昔の九州のたこ焼きとお好み焼き
私は1960年代の子供時代を、九州の北部ですごした。
その後、東京に出て、大阪にも行って、たこ焼きを食べたが、いずれも子供の頃に九州で食べたものとは違った。
お好み焼きは屋台で売っていた。
大きな違いは、九州のたこ焼きは、ソースではなく、醤油で味付けしてあったことだ。それも、九州の甘い醤油である。
だから、茶色いというより、黒かった。
たこ焼きといえば、醤油が焦げる、香ばしい香りを、私はまず思い出す。それは、九州の子供時代しか味わえなかった。
大きさも、今の標準より小ぶりだった。その代わり、10個単位で売っていた。紅ショウガを中に入れていた気がする。
たこ焼きが醤油味だったのと同様、焼きうどんも醤油味だった。
焼きうどんそのものが、北九州発祥だったはずだ。焼きそばは屋台とか即席麺で食べるもので、家で食べるのは焼きうどんだった。
そして、今ではソース味の焼うどんもあるだろうが、基本は醤油味だった。
我々は醤油文化であり、ソースは後から(たぶん関西あたりから)来たものだ。
このあいだYouTubeでベトナムのB級グルメルポみたいなのを見ていたら、うどんのようなものをやはり醤油(とだし汁と酢)で出していた。
日本の醤油と同じかはわからないが、九州の焼きうどんのルーツは東南アジアにあるのかも、と思った。
話をたこ焼きに戻す。
たこ焼きにマヨネーズは使わなかった。
しかし、お好み焼きには使った。
鉄板で客がみずから焼くスタイルの店は、九州ではまだ新しかったと思う。
店によって、マヨネーズとケチャップを混ぜたものを「レインボーソース」と言って出していて、子供たちが好んでいた。
お好み焼きのソースなんかは、今のと大きな違いはなかった。前述のとおり、そのソースは家庭にはない、新しい味だった。
お好み焼きの作り方が、今と違う。
とにかくコテで圧迫して、できるだけ薄く引き伸ばして広げる。そういう作り方だった。
キャベツだけが入った、プレーンなお好み焼きは、1枚10円だった(1960年代)。
豚肉やエビが入った「ミックス」でも、100円しなかったと思う。
ラーメンが70円だったことは、別の原稿に書いた。
たこ焼きが10個いくらだったか、思い出せない。やはり100円はしなかったと思う。
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