献血ガチ勢になりたい〜はじめての献血〜
唐突だが、私は何らかのガチ勢になりたいと思っている。
それなりに趣味がある方だとは思うものの、なんでも80点くらいまでしかのめり込んでない気がする。ゲームにしても映画にしても、上手い人や詳しい人、たくさんコレクションする人。
色んなのめり込み方はあるが、どれもそれなりにしかやっていない。
もちろん、それぞれのペースで楽しいと思う程度に趣味に打ち込むべきと思うし、そのつもりで趣味に没頭していたが、最近特にもっと熱を持って取り組みたいなあと思っている自分がいる。
だからガチってやろうじゃないの、献血。
俺は献血に行きてえ!
どうして献血をやりたくなっているのか。
ドキュメント72時間「北の大地 献血バスが行く」
というNHKのドキュメンタリーを観たのがはじまりだった。その番組では、ニコニコとした笑顔で献血をする人々が映されていた。中には100回も(!)献血をしているおじさんもいた。
その笑顔はあまりにも眩しく見えた。趣味のように献血バスを待ち遠しく思って足繁く通い、しかもそれが社会貢献になるんだから素晴らしい。
しかも調べてみれば200回献血すると感謝状が授与されるとのこと。
ほ、ほしい!しかも200回、正直途方も無い数字だがそれもまたイイ!
決めた!私は献血ガチ勢になって感謝状もらうんだ!
早速有楽町献血ルームに向かう
2022年6月21日、昼過ぎ。私は動き出した。
調べたところ、どうやら有楽町献血ルームというところが献血ルームの旗艦的な場所のようだ。
カッコいい。旗艦で献血したい。初献血は有楽町で決まりだ。
私は献血だけしに有楽町へ行く。ドキドキしてきた。緊張なんだか興奮なんだかわからないが、とにかくドキドキする。
有楽町についた。曇っていてムシムシとした気候、歩いているうちに汗をかいてきた。そこでハッと気づく。
「血を抜いたら水分も鉄分も無くならないか?」
急いで有楽町駅のコンビニに駆け込んで、鉄分補給ドリンクを購入した。どうせなら「いい血液ですね〜」とか言われたいし。
コンビニの前でぐいっと飲み干す。非常に気合が入っているようでイイ。
献血ルームのある東京交通会館は有楽町駅からすぐだ。ここの6階にある。
交通会館の前では汗だくになりながら赤十字の方が必死に献血の呼びかけをしていた。お疲れ様です、あなたの呼びかけに私は全力で応えましょう!
気合充分で入ったはいいものの、いざエレベーターの前に立つと緊張と不安に駆られた。しばらくエレベーターホールを行ったり来たりする。これが献血ブルーか?
いやいや、迷ったらダメだ。ええい!ままよ!
エレベーターはすぐに来た。
献血ルーム入室
エレベーターから出て、献血ルームはすぐにわかった。吸い込まれるように、足が向いた。
有楽町献血ルームの内装はとてもオシャレな空間だった。
入るとすぐに受付がある。受付では個人情報の登録や注意事項を伝えられる。(詳しくはコチラへ)
ちなみに今回は全血献血の400mlにした。
受付を終えたら続いて問診なのだが、少し待機時間がある。
待機の間、待合室で水分を摂取してくださいと言われるのだが、なんと紙コップの自販機が飲み放題なのだ。しかもカントリーマアムやせんべいも置いてある。いたれりつくせりでスキップしたいくらいだ。
早速コーヒーをいただく。内装からしてなんだかオシャレなカフェじゃないか。自販機というのも気兼ねがなくていい。
自分の番号を呼ばれる。問診のスタートだ。カフェでの問診は初めてだったが、タブレットでタッチしていけばいいので楽だった。
初めての献血ということで記念品を貰えたのだが、やっぱり血液バッグキーホルダーにした。
その後は紙コップ2杯の水分を取って血圧測定、献血室に入って医師との問診と続く。正直、同じ注意事項を何度も聞いているのだが、それだけ念入りにしてくれている、ということだ。安心安心。
続いては血液検査。左腕からすこし血を抜く。血中のヘモグロビン濃度を測定するためだ。小さい頃から注射はへっちゃらでなんなら薬を飲むなら点滴の方がマシ、という子どもだったので血液検査程度では動じない。
しっかりとヘモグロビンはあった。よかったよかった。
面白かったのは血液型の検査だ。青い液体と黄色の液体があって、そこに血を垂らす。青い液体が固まればA型、黄色の液体が固まればB型、両方固まらないのがO型、両方固まるのがABということらしい。
目の前で実演してくれたのだが、理科の実験みたいで楽しい。まじまじと自分の血液が固まる様を見てしまった。
いよいよ献血…の前に、とある研究に協力することになっていたので、献血をする前に塩分タブレットを3つ食べる。
どうも塩分タブレットを献血前に摂取することで気分が悪くなるのを防ぐ効果があるらしく、その確認のためということだ。
なんだか秘密結社に囚われて無理矢理投薬されるような感じでテンションが上がった。でも直後に飲んだスポーツドリンクが無味に感じられるほどタブレットはしょっぱかったのですぐに平常心になった。
いざ献血!
いよいよ献血するときがやってきた。ベッドにはテレビも付いている。でも背もたれも足も上がっているので体がくの字型になった。机に足を乗せるときの体勢だな、と思った。
献血は右腕にした。ゴムのチューブでぐっと閉められる。そしてこれでもかとアルコールで消毒され、そしてこれでもかとイソジンを塗られる。
イソジンが乾いたら、待ちに待った針の挿入だ。なぜだか頭の中でエレクトリカルパレードの曲がなった。私は献血のことをパレードと思っているらしい。
「針が太いのでチクッとしますよ」
看護師さんはとても優しくて丁寧な方だった。正直針なんかよりハンコ注射のほうが痛いので全く気にならなかった。違和感も普通の点滴くらいで個人的にはさほど感じなかった。
それよりもぐっと閉められている二の腕のほうが気になっていた。でもこんなもんか、と思ってしまうのでなにも言わないのだ。
確かに血を抜いている間は全身がスーッとする感覚になった。なんだかスッキリするような気もする。
この感覚をもっと繊細に感じよう…と思ったが、かなりの時間看護師さんに話しかけられ続けたのでそんな余裕がなかった。ちょっとしょんぼり。
まあ、初めてだから気を紛らす意味もあるだろうし、話しかけて反応を観察しているのだろう。
看護師さんは親切にたくさん献血のことについて話してくれた。ソラマチにある献血ルームは有楽町よりベッドは少ないけど待合室が広くて綺麗なこと、秋葉原の献血ルームは漫画がたくさんあること、血液は江東区のセンターに送られて明後日には患者さんの元へ届くこと、若者の献血はとてもありがたいということ。思い出せるだけでもこれだけ話してくれた。
残念ながら(?)、献血は15分ほどで終わってしまった。質問したいことはたくさんあったので、もう少し時間があればな、ど思うもこれは仕方ない。また次回にしよう。
俺は献血ガチ勢の卵だ
献血が終わって待合室に戻る。そうしたらなんとアイスを貰った。う、うれしすぎる~!
チョコ味のアイスを冷凍庫から取る。献血後は20〜30分ほど休憩を取ってから帰るのだが、ここでもまた2杯ほど水分補給が必要だ。
このカフェに来てから、とうに1リットルは水分補給したぞ。流石に尿意が押し寄せた。ただ、立ちくらみの危険もあるので我慢することにした。休憩を終えてからすればいい。切羽詰まってないし。
最後に献血カードを受け取った。献血カードには献血した回数と次に献血できる日付が表記されていた。
ダメだ、回数とか出されるの燃えてくるものがある。先程看護師さんが言っていたように、献血ルームにも個性があるようだし、巡礼したくなってきた。どんないたれりつくせりが待ってるのか見てみたい。それでもう都内の献血ルームに引くほど詳しくなりたい。あと献血バスにも乗りたい。
私な勘違いしていたのだが、献血は月イチくらいで行けるものと思っていた。正しくは3ヶ月ほど空けなくてはいけない上に、全血の400mlだと年3回までしか行けない。(成分献血だともう少し短い)
心なしか、帰り道は胸を張って歩けている気がする。肩で風を切って歩くのは気持ちがいい。
そして幸いにも気分が悪くなることなく自宅まで辿り着けた。改めて献血カードを眺めると、心がほわほわとする。行ってよかった、心からそう思う。
こうして献血ガチ勢の卵が産み落とされた。
もしかしたら私は生涯の趣味に出会ったのかもしれない。
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