【文楽】戻駕色相方、艶容女舞衣
2024年2月11日(日)、日本青年館ホールに、人形浄瑠璃文楽(令和6年2月公演)を観に行きました。記録を残します。
■公演概要
(1)会場・日程
会場:日本青年館ホール
日程:2024年2月5日(月)~2月13日(火)
昨年10月末で国立劇場が閉場してから、他劇場を借りて公演が行われていますが、今回の「日本青年館ホール」で文楽を観るのは初めてです。
一番近い駅は、銀座線の外苑前駅のようで徒歩5分とあります。私は、都営大江戸線の国立競技場駅から新国立競技場を横目に10分ほど歩きました。
同ホールの座席数をインターネットで観ると、実際に座ることが出来る席は別にして1階席は811席です。国立劇場小劇場が590席、国立文楽劇場が753席、前回のシアター1010の1階席が553席であることから考えても、相対的に広めの劇場でした。
座る場所にもよるのでしょうが、太夫の声がいつもより聞き取りにくく感じたような気がします。
(2)演目
第一部(12時開演):二人三番叟、仮名手本忠臣蔵(五段目、六段目)
第二部(15時15分開演):艶容女舞衣、戻駕色相肩
第三部(18時30分開演):五条橋、双蝶々曲輪日記
私が今回観たのは第二部と第三部でしたが、第三部の『双蝶々曲輪日記』の感想は、以前少し記載したことがあるので、今回は、第二部の感想を中心に記載したいと思います。
■感想①:戻駕色相肩
(1)作品概要
30分弱の作品でした。作品の分類でいうと景事でしょうか。
配布チラシによると、常磐津の名曲を義太夫節に移した作品とあります。国立劇場のHPによると、歌舞伎舞踊『戻駕』を、文楽に移した作品ともありました。
(2)あらすじ
少し補足すると、「戻り駕籠」とは、客を乗せて送った後、安く乗れる帰りの駕籠のようです。また、大坂の新町遊廓、京都の島原遊廓、江戸の吉原遊廓は、江戸幕府公認の遊郭で「三大遊郭」と呼ばれていました。
(3)感想
京、大阪、江戸の三人によるお国自慢の話でした。季節は春の華やかな設定で、特に、少女のかむろが駕籠から降りて来てからは、華やかさが際立ちました。かむろの舞を、駕籠に両肘をついて後ろから眺める二人の駕籠舁きの姿がとても良かったです。
■感想②:艶容女舞衣(酒屋の段)
(1)作品概要
大阪・千日墓所で起きた美濃屋三勝と赤根屋半七との実際の心中事件をベースとしているそうです。安永元年(1772)に大坂・豊竹座で初演とありました。
(2)あらすじ(導入部のみ)
(3)感想
導入部を短めにまとめようとしながら、結婚前から愛人がいて、本妻は放っておかれるという、すごいストーリーだと思いました。
前半は上述した謎の女性、中盤はお園のクドキ(女性が自分の心情を切々と訴える場面)、(お園の)舅(半七の父)と実父のやり取り、後半は半七の手紙が見せ場になっていました。
お園は、桐竹勘十郎さんが主遣いで、他の人形が奥に入った後の一人の見せ場でした。
お園のクドキは有名な場面のようです。他方で私は、酒屋に来た謎の女性の設定に面白みを感じました。キーパーソンです。ネタバレになるのであまり詳しくは書けませんが、どういう意図で彼女が酒を買いに来たのか追っていくと面白いでしょう。
■最後に
スピードを要求される現代に生きているせいか、こうした伝統芸能の舞台を鑑賞していると、相対的にゆっくりと感じたり、リラックスして眠くなってしまうことがあります(私の場合、結構多いです)。今回も、まずいと思いつつ、第二部の前半少し眠ってしまいました。
他方、第三部の『双蝶々曲輪日記』は、本で調べたりしたこともあったので、「引窓」の文学性を感じながらじっくり観ることが出来ました。
一回観るだけで理解が十分に出来れば、(予算的にも)越したことがないかもしれませんが、なかなか難しいといったところです。特に、文楽や伝統芸能はそう感じることが多く、これからも細く長く続けていきたいと思います。
本日は以上です。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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