サントリーホールで乱闘騒ぎ よくあること?

12月14日、小林愛美がショパンの協奏曲を弾いたサントリーホールのコンサートで、終演後、客の「殴り合い」が起こったという。

「クラシックコンサート」と「乱闘騒ぎ」は、意外な取り合わせに思われるかもしれないが、結構あることではないだろうか。

「春の祭典」初演の歴史的騒動とか、そういうことではない。

コンサートゴアではない私にも、サントリーホールで2回、終演後の「騒ぎ」を見た記憶がある。どちらも古い話だが。


一つは、ズービン・メータがイスラエル・フィルとブルックナーの「第8」を演ったとき。

演奏が終わり、メータが指揮台から去った後、客の一人とイスラエル・フィル団員のあいだで、激しい口論が発生した。

曲の解釈をめぐっての口論だったと思うが、私は席が遠く、またドイツ語のようだったので、中身はよく分からなかった。口論を仕掛けた客は日本人のように見えた。

結局、団員がステージから去ったことで、それ以上の騒動には発展しなかった。ちなみに、確かに退屈な演奏だった。


二つ目は、レナード・バーンスタインがロンドン・フィルとベートーヴェンの「第7」を振ったコンサート。バーンスタインの最後の来日公演だった。

客は、最後に予定されていたウエストサイドストーリーの自作自演を楽しみにしていたのだが、バーンスタインは出てこず、代わりに弟子の大植英次が振った。

これに納得しなかった客が大勢ホールに残り、運営側に抗議して騒然となった。これは有名な話で、新聞記事にもなったと思う。私もしばらく残ってそれを見ていたが、終電が近かったので最後まではいなかった。

晩年のバーンスタインの体力では無理なプログラムだったのだろう。そうは言っても、客としては納得できなかったのは私も同じだった。

クラシックコンサートの客は上品な層だと想像されているかもしれないが、偏屈でプライドの高い人も多いし、高い金を払って来ているという意識もある。

今回の騒動、「殴り合い」の原因ははっきりせず、時期的に「マスク」がらみでは、という意見があるようだが、「音楽」が原因でもまったく不思議はないと思う。


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