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アメリカの「Colabo問題」でNPO代表が逃亡か

サンフランシスコ在住のエンジニア、MASA Nakamura氏が本日(9日)、以下のツイートをした。

「サンフランシスコのホームレス支援NPO代表、アカウントを消して逃亡。この数日、市からの予算を何に使ったかツイッターで追求されてたんだよね。」

それに対し、

「米国版 #Colabo 問題じゃんw」

といった反応が相次いでいます。



以前、私は、アメリカにもcolabo問題がある、という記事を書きました。

アメリカにもある「Colabo問題」 「道徳的ゆすり」と政治の歪曲(note)


そこで取り上げたレイトン・ウッドハウス氏の「職業としての活動家 Activism as a Vocation」(2022年8月2日)という論説が、まさにこのサンフランシスコのホームレス支援団体に関するものでした。

論説の冒頭を訳すと、以下のようになります。(訳文は太字)


サンフランシスコは、ホームレスのために年間 10 億ドル以上を費やしています。それだけの資金があれば、市はすべてのホームレスを一挙に路上から追い出すことができました。しかし、誰もが知っているように、逆のことが起こっています。問題は悪化の一途をたどっています。パラドックスのように聞こえますが、ほとんどの人にとって大きな謎ではありません。

私の推測では、平均的なサンフランシスコ市民は、「ホームレス産業複合体」(政府とホームレス自身の間に幾重にも挟まった非営利団体と支援団体の分厚い皮)が問題を永続させる役割を果たしていることをよく知っていると思います。サンフランシスコでは、NGO 産業(the NGO industry)が大きな政治的影響力を持っています。他の合理的な組織と同様に、その影響力を利用して、給与を満たし、オフィスの家賃を維持するという実際的な理由と、社会問題を提起するというイデオロギー的な目的の両方のために、リソースを自分自身に向けます。ホームレス問題を恒久的に解決してしまうと、その折角の仕組み全体がストップし、その機構を構成するすべての直接の支援者と活動家組織が最終的に店じまいしなければならなくなるのは明らかです。それは、市民の観点からは理想的なのですが、彼ら組織の観点からは完全に不合理なのです。

It sounds like a paradox, but it’s not a big mystery to most people. My guess is that your average San Franciscan is well aware of the role that the “homelessness industrial complex” — the thick dermis of non-profit organizations and advocacy groups layered between the government and the homeless themselves — plays in perpetuating the problem. In San Francisco, the NGO industry has enormous political clout. Like any rational organization, it uses that clout to steer resources toward itself, both for the practical reasons of meeting payroll and keeping the office rent paid, and for the ideological purpose of enacting its social agenda. Obviously, permanently solving the homelessness problem would put an end to that whole arrangement, and all of the direct support and activist organizations that comprise that apparatus would eventually have to close up shop. That might be ideal from the public’s point of view, but from an organizational standpoint it’s completely irrational.



もちろん、すべての非営利団体がそうではないでしょうが、特定の社会問題では、行政を取り巻く「産業複合体」が出来て、問題を解決すると商売ができなくなるから、問題を永続化させようと努める団体もある、と。その中では、カネの使途を説明できないスキャンダルも起こりうる。

サンフランシスコのホームレス支援団体の問題について、私はこれ以上の情報は持っていないのですが、colabo問題で言われている「公金チューチュー」を感じますよね。

LGBTや移民(外国人)をめぐる紛糾もそうですが、日本のマスコミが「(遅れている)日本だけの問題」のように言っていることは、先進国で共通に起こっていることが多い(日本のマスコミが無知なのか、活動家が一方的な情報を流しているだけ。メディア不信も多くの国に共通だ)。

これもその一例かと思います。

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