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療養のお供にどうぞ

他人の日記(エッセイ)にお金を払って読んで何が楽しいのか。

そう思っていた私が、そのエッセイの沼にハマりつつある。


幼少期のころ本を読むと褒められる環境で育った私は、
両親に褒められたい→読書する
というわかりやすい動機から読書が習慣になった。

学生時代に読んでいたのはもっぱらファンタジー小説。(たまにミステリーも)
非日常を味わえる世界観に没頭し、夜はベッドの中で自分が登場人物の1人になることを想像しながら眠ったものだった。


そして全く理解できないと思っていた分野が
「スピリチュアル」と「エッセイ」

スピリチュアルは全く共感できないと思っていたし、
エッセイは「他人の日記を読んで何が面白いんだ」と考えていた。
読んだこともないのに決めつけて忌避していたわけだ。


そんな私だが、うつ病を発症して家にこもりがちになる。

ソファから見える外の景色に飽き飽きし、「1人旅をしてみたい」と思い立ったころにタイミングよく出会ったのが益田ミリさんの『47都道府県女ひとりで行ってみよう』というエッセイ本だった。

読んで一番に
なんだこのゆるい文章は!!
と衝撃を受けた。

ゆるい。ゆるすぎる。
でも、これが今の私に心地良い。
そう感じた。


療養中は集中力が続かずに、数百ページ続くファンタジー小説を読み切る気力がない。ミステリーなんて読んだら、謎は解けないし犠牲者に共感して疲れるしでぶっ倒れると思う。

思考力が低下して共感力が爆上がりしているやっかいな私には、のんびりと平和な文章がつづられているエッセイがぴったりなのだ。


今読んでいるのは益田ミリさんの「今日のおやつは何にしよう」ってやつ。
タイトルから、かわいらしくていいでしょう。

30分くらいで半分まで読んでしまった。
もったいないから残りはゆっくり読みたい。


最近母から言われて嬉しかった言葉は、
「あなたは段々と練れた人柄になってきたね」
経験や修養を積んで人格が円満になったという意味らしい。

元気なころは、刺激たっぷりでワクワクする本が大好きだった。
でも今は穏やかで平和なエッセイ本の魅力も分かる。

経験によって視野は広がり人柄は円熟する。

いまの私の休養も、自分の成長の糧になる良い経験だったと後から思えたら、とちょっぴり期待している。

きっと、エッセイ本の面白さがわかるようになっただけでも、私の視野は少し広がったはずだ。

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