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難民キャンプから彼女が辿った大工職人への道は

木を触る喜び、自分の店を持つ夢が、私に勇気をくれた――
難民キャンプで生まれ、生活も精神面も苦しい中で生き抜いてきたハナン・イスマエルさん。およそ2年前に大工の訓練校を卒業し、起業を決心しました。クラスメートとビジネスコンテストに応募した結果優勝!賞金$13000を得たものの、それが実はただのローンだと知るやビジネスパートナーたちは離れていきます。このお金を借りて設備投資するには、保証人が必要。周りに誰もいなくなったなか、イスマエルさんの情熱についてきてくれた2人の難民キャンプの盟友と共に待ち人を望みます。

もしかしたら、ビジネスを始めることすらできないかもしれない――

そう思っていた時、1人のメンバーの父親が名乗りを上げてくれたのです。
保証人のおかげで設備が手に入ったこのビジネスは、けれど次の障害にぶつかります。お金を使い切り、原料も置き場所も…無い!!
 そこに手を差し伸べてくれたのは彼女の遠い親戚。もうこの時にはイスマエルさんが決して諦めないことを理解していたこの人物が、空いている古い家を使っていいというのです。小さな部屋ひとつとキッチンが彼女らの事務所になりました。2018年8月、遂にビジネスがスタート地点に立ったのです。

次に必要なのは材料。でも、男の職業である大工業界ではどこにいってもお払い箱。大工だと自己紹介すると馬鹿にされ、「早いうちにやめておけ」と助言される―。
 唯一取引をしてくれた店も購入は全て現金払い。厳しい状況のなか、いよいよ生産が始まりました。学校を出たとはいえ腕はまだまだで、皆毎日失敗しながら製品を作っていきます。

「でも嬉しかった。自分たちの手で、何かを生み出している感覚が!

その後悲しい出来事が目の前に突き付けられます。たった一人彼女らを信じてサポートしてくれていた保証人が癌で他界してしまったのです。喪に服して友人の心に寄り添うため、イスマエルさんらは2か月間工場を閉めました。再開したとき、誰の内にも前向きなエネルギーは残っていませんでしたが、それでも借金を返さなければなりませんでした。

2019年2月、B-Hubの宣伝広告を目にしたイスマエルさんは応募して選考に通ります。借金を少しでも軽くできれば…という気持ちでいたのですが、なんと、このB-Hubがビジネス全体を引っ張っていくことに。まずビジネスモデルの改善に乗り出したB-Hubは、良質な原料を扱う店との取引を持ってきてくれます。それとともに日夜実際の改善作業に取り組んでいたイスマエルさんら3人は市場調査をするなかで市場のニッチに気づきます。

子ども向けの家具だ!化学汚染されていない安心の家具が必要だ

それからは製造をそこに集中させ、EUの品質基準を持って生産を始めていきます。B-Hubが間に入り、技術指導やペンキの安全性への理化学系の大学生の実験協力、エンジニアの大学生による多機能で耐久性があって優れたデザインの導入が行われました。B-Hubと組んだことにより、歳入は900%増加し、今年はさらにエリアの拡大も見込んでいます(※元記事はコロナ危機より前に書かれたもの)。

イスマエルさんらの屋号は「マーヤーマ」
アラブの小説に登場する力強い女性の名前です。マーヤーマのように諦めることなく前に進み続けることが3人の想いです。

元記事です↓

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