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【家庭科のゴールを我々なりに再定義?!】京大熊野寮に入居経験ありの男性にインタビュー

家事をテーマに様々な人にインタビューをする「家事恋インタビュー」。今回は、京都大学の熊野寮での入居経験のある、社会人4年目の男性にお話を伺いました。

インタビュイーのプロフィール
・26歳男性
・個性強めで有名な熊野寮での生活経験をもつ。
・子どもの教育に関心をもつ。

<家事は、分類して学ぶのがいい?>

ーそもそも、教育に対してどのような考えをお持ちですか?

 勉強は、そこまで難しくないものだと思っています。例えば、オリンピックでメダルをとることは誰もができることではありません。しかし、勉強は、学校の先生が教えられる程度のものなので、慣れればそこまで難しくないはずなのです。勉強ができない人は、やれないのではなくインプットの方法がうまく構築できていないだけだと思います。

ー「教える」とはどういうことですか?

それを分かっていない人に0から情報をインプットする作業だと思います。

ー「学ぶ方法を掴み、それに慣れる」という小島さんの勉強の定義は、家事に応用できそうですね。

そうですね。私は、一つ一つ分解して考えれば簡単にインプットできると考えているので、家事もフローになっている作業を分解して教えればいいのではないでしょうか?

ー例えばどのような感じですか?

例えば、カレーには、買い出しに行く、野菜を洗う、皮を剥く、炒める、煮るなどの様々な工程がありますよね。子供は、これらを何も分からない状態の中、流れで行うから混乱してしまいます。各工程を分けて何度も行いパーツを完璧にすれば、あとはそれを組み合わせるだけです。

ーパーツを完璧にする作業は、とても時間がかかりそうですね。

(家庭にもよりますが)お母さんは、料理など家事を教える時、暇ではないため子供がもたついていると怒ってしまったり、自分で行ってしまうことが多いと思います。
しかし、それって勉強ができない子に「お前馬鹿だな」と言っているのと変わらないような気がします。

ーしかし、同じことをとことんやる作業だと、それ自体嫌いになってしまいませんか?

そうですね。私の持論は、「物分かりがいい子供」を前提にしてしまっているところもあるので、「やる気はあるけど、どうしたらいいのか分からない」という人に刺さる気がします。次のテストで100点を取りたい、でもやり方が分からないという人にHOW TOを教える場合ならいいのですが、そもそも勉強に興味がない人には、この方法が彼らのモチベーション向上に繋がるとは言い難いですね。

ーたしかに、ターゲットが重要ですね。

それこそ、家事がうまくなりたいと思っている25歳のサラリーマン男性ならば、意欲があるため、この方法は有効かもしれません。


<家庭科の最終ゴールは、与えられた素材でご飯を作れるようになること?!>

ー中高時代、家庭科教育はありましたか?

男子校出身ですが、ありました。家庭科の授業はしっかりと行っていましたが、楽しくないし、できるようになったわけでもないかなと思います。

ー家庭科の授業のゴールってなんだと思いますか?

実用的な家庭科の最終回は、冷蔵庫の中に入っている材料を使って美味しいものが作れるようになることだと思います。

ーランダムに与えられた材料で美味しいものを作り、クラスメイトと品評会とかしたら楽しそうですね。

冷蔵庫の中にあった食材で作れるようになるためには、煮る、炒めるなど基礎的な料理の技術を何度も練習することが重要だと思います。

ー「カレーを作る際の流れをパーツ分けし、パーツ一つ一つを完璧にする」というのは、まさに、基礎的な料理の技術の習得練習ですね。

もし、カレーを完璧に作れるようになったら、スパイスカレーも作れるしハヤシライスも作ることができると思います。最低限、これができないと困るといったレベル感が色々ある中で、抑えなきゃいけないポイントを集中投下で絶対にできるようにすることが重要だと思います。

ー一つ完璧になれば、他も完璧にできるようになる確率が高まるということですね。

勉強も料理もできないことはないはずです。
適切に手順や問題をその人の頭の中にインストールしてあげればいいと思います。
インストールをすれば、学習効率が上がるので、何が最重要なインストール項目なのか考えれおけば、やること大体決まってくるかなと思います。

ー家庭科など学校の授業は、毎週決まった曜日に定期的にあるからこそ、一つの料理を過程ごとに分解して学ばせるのに好機ですね。

そうですね。
人って、面白いか、役に立つことかでないとモチベーションが上がらないと思います。
また、楽しいか役に立つかは半分くらいお金になるかみたいな、家事だとお金の代わりに豊かな生活になるかどうかだと思います。しかし、子供時代は、生活の豊かさやお金などの目的が大人よりも強くないため、役に立つということろのウェイトが小さいだけなのではないでしょうか。

ーある程度成長している段階の場合、パーツごとに分解して完璧にする習得方法はとても有効そうですね。


<高校時代までの家事と寮生活における家事>

ー幼少期家事を行っていましたか?

我が家は、父親が高校生の頃に1人暮らしをしていたこともあり、「家事はみんなするよね」といった雰囲気がありました。性別関係なく一通り家事はできた方がいいよね、と言った家庭でした。しかし、高校時代は、生活を回す感覚では家事を行うことはなく、ちょこちょこ行っていたような感じです。

ー積極的に家事を行ってきましたか?

親に指示を出されてから家事をすることはありましたが、積極的に家事を行うことは少なかったです。ほとんど母親が回している家事に私が参加するのは、やり方が違うこともあって母親も強く望んでいる感じではありませんでした。

ー家事に対してマイナスのイメージはありましたか?

高校生の時は、部活や受験勉強があったため、「家事=時間を食うもの」という感覚から面倒臭いなと思ってしまうこともありました。

ー大学に入ってから熊野寮に入られたようですが、他人とシェアして暮らすのはいかがでしたか?
1部屋を2人でシェアする熊野寮と実家暮らしの大きな違いは、掃除をすることに許可がいることでした。

多くの人は、家に対して自分の空間という感覚が強くあると思います。1人暮らしだと気にならない人もいるかもしれませんが、自分の空間だと思うと、大抵の人は綺麗にしようとします。しかし、みんなでシェアして生活していると、オーナーシップ的なマインドが薄れてしまうからか、共用スペースはかなり汚れていました。共用スペースである廊下には、50年ものの埃のようなものがあったり、卒業生がおいていった私物が多くありましたね。

ー汚い状態で放置されている状態だったんですね。

自分が大学2年生の時、意識の高い学生が「大掃除をしようよ!」と働きかけ、歴史上初めてのレベルで共用スペースの大掃除が行われました。

ー大掃除は、有志の人々が行ったのですか?

有志の人々が大掃除の日程を設定し、「捨てるものがあれば持ってきてね」など声掛けをしながら行われていました。有志の人が各階に来た時には、その階の住人も手伝っていました。

ー有志の人がいたことで、掃除の輪が広まったんですね。

多くの人が手伝っていたのでみんな汚いなとは感じていたと思います。しかし、面倒臭いのもあるし、人と共有しているところなので掃除がしにくいと思っている人もいると思います。実際に、掃除したところが誰か作業していたところだったなどと、トラブルの種にもなっていました。

ーたしかに。自分の部屋と違って共有スペースは、触れにくいですよね。私も短期でシェア寮に暮らした経験がありますが、共有スペースは、汚いなと思っても誰かにとっては意味のある物の配置の可能性もあって、触れませんでした。

寮生活は、家族と異なり他人なので言えないことも多いですよね。

ーどうすれば、トラブルも起きることなく心地よく暮らせるのでしょうか。

異なる価値観の人と生活するので、一定のルールが必要なのではないかと思います。
熊野寮では、フロアごとに調理場はあったのですが、各フロアによってルールがありました。極端なところでは、調理器具と材料すべて共用なしで残っているものは問答無用で捨てられていました。
片付けたり、戻す習慣がない人と暮らす時、この方法は1番簡単ですが、性善説にたつと、それは性悪説というか人間を信用していないですよね。

ー人とシェアする暮らしって難しいですね。


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