では新人は期待度が高く、比較的攻める事ができ、チャンスと思います。その意味では普通に立候補しやすいが、供託金が高いと思います」
女性議員を増やすためにも、供託金を廃止すべきだと70代の男性議員はいいます。
「女性議員を増加させるには、報酬アップ、子供の世話、家族の理解、供託金を全廃することが必要である」
50代の女性政令市議は、やはり政党がバックにいる人の方が立候補しやすいという意見です。
「政党人でない人は立候補しにくい(高すぎる供託金)→供託金廃止で多くの人が立候補できるようにしたい」
逆に、町村議でも供託金が必要というのは70代の男性議員です。
「町村議会議員の立候補者にも供託金を若干課すべきと考えます。議員になれば良いという考えの議員がおり、自覚が不足している。出馬しやすい反面、当選してからやる気がみえない」
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選挙の制度が変なんです~2万人議員アンケート
NHK 2019年4月9日
■議員報酬、いくらもらっていますか? 選挙にはどれだけお金かかるの?
「なり手不足」の地方議員、なって見えた現実と課題 20代、30代の若手に聞いてみた(前編・現職編)
静岡新聞 2023.3.30
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4年に一度の統一地方選挙が始まった。
日本各地の多くの地方議員や首長の選挙が、一斉に実施される。
近年は「無投票当選」や「なり手不足」といった言葉が以前より目立つようになっているそうだが、そもそもそんな時代になっていることすら知らない、という方が多いのではないだろうか。
高齢化と人口減少が進み、若年層の都市部への流出が続く中で、あえて地方議員という立場で政治の世界に飛び込んだ若手がいる。
彼らが一体何を考え、何に悩み、何を目指すのか。
そもそも議員報酬をいくらもらっているのかといった「ぶっちゃけ」話も含めて、同年代の記者があれこれ聞いてみた。(共同通信=田島里紗)
安河内さんは選挙のスローガンに「最年少に最燃焼させてください」を掲げた。
国連のインターンシップ参加の資金を集めようと路上で靴磨きを始め、市内の湯田温泉で人々と触れ合ううちに、人材不足や若者の流出など地域の課題に気付かされ、立候補を決意したという。
・世界平和は身近なところにある
―立候補する前は何をされていましたか。
大学生でした。起業を手伝った会社で常務取締役も務めていました。学生に業務委託でホテルや旅館の接客、携帯電話販売の営業をしてもらうのが主な仕事で、150人くらいの学生を動かしていました。
―なぜ山口市議になろうと思ったのですか。
高校3年生の時に「イスラム国」(IS)の邦人拘束事件があって、国連でこの問題を解決するという夢ができました。
インターンシップに参加するための費用50万円を集めるために、湯田温泉の路上で靴磨きを始めました。
靴磨きをする中で、日本・中国・韓国の間の領土問題、少子高齢化など国内の問題を住民の方や観光客の方に教えていただきました。
特に住民の方からよく聞いたのが「湯田温泉、めちゃくちゃ古びたんだよね。人ももっとぎゅうぎゅう詰めだったのに」という話。
皆さんの目を見て話していたら「昔は幸せだったな」と言っているように感じて、飛躍があるかもしれないけれども「世界平和」というのは意外と身近なところにあるんじゃないかという気付きをもらいました。
台湾南部地震(2016年)の時には、学部のみんなで湯田温泉のホテルの前で募金活動をしたんですよね。
10日間で40万円ぐらい集まって、SNSを通じて被災地の市長まで届いて台湾の「国会」に招待されました。
それまで全然外の世界を知らなかったんですが、少しずつ実践できたのが山口でした。
たくさんの人と出会って人の温かさを身近に感じたことが、山口で市議になるきっかけとなりました。
―選挙にはお金がかかると思います。山口市議選に出馬された際、費用はどのくらいかかりましたか。
供託金の30万円と、他に十数万円でした。
街宣車を選挙運動で使おうと思ったらお金が必要なのですが、公費負担と実費負担があります。
レンタカー代は公費で出ますが、照明や音響は実費でそれが十数万円かかりました。
レンタカー代は供託金と同じように決められた票数を取らないと、業者から請求が来るようになっています。
僕はあまり貯金が得意な方ではないのでギリギリでした。
だからこそ、市議選で定められた約200票を取るというのが選挙の一番の目的でした(実際は1222票で当選)。
―単刀直入にお聞きしますが、議員報酬はいくらもらっていますか。生活は大変ではないですか。
総支給額は月額44万9000円です。
加えて年2回ボーナスが支給されます。
これ以外に政務活動費は月3万円なんですが、議会によって違います。
僕は当選してすぐに草刈り機を買いました。
何か貢献できることはないかと住民に聞いたら「草刈りが大変だ」と。
会社だったら会社のために使ったものは経費として精算できますよね。
でもこれは実費です。
政務活動費は税金から出ていますし、なかなか使いづらいというところもあります。
僕は20代で結婚もしていないので、ギリギリでやりくりしています。
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議員報酬、いくらもらっていますか? 選挙にはどれだけお金かかるの? 「なり手不足」の地方議員、なって見えた現実と課題 20代、30代の若手に聞いてみた(前編・現職編)
静岡新聞 2023.3.30
■世界に例のない高額供託金
日本は衆院一人 小選挙区300万 比例代表600万円
米仏独伊は無料
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衆院の早期解散・総選挙の可能性をはらんで政局が緊迫するなか、日本共産党は総選挙のための供託金募金への協力を訴えています。
供託金とはどんなものでしょうか――。(小林俊哉)
・自由な立候補を抑制
供託金とは、公職選挙法にもとづいて選挙に立候補する際に法務局にあずけるお金のことです。
金額は各種選挙ごとに決まっており、衆院小選挙区で三百万円、比例代表で一人当たり六百万円にのぼります。
一九九三年の公選法改悪で、それまでの一・五倍に引き上げられました。
選挙の結果、規定の得票率(衆院小選挙区では10%)に達しなかった場合には全額没収となります。
日本共産党は「世界的に例のない高額の供託金は、自由な立候補を抑制する反民主主義的なものです」と批判しています。
日本の供託金の金額は先進国と比較しても異常な突出ぶりです。
国立国会図書館の調べでは、選挙供託金制度を設けているイギリスで十万円、カナダでも八万円にすぎません。アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアでは供託金制度がありません。(表)
高額の供託金制度について、政府は「当選を度外視して多数の候補者が出ることを防止するためだ」(自治相答弁、一九九四年二月二十一日、衆院予算委員会)と説明しています。
しかし、お金がないと立候補すらできないというのでは、金銭面から国民の被選挙権を制限し、政党の政治活動の自由を圧迫することにつながります。
議会制民主主義を守る立場からも、早急な見直しが求められます。
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世界に例のない高額供託金
日本は衆院一人 小選挙区300万 比例代表600万円
米仏独伊は無料
■都知事選の供託金300万円は高すぎる?
供託金が引き上げられてきた理由とは
ハーバー・ビジネス・オンライン 2020.07.02 宮澤暁
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選挙に立候補するとなると多額の金銭がかかります。
選挙カーを借りたり、ポスターを刷ったりする費用というもの以前に供託金を用意しないと立候補の手続きすらできません。
この供託金ですが、しばしば金額の高さが問題となります。
現在、行われている東京都知事選に立候補するためには300万円もの高額な供託金を用意する必要があります。
また、衆議院や参議院といった国政選挙の選挙区でも同様に300万円、身近な選挙といえる区市議会選に立候補するのですら、30万円もの金額を供託する必要があるのです。
この供託金は供託金没収点という一定以上の票を得れば返還されます。
区市議会選のようなレベルでは、このハードルは決して高いものではありませんが、知事選や区市町村長選といった首長選では有効投票数の10分の1、つまり10%の得票率を記録する必要があり、これはかなり高いハードルとなっています。
諸外国を見てみると、このような供託金制度がないか、あっても日本に比べると低額となっています。
日本の余りにも高額な供託金制度は国民の政治参加の権利を侵害しているという批判も多くあり、日本国憲法第44条の「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」に反して違憲であるとして裁判も行われています。
一方で供託金制度は売名目的の立候補を防ぐことや選挙公営制度維持のために必要であるという意見もあります。
・資金力で差がつかないように 選挙公営制度の理念
選挙公営制度(公費負担制度)とは何でしょうか。
日本の選挙の基本理念として、選挙活動に金がかからないようにし、資金力の差によって過度に差がついてはいけないということがあります。
これは選挙に多額の費用をかけてしまうと、様々な不正や腐敗の温床になるからです。
そのため、選挙のルールである公職選挙法では選挙運動を無制限に行えないようにする一方、候補者に対して、国や自治体が様々なサポートをすることが規定されています。
例えば、選挙公報は各候補者が自身の政見を伝えるためのツールですが、印刷や配布などは全て選挙管理委員会が行ってくれます。
また、テレビやラジオでやる政見放送も候補者は特に費用がかからず、国や自治体が公費でその費用を負担してくれます。
このほか、前述した供託金没収点以上の票を得なければならないという条件があるものの、一定額までポスターやビラの印刷費、選挙カーの費用といったものも公費で負担してくれます。
・選挙公営制度の拡充と悪用
供託金制度は、この選挙公営制度と密接な関係があります。
供託金が高くなった理由の1つとして、選挙公営制度の拡充というものがありました。
現在でもこの動きはあり、今まで町村議会選の立候補には供託金が不要でしたが、町村議会選では公費負担制度の対象外であったポスターや選挙カーなどの費用を公費負担の対象にする代わりに15万円の供託金を設けるという法案が本年6月に成立しています。
また、供託金の金額が跳ね上がった大きな理由として、この選挙公営制度を悪用し、金儲けを行った者が多く現れたというものがありました。
この選挙公営制度の悪用がもっとも問題となったのは1960年代でした。
選挙管理委員会から交付された様々なものを横流しして、金銭に変える候補者が現れたのです。
有権者に送るために一定数が交付される選挙はがきの横流しは代表的な例で、自分に割り当てられた選挙はがきを別の候補者に売るという手口でした。
1960年の衆議院選では、供託金が10万円で、各候補者に1万5千枚の選挙はがきが交付されていました。
このときの横流しの相場がはがき1枚15~20円程度となっていたため、1枚15円で全て横流しできれば、20万円以上となり、供託金が没収されても十分儲けが出ることになっていました。
また、公費で負担される選挙用新聞広告の掲載に伴うリベートも問題になりました。
選挙広告は臨時掲載扱いなので価格が高く、広告代理店の手数料が大きかったため、各代理店は選挙広告を獲得しようと血道を上げていました。
このため、契約をする代わりに多額のリベートが候補者に支払われるということが頻発しました。
こちらもしばしば供託金以上の高額のリベートが支払われていました。
この新聞広告のリベートは候補者が要求しただけではなく、広告代理店が主体的に動いていた事例も確認されています。
例えば、うちと契約すれば、リベートを渡すと候補者に持ちかけたという証言が複数確認されています。
また、とんでもないところでは、供託金分の金を出すので、選挙に立候補して選挙広告をうちと契約してほしいと持ちかける者すらいました。
・供託金の値上げ
1960年代に大型選挙での大規模な選挙はがきの横流しの発覚や金儲けを目的とした露骨なまでの大量立候補が相次いだため、このような金儲けを目的とした「泡沫候補」排除の世論が盛り上がりました。
このような不正に対し、取り締まりの強化が行われました。
これはある程度の効果を発揮し、前述した選挙はがきの横流しは激減しました。
当時の報道では、はがきの横流しができなかったため、不正を取り締まる選挙管理委員会に対して、はがきを買い取ってほしいとまで言い出した候補者すらいたことが紹介されています。
そして、根本的な対策として、ある1つの大きな対策が取られました。
それは供託金の大幅な値上げです。
つまり、選挙はがきの横流しをしたり、広告のリベートをもらったりしても、儲けが出ないようにしたのです。
1962年では国政選挙の選挙区や知事選の供託金は10万円に過ぎませんでしたが、段階的に値上げされ、1975年には100万円と10倍になりました。
さらに、その後も段階的に供託金は値上げされ、1994年に300万円とかなりの高額の供託金となり、現在に至っています。
・選挙公営の趣旨を考えると現在の制度は適切か?
このように選挙公営制度を悪用した候補者が多数出た結果、供託金の値上げという対策が取られ、制度の悪用は激減しました。
しかし、供託金の大幅な値上げは選挙公営制度の趣旨を考えると、疑問点がかなり残ります。
選挙公営制度の本来の趣旨は金のかからない、資金力によって過度な差が出ない選挙というものでした。
一般的に資金力の少ない候補、特に新規に立候補した候補は集票力が少ないことがほとんどです。
このため、ポスターやビラの印刷代といった一部の公費負担制度は資金力が少ない候補が受ける機会が多くなく、一方で資金力の大きい候補者は公費負担制度の恩恵を十分に受けることができるという状況になっています。
また、余りにも高額な供託金により、選挙の立候補そのものができないという人も多く見られます。
選挙公営制度の維持のためにはある程度の供託金が必要であるという意見は理解できます。
しかし、資金力によって過度な差があってはならないという選挙公営制度の趣旨を考えると、供託金が払えずに選挙そのものに立候補することができない人が多くおり、立候補という政治参加をするための大きなハードルになっているというのは本末転倒です。
現在の供託金制度が適切なものであるか否かは今一度議論が必要であると思われます。
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都知事選の供託金300万円は高すぎる?
供託金が引き上げられてきた理由とは
ハーバー・ビジネス・オンライン 2020.07.02 宮澤暁
■立候補の供託金は合憲か
週刊金曜日|2019年8月24日 宇都宮健児
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2019/08/24/utsunomiya-7/2/
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訴訟提起後、弁護団が諸外国の選挙供託金制度について調査したところ、OECD(経済協力開発機構)加盟35カ国中、23カ国が選挙供託金制度がなく供託金ゼロで立候補できることが判明した。
また、選挙供託金制度が存在する12カ国に関しても、大半の国の供託金は10万円以下であり、日本の供託金は選挙供託金制度がある国の中でも突出して高いということがわかった。
さらに、諸外国の選挙供託金制度について調査する過程で、いくつかの国の裁判所で供託金の違憲判決が出されていることもわかった。
供託金の違憲判決を出した韓国憲法裁判所、アイルランド高等法院、カナダ・アルバータ州の裁判所などの判決に共通しているのは、あるべき議会制民主主義や少数者の基本的人権保障の観点から選挙供託金制度の問題点について徹底した考察が行なわれていることである。
今回の東京地裁の判決では、選挙供託金制度の問題点についてこのようなあるべき議会制民主主義や少数者の基本的人権保障の観点からの考察がまったく行なわれていない。
国民主権の民主主義国家においては、権力の濫用を防ぎ国民・市民の権利や自由を守るために三権分立の体制がとられている。
そして三権分立体制下における司法の本来的役割は、国民・市民の基本的人権を守るという観点から立法や行政をチェックすることである。
国会の裁量権を広く認めた今回の東京地裁判決は、自ら司法本来の役割を放棄した不当判決であると言わねばならない。
(うつのみや けんじ・弁護士、2019年7月19日号)
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立候補の供託金は合憲か
週刊金曜日|2019年8月24日 宇都宮健児
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2019/08/24/utsunomiya-7/2/
■政治への諦めを生む、高所得者に有利な供託金制度<短期集中連載/民意をデフォルメする国会5重の壁・第1回>
ハーバー・ビジネス・オンライン 2018.09.23 田中信一郎
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・第一の壁:供託金
誰に投票していいのか分からない、あるいはもっとマシな政党・候補者を求める有権者に対し、日本国憲法では「被選挙権」を保障しています。
適切な候補者がいないならば、自ら立候補するなり誰かに立候補を促すなり、自分で投票先を確保してくださいということです。
実際には、様々な事情が被選挙権の行使を阻み、立候補には至りません。
家庭や仕事との関係だったり、世間体だったり、他の候補者とのしがらみだったり、選挙資金のめどだったり。個人的な事情までは、政治制度でどうにかできるものはありませんが、制度に由来する事情であれば、それを解消することで立候補(自ら選択肢をつくること)をスムーズにします。
立候補に際して、もっとも物理的な壁として立ちはだかるのが「供託金」です。
供託金とは、立候補手続の際に、選挙管理委員会(実際には法務局)に預けるおカネです。
供託金がなければ、国政選挙には立候補できません。
市民マラソンなどのエントリー料金のようなものです。
国政選挙における供託金の金額は、衆議院選挙、参議院選挙ともに、選挙区では1人300万円、比例区では1人600万円です。
例えば、ある有権者が自分の選挙区で投票したい候補者が出なさそうだということで立候補しようとすれば、300万円の現金を用意しなければならないということです。
ちなみに、現職国会議員でない有権者が新たな政党をつくって比例区で立候補する場合は、一定数の候補者を立てなければ比例区にエントリーできない仕組みになっています。
衆議院の比例区では、定数の10分の2以上の候補者、参議院の比例区では、10人以上の候補者が必要です。
例えば、衆議院東京比例区の場合、定数17なので、最低でも4人の候補者が必要となり、供託金は2,400万円を要します。
参議院比例区の場合は、10人分の供託金6,000万円が必要です。
なお、政党要件を満たす政党は、一定数の候補者を立てる必要はありません。
供託金は、選挙で一定の得票等を得ると返してもらえますが、そうでないと没収されます。
没収ラインを「供託金没収点」と呼び、選挙ごとに異なります。
衆議院の選挙区では、投票総数の10分の1より多く得票すると返してもらえ、少ないと没収です。
参議院の選挙区は、投票総数を定数で割り、それをさらに8で割った数が、供託金没収点です。
比例区は、原則として1人当選すると、2人分の供託金が返されます。
つまり、どれだけ得票するのか、選挙をやってみないと分からない候補者や政党は、供託金が没収される覚悟で立候補することになります。
安い金額の小選挙区ですら300万円かかるわけです。
少なくとも300万円をドブに捨てる覚悟がなければ、国政選挙での被選挙権を行使できないわけです(実際には没収された供託金は国庫へ行きます)。
・なぜ供託金が存在するのか
供託金を設けている理由について、総務省と文部科学省が高校生向けに作成した『私たちが拓く日本の未来』には、次のように説明されています。
“選挙で供託金を用意するのは,売名などの理由で無責任に立候補することがないよう、慎重な決断を期待しているからです。”
この説明を読むと、いくつかの疑問が生まれます。
・なぜ、被選挙権の行使に際して「慎重な決断」が、必要なのでしょうか? そもそも「慎重な決断」とは、どのようなものでしょうか?
・「慎重な決断」が必要だとしても、それは供託金のようなおカネで担保すべきものでしょうか? 有権者の一定数の推薦署名など、おカネ以外の別の方法で担保できないのでしょうか?
・おカネで「慎重な決断」を担保するとしても、その金額は300万円あるいは600万円と、多くの有権者にとって、一年ないし二年分の年収に相当するような額でいいのでしょうか?
「おカネ持ちで、供託金をポンと出せる人ならば、慎重な決断をせずに、売名などの理由で無責任に立候補できるけど、いいの?」高校生からこんな疑問が出されたら、どう答えたらいいでしょう。
つまり、供託金は、候補者という選択肢の段階で、高所得者の意見を反映しやすい方向へ、民意をデフォルメする役割を果たしています。
現行の供託金制度は、中・低所得の有権者の立候補を阻止する効果しかないからです。
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政治への諦めを生む、高所得者に有利な供託金制度<短期集中連載/民意をデフォルメする国会5重の壁・第1回>
ハーバー・ビジネス・オンライン 2018.09.23 田中信一郎
■日本の選挙の謎・世界で抜きん出て高い供託金制度!
政くらべ 2015年12月21日
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・供託金とは?
日本の選挙において、選挙に立候補する手続をする際に、書類と共に供託金というものを納付しなければ選挙に立候補できません。
つまり、このお金が用意できない人は、立候補する事が出来ないという構図になっています。
さらに、得票数が一定レベルに達しないケースは、全額没収されてしまいます。
この供託金が諸外国に比べて法外に高いことも問題です。
日本は、供託金を8年位で倍にしているケースもあり、何のためにこんなに価格をつり上げていくのか、国民目線からは分かりにくい事態となっています。
・世界の供託金事情
比例代表の供託金は600万円、小選挙区の供託金は300万円。
総じて、日本の選挙における供託金は突出して高いのですが、ここで世界の供託金事情をみてみましょう。
まず、供託金ゼロの国は、アメリカ、フランス、イタリア、ドイツなどです。
日本についで高い国は韓国。
約150万円で2番目です。
続いて、マレーシア約90万円。
台湾約67万円、香港約32万円なっています。
続いて、イギリス約9万円、カナダ約7万円 オーストラリア(下院)約5万円、オーストラリア(上院)約2万5千円、インド約2万5千円となっています。
日本の供託金は、イギリスの33倍、カナダの43倍、韓国の2倍です。
・供託金制度の歴史
供託金制度は、イギリスが発祥であるといわれてします。
日本では、1925年の普通選挙法制定とともに立候補届出制が採択され2000円の供託義務が定められました。
売名目的での立候補を防ぐ目的と、社会主義政党の国政進出を防ぐ目的もあったと言われています。
もし、「社会主義政党の国政進出を防ぐ目的」という縛りの事実があったとすれば、この発足の時点から、国民が政党を選択する権利が制約されたと読めるでしょう。
1950年に制定された公職選挙法でもこの制度が引き継がれました。
供託金の金額については、1969年、1975年、1982年の選挙法改正の度に改正され、益々金額が高く設定されていきました。
供託金が釣り上げられていった理由については、55年体制の主要政党が供託金を没収されることが少なかったこと、既存議員にとっては、新人候補や小政党の出馬を抑制する効果があるため、国会で供託金の引き上げを批判されることがなかったからでした。
・供託金は何故必要か、という政府の説明は?
供託金に関しては、管轄の法務省によれば、選挙の妨害や売名行為などを持ったものが、立候補することが考えられるからと説明しています。
確かに、国政選挙ともなれば相当な費用もかかることは理解できます。
けれど、供託金ゼロの国で、そんな問題は起こっているのでしょうか。
これは、選挙というものに対する精神的な向き合い方の違いに思えます。
かつて、フランスでも2万円位の供託金がありましたが、1995年に廃止されました。
これは、被選挙権にも、法の下に平等と考えるからでしょう。
・供託金で誰がメリットを受けるのか?
では、なぜ日本の供託金が高いのでしょう。
このメリットを受ける人は、既存の政治家で、デメリットを受けるのは、組織を持たない新人です。
草の根運動を国政に生かしたく思っても、この供託金が壁となり立候補を断念することも考えられるわけです。
実際に、既存政党は政党助成金をもらっていますから、選挙でも候補者に対して資金的に補助をすることができます。
つまり、既存政党にとり有利で、供託金を上げれば上げる程新人を排除できるという論理となります。
実際、前回の都知事選では、供託金の没収ラインは48万6909票。没収ラインをクリアできたのは上位4名で、後の12人は、供託金が没収されてしまいました。
こうした制度の存続を既得権のある議員が握っていること、そして、一般国民は、関与すらできず排除されていること事態、不平等感を抱きます。
・選挙は法の下の基本的人権に沿うべき…
日本国憲法 第四十四条「議員及び選挙人の資格については、両議院の議員及びその選挙人の資格は、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」と書いてあります。
ということは、誰でも選挙に出馬する事が出来ると解釈できるでしょう。
現在の被選挙権は、実質的に、資産のあるなしによって制限を受ける選挙になっているように見えます。
供託金制度は、誰の方を向いている制度かと再考し、一刻も早い制度改革を考慮していただきたいものです。
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日本の選挙の謎・世界で抜きん出て高い供託金制度!
政くらべ 2015年12月21日
■選挙に立候補するのに6百万円…一般国民を政治から排除する「供託金」は憲法違反の疑い
Business Journal 2018.12.12
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「どうせ選挙に行っても変わらないよね」
「どの党や候補者に投票したらいいかわからない」
「自民党も問題だが、野党もねえ……」
こんな声がよく聞こえてくる。
選挙にマイナスイメージを持つ人が少なくない。
第一に、選挙がつまらない。
第二に、選挙をやっても生活や社会がよくなっている実感がないからだ。
こういう人々が増えると、政府をはじめ権力者や支配層は、とてもうれしい。
現状に不満を持つ人たちが選挙に行かず、立候補もしなければ、支配層は自分たちのやりたい放題を今後も続けられるからである。
このような政治的不信を拡大・再生産させている法律が、公職選挙法だ。
国政選挙なら選挙区1人300万円、比例区1人600万円という途方もない供託金を選挙管理委員会に納めなければ、立候補すらできない。
また、政治活動の規制や言論表現活動の規制をしているのが公職選挙法だ。
禁止事項の多さから“べからず選挙”と揶揄される。
戸別訪問禁止、一般人による電子メールの選挙運動禁止、ビラまきや文書等配布の大幅制限、告示前の事前運動の禁止など。
カネがないと立候補できず、選挙運動も自由にできず、守らなければすぐに警察に捕まってしまう。
日本では、いまだに自由な普通選挙が実現できていないのだ。
このような状況で、供託金が憲法違反であるとして、埼玉県の近藤直樹氏が2016年5月27日に東京地裁に提起した裁判が、クライマックスを迎えている。
この裁判では、憲法違反だけでなく、日本も批准している国際人権自由権規約25条違反だという視点が提起されている。
この点については後述するが、その前に「世界の非常識」ともいえる日本の公職選挙法および供託金の“出生の秘密”を確認してみたい。
・労働者層を排除する目的で供託金制度を導入
供託金制度ができたのは、1925年に25歳以上すべての男子に参政権を与える普通選挙の実施が決められたときである。
「衆議院議員選挙法」を改正した結果だ。
それまでは納税額によって選挙権が制限されていたが、少しずつ基準納税額が下げられ、ようやくすべての男子が選挙権を得たのである。
そうなると無産者(労働者階級出身者)が大量に国会に進出する可能性があるため、当時の支配層はそれを阻止するため、供託金制度を導入した。
表向きの理由は、売名行為の立候補や泡沫候補の濫立を阻止するためだった。
同時に治安維持法を制定して、あらゆる政治運動や社会運動を弾圧したのは周知のとおり。
「ミニ政党・新しい政党は泡沫候補が所属」という国の主張
第二次世界大戦後は、女性参政権も認められるなど一時的には政治的自由が拡大したが、公選法改正のたびに供託金の額が上げられ、参政権を縮小している。
いま東京地裁で争われている「供託金違憲訴訟」で驚くのは、供託金制度を導入(同時に治安維持法が成立)した93年前と同じことを被告の国が主張していることだ。
国が出した準備書面(3)によると、供託金を高くしないと「泡沫候補が濫立」するとして、供託金値上げの正当性を主張している。
1982年に公選法が改正されて全国区の比例代表制度が導入された。
このときに政党や政治団体が比例区に候補者を立てるときは10人以上擁立しなければならないようになった。
翌83年から92年に供託金が値上げされるまでの間に、ミニ政党が多数登場して立候補者数が増え、「泡沫候補が濫立」したと国は主張している。
83年には福祉党やサラリーマン新党が旗揚げして議席を得ているが、まさか彼らのことも「真に当選する気のない泡沫候補」と考えているのだろうか。
そもそも「泡沫候補の濫立」というのは評価(主観)だろう。
この場合の客観的事実は、2つ。
(1)選挙戦に参加する政党が増えた。
(2)立候補者数が増えた
この2つをもって「当選する気がない泡沫候補が濫立した」とは言えない。
・国際人権規約に抵抗する国
さて注目していただきたいのは、原告が主張している「国連人権自由権規約25条違反」だ。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)に違反していると原告は主張する。
日本は79年に、この規約を批准した。
第25条
すべての市民は、第2条に規定するいかなる差別もなく、かつ、次のことを行う権利及び機械を有する。
(a)直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。
(b)普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること。
(c)一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。
OECD(経済協力開発機構)加盟35カ国のうち、22カ国には選挙供託金制度がなく(01年)、あっても少額で、日本の選挙区出馬に必要な「300万円」は世界一高い。
そうなると25条の「平等の選挙権」と言い切るのは難しいだろう。
平等な選挙の実現は人権であることを示す「国際自由権規約」25条(外務省ホームページより)
国際自由権規約25条に関する「一般的意見」の一部。供託金などが差別的であってはならないと踏み込んだ内容が採択されている。(日本弁護士連合会ホームページより)
さらに96年に採択された「一般的意見」があり、これは25条の正式な解釈を示している。
【一般的意見25の15】
「選挙による公職に立候補する権利及び機会の実効的な実施のためには、 投票権を有する者に対し立候補者の選択の自由を確保することが必要である。年齢等、 立候補する権利の制限は客観的な基準に基づいて正当化されるものでなければならない。本来立候補する資格を有する者は、 教育、 居住関係又は門地等の不合理又は差別的な要件により、又は政治的所属を理由として排斥されてはならない(以下略)」
【一般的意見25の16】
「選挙の、 指名日、 手数料又は供託金に関する条件は合理的なものでなければならず、差別的であってはならない(以下略)」
どう解釈しても、世界一高い供託金を払わなければ立候補できないのは、国際自由権規約25条に反しているように見える。
さらに憲法44条の「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。
但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」という規定と現実は相当なずれがある。
このように、憲法違反だけでなく国際人権条約に違反していると問題提起されているのが「供託金違憲訴訟」なのだ。
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社会
選挙に立候補するのに6百万円…一般国民を政治から排除する「供託金」は憲法違反の疑い
Business Journal 2018.12.12
■世界一高い供託金制度を廃止に!(弁護士 鴨田譲)
2016年9月30日
■世界と日本の供託金ランキング‐供託金とはわかりやすく解説
2022.05.24
■世界で類のない日本の選挙にかかる供託金
2021年7月9日
■元衆院議員が明かす「選挙とカネ」の語られざる闇
週刊現代 2018.07.10 細野豪志
■「無投票当選はデメリットしかない」統一地方選の問題点「無投票当選」で民主主義の根幹が揺らぐ? (2023年3月31日)
■小選挙区で3百万円「世界一高い選挙供託金は廃止!」 米、独はゼロ、英8万円
IWJ 2016/09/18
■世界一の供託金。国民の生活は第二で、私達の立候補が第一です。
選びたい人がいないなら立候補!
でも高額な供託金にくじかれる。
日本の議員が世襲だらけの理由。
■株式会社ムサシを追跡するとユダヤ資本に繋がる
■選挙請負会社ムサシは電通や外資と仲よし
■選挙集票システム会社「ムサシ」株主は「外資系」だった!