「東京と神奈川」の位置関係を50年勘違いしていた男
私のことだ。私は50年近く勘違いしていた。
東京と神奈川は、基本的に「横」に並んでいると思っていた。
つまり神奈川は東京の「西」にあるとばかり思っていた。
地図で言うと、神奈川は東京の「左」にあると思っていた。
もともと空間把握に難がある、俗にいう方向音痴の私だが、それにしても恥ずかしい。
それは、私が関東生まれではなく、西日本から上京してきた人間というのも大きいと思う。
西日本から東京に来るとき、神奈川を通過する。つまり、西から東京に向かうとき、また逆に東京から西に向かうときも、神奈川を通過する。
だから、西から見て、神奈川は東京の手前、つまり東京の西にある、と最初に思い込んでいる。
東京に住み、東京で働き始めても、その勘違いは是正されなかった。
出張で西日本、例えば大阪に行く時、新幹線に乗ると、東京、品川の次は、新横浜(神奈川)だ。神奈川(横浜)は東京の「西」にある、と思うのが自然ではなかろうか。
鉄道路線図でも、神奈川に伸びる路線は、たいがい左右に描かれる。東京から「左」に行くと、川崎や横浜がある。
ところが、違う。
神奈川は、東京の「南」にある。
地図で言えば、東京の「下」にある。
地図で見れば、一目瞭然だ。
天気図なんかで何万回も見ていたはずなのに、気づかなかった。
このことに私は、50歳を過ぎて神奈川北部に住んで、初めて気づいた。
しかも、神奈川に住んで、10年以上たって気づいた。
10年以上、神奈川から東京に通勤していて、自分は「東」に通勤していると思い込んでいた。垂直に流れる多摩川(東京と神奈川の境)を横切って、「横」に移動していると思っていた。
しかし、実は「北」に向かっていたのである。多摩川も実際には「斜め」に流れている。
このことに気づいた時、少し大げさに言えば、私は腰を抜かした。
大げさに言えば、天地がひっくり返った思いだ。
こんなバカは、私だけとは思うが・・。
1つには、東京と神奈川を結ぶ鉄道路線(東横線、小田急線など)が、「南北」ではなく、かといって「東西」でもなく、北東から南西へ、「斜め」に走っていることがある。とくに小田急線のように、都心と神奈川北部を結ぶ電車に乗っていると、「東西」に走っていると勘違いしやすい。
もう1つは、東京が、ほとんどの人が考えるより東西に広いことがある。東京というと、多くの人は都心部しかイメージしない。いわゆる「都下」、多摩地区が神奈川の北に広がっていることが、あまり認知されていない。
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